2025年2月3日(月)号

新規事業所登記=25年は2~4%増見通し

 商業省事業開発局によれば、今年の新規事業所登記数は前年比2~4%増の9万~9万5000事業所に達する見通し。オラモン・サップタウィタム局長は事業所登記に影響を与える今年の要因として、地政学的対立、世界経済の成長鈍化、貿易戦争、米トランプ政権の発足による政策転換などを挙げた。
 同局では1月半ばにデジタル事業登記システムを導入するなど、サービスのデジタル化を積極的に推進している。商業会議所やその他の事業者協会への入会登録についてもオンラインでの手続きが間もなく可能になるという。年内には同局の行政サービスの全てをデジタル化する。また他の25の関連政府機関とも事業所のデータをリンクし、手続きの簡素化を進める。27年までには全74機関とのリンクを完了させる。
 コーポレート・ガバナンスに関する監督ではインテリジェンス・ビジネス・アナリティック・システムを開発中で、名義貸しなどの事業所による違法行為の早期発見と抑止を容易にしていく。
 昨年の新規事業所登記件数は前年比2.69%増の8万7596事業所だった。登録資本金総額は49.2%減の2850億バーツにとどまった。業種別では建設業が全体の7.58%に相当する6636事業所(登録資本金総額は148億バーツ)で最多だった。不動産開発業が7.47%に相当する6542事業所(303億バーツ)、飲食店が4.59%に相当する4025事業所(81億2000万バーツ)で続く。
 登録資本金が10億バーツを超えた事業所は15か所あった。登録資本金の合計は455億バーツ。業種はデータセンター、建設業、流通業、病院など。オラモン局長は観光業の回復が進み、外国人観光客が戻ってきたことが雇用の促進に貢献したと指摘している。
 同局が過去の登記状況や営業実績に関するデータを元に予測した今年成長が予想される業種は、ライフスタイル/ウェルネス関連産業。これには観光関連産業や家族の需要に応える諸ビジネス、ペット関連ビジネス、開運・信仰関連ビジネス、映画制作、住宅のリノベーション&デコレーション関連ビジネスなどが含まれる。
 データセンターやソフトウェア、電子商取引など先端技術に関わる業種、会計事務所、法律事務所、アウトソーシング・サービス、環境コンサルタントなども有望だという。

日系企業景気動向調査=業況感は上向き見通し

 バンコク日本人商工会議所は1月28日、2024年下期の日系企業景気動向調査の結果を発表した。それによれば、業況感は24年上期から下期、25年上期にかけて改善が続いている。特に25年上期は、輸出のさらなる回復、国内の耐久財消費の回復への期待などから業況感DIはプラス値へと上向く見込みとなっている。25年上期に業況が「上向く」との回答は28%、「横ばい」は50%、「悪化する」は22%で、DIはプラス6となった。DIがプラスになっているのは、前期に比べて業況が改善する企業が悪化する企業よりも多いことを示している。

調査結果をピチャイ商業相に報告する藤浩蔵JCC会頭[=左](1月30日)


 25年度に設備投資で、「投資増」を見込む企業は20%、「横ばい」を見込む企業は48%、「投資減」を見込む企業は16%となった。
 25年上期に輸出の「増加」を見込む企業は24%。「横ばい」を見込む企業は62%、「減少」を見込む企業は13%となった。今後の有望輸出市場(複数回答)は「インド」が49%で最多。「ベトナム」の44%、「インドネシア」の28%、「米国」の20%が続く。
 業務計画における設定為替レート(バーツ/ドル)は35.0以上35.5未満の回答が全体の21.3%と最も多かった。34.0以上34.5未満の回答は17.1%。中央値は34.5となった。前回調査では35.5以上36.0未満の回答が全体の26.7%と最も多く、次いで、35.0以上35.5未満のレンジに入る回答が20.5%だったことから、一部の企業が設定為替レートを修正したことがわかる。
 設定為替レート(円/バーツ)は4.0以上4.1未満のレンジに入る回答が全体の20.7%と最も多かった。4.2以上4.3未満は18.5%。中央値は4.2となった。なお、前回調査でも4.0以上4.1未満の回答が全体の30.8%と最も多く、次いで4.1以上4.2未満の回答が21.6%だった。
 経営上の問題点(複数回答)は、「他社との競争激化」が66%と最も多かった。「総人件費の上昇」が42%、「国内需要の低迷」が41%、「原材料価格の上昇」が35%で続く。
 タイ政府への要望事項(複数回答)は、「景気対策の推進(消費喚起)」が39%と最も多かった。「大気汚染対策の実施」が22%、「金融政策の安定化(為替、金利)」が21%となった。製造業では「景気対策の推進(金融支援)」(26%)、非製造業では「交通インフラの整備」(28%)なども多かった。
 日系企業が投資環境の改善(政策への評価)で、最近改善したと考える事項(複数回答)は、「交通インフラの整備」が28%と最も多かった。「行政手続きの電子化」が15%、「ワークパーミット、ビザの発給に関する問題」が14%で続いた。
 24年に実施された最低賃金引き上げが与えた影響では、「影響は限定的だった」が49%と最も回答が多かった。「影響はなかった」は41%、「影響は大きかった」は7%となった。最低賃金引き上げに対する対応(複数回答)では、「従来賃金を維持」が36%と最も回答が多かった。次いで、「最低賃金を超える従業員の賃金を引き上げ」(29%)、「最低賃金まで引き上げ」(27%)、「人件費以外の費用の抑制」(21%)となった。賃金が大幅に上昇した場合に見込まれる影響や対応(複数回答)としては、「人件費以外の費用の抑制」が55%と最も回答が多かった。「新規雇用の抑制」が43%、「利益の減少」が40%、「人員の削減」が35%で続いた。
 製品・サービスの競合状況について、現在、競合が激しくなっている競争相手、分野では「タイ国内で中国企業」、「中国企業からの輸入」がそれぞれ43%で最も回答が多かった。「タイ国内で日系企業」が37%、「タイ国内でタイ企業」が34%で続く。製造業では中国企業との競合が激しくなっているとの回答が集中する一方で、非製造業では日系企業、タイ企業との競合が激しいとの回答も多かった。
 将来、競合が激しくなると想定する競争相手、分野(複数回答)では、「タイ国内で中国企業」が53%と最も回答が多かった。「中国企業からの輸入」が40%、「タイ国内でタイ企業」が34%で続いた。
 政府が喫緊に取り組む10政策のうち期待する政策は「自動車ローンと住宅ローンの再編を実施し、債務問題を解決する」が69%と最も回答が多かった。次いで、「エネルギーコストと公共料金を引き下げ、直接電力購入契約などの規制を整備する」(45%)、「外国企業との不公平な競争から中小企業を保護、支援する」(21%)となった。

その他のニュース

[経済ニュース]

タイ中銀の月例経済金融報告

昨年の工業生産指数=前年比1.79%減

第71回バンコク宝石フェア=22日からシリキット会議場で

三重県セミナーと商談会=ニッコー・バンコクで開催

[社会ニュース]
公共交通の共通チケット=下院で法案審議入り

ウボンラチャタニ県の病院=放火犯を逮捕

マヒドン大学=国内初の細胞治療研究施設

[閣議決定]
25年1月28日

[先週の為替・株式市況]

25年1月27~1月31日

[商品市場]
バンコク首都圏の燃油小売価格
天然ゴム・ハジャイ中央市場

[金融市場]
外為相場

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