工業部門/消費者の信頼感指数=景気減速を反映し悪化
タイ工業連盟(FTI)が5月15日に発表した4月の工業部門信頼感指数は90.3ポイントにとどまり、前月の92.4ポイントから悪化した。指数を構成するすべての指標が前月から下落している。一方、タイ商業会議所大学(UTCC)が同日に発表した4月の消費者信頼感指数も63.0ポイントから62.1ポイントに悪化した。
クリアンクライ・ティアンヌクンFTI会長[写真中央左]によれば、消費者が支出に慎重になっていることで内需が低迷している上、最低賃金を全国一律で400バーツに引き上げるとした政府の政策に対する事業者の警戒感が強まった。
軽油の小売価格を抑制してきた物品税減税が4月に打ち切りになり、石油基金も補助金を圧縮した結果、軽油の小売価格が上昇基調を描いていることも信頼感の低下につながった。旱魃の問題も深刻で、農産物の生産に影響を及ぼしている。中国からの安価な消費財が国内市場に流入、氾濫していることに対する危機感もあるほか、実際に中国製品と競合する商品は生産減につながっている。
世界経済の不確実性による貿易相手国の需要も低迷し、物品輸出は3月に2桁減を記録し、4月も低調に推移している。中東情勢の悪化や収束しないロシア・ウクライナ戦争が世界市場のエネルギー価格に影響を及ぼしていることへの懸念もある。さらにミャンマー軍政と少数民族武装組織との戦闘の拡大も国境貿易に影響を及ぼしている。
一方で明るい材料もある。4月はソンクラン期間中に多くの外国人観光客がタイを訪れた。世界市場では旱魃問題などから農産物・食品の需要が増加している。セーター首相の意向を受けて、商業銀行が小口顧客向けの最優遇貸出金利を0.25%幅で引き下げたことも、債務負担を抱えた中小事業者の金融コストの減少につながる。
FTIが46部会の1268社の加盟社を対象に実施した調査によれば、工業事業者が最も懸念しているのは世界経済の動向で、回答率は79.4%に達した。以下、原油相場(56.6%)、国内景気(56.4%)、国内政治情勢(40.2%)、外国為替(39.5%)とつづく。
3か月先に対する信頼感指数は98.3ポイントで、前月の100.8ポイントから低下し、中間値を割り込んで信頼感は悪化に転じた。旱魃による水不足、観光業がローシーズンに入ることによる観光客数の減少、世界の地政学的リスクが世界経済と工業製品輸出を圧迫することへの懸念が信頼感を低下させた。
FTIはこの信頼感調査の結果を受け、政府に対し、軽油の小売価格の上限を1㍑あたり30バーツに戻して、価格を抑制するよう求めたほか、電力料金の割引などの支援措置を講じるよう要請した。また経済情勢に鑑み、最低賃金の再引き上げは当面の間、延期するよう求めた。最低賃金改定は、各県の賃金を検討する県小委員会のメカニズムに従わなければならないと指摘した。このほかグリーンローンへのアクセスを容易にするための支援措置、温室効果ガス排出量の削減など、環境への投資に対する費用補助なども提案した。
一方、UTCCが発表した消費者信頼感指数も4月には2か月連続で前月から悪化した。燃油価格、特にガソリンの小売価格が急騰したことや、世界経済の減速を消費者は懸念した。
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