2024年12月6日(金)号

ハイブリッド車の物品税を優遇=26年から税率7年据え置き

 国家EV政策委員会は12月4日、ペートンターン首相を議長に開いた会議で、ハイブリッド車(HEV)とマイルド・ハイブリッド車(MHEV)に対する税制優遇措置を決定した。「電気自動車産業への移行支援策」と名付けた措置で、国内で生産されるHEVまたMHEV仕様の乗用車と座席数10人以下のバンに対する物品税率を2026年以降7年間にわたって据え置く内容。ただし2024年から27年までの期間に30億~50億バーツ以上を追加投資することが条件になる。


 国家EV政策委は今年7月26日、「EV産業への移行支援策」として、HEVの物品税率の引き下げを決定しており、この日の決定はこれを踏襲する一方、新たにマイルドHEVについても物品税優遇を定めた。
 国家EV政策委の事務局長を務めるナリット・トゥードサティラサックBOI事務局長が明らかにしたところによれば、CO2排出量が1㌔㍍走行につき100㌘未満のハイブリッド車の物品税率は6%、100㌘超120㌘以下では9%に引き下げる。ただしこの税率の適用を受けるためには24~27年にかけて30億バーツ以上の追加投資が必要。
 国内で生産または組み立てられた主要部品を使用することも条件になっている。26年からは国産バッテリーを使用し、その他の重要部品も28年以降は国内で生産または組み立てられたものを使用する必要がある。重要部品は、①トラクション・モーター②減速器③インバーターの3点。中程度に重要な部品は①BMS②DCU③空調システム用コンプレッサー④電気回路ブレーカー⑤DC/DCコンバーター⑥高電圧ハーネス⑦バッテリー冷却システム⑧回生ブレーキシステムの8点。
 50億バーツ以上を追加投資する場合、重要部品3点で国産品を使用するか、重要部品2点と中程度部品2点、重要部品1点と中程度部品4点を選ぶことができる。追加投資額が30億バーツ超50億バーツ以下の場合は重要部品3点を国内で調達しなければならない。
 このほかにも先進運転支援システム(ADAS)は、①AEB(Advanced Emergency Braking System:衝突被害軽減制動制御装置)②FCW(Forward Collision Warning:前方衝突警告)③LCAS(Lane Keep Assist System:車線維持支援システム)④LDW(Lane Departure Warning:車線逸脱警報)⑤BSD(Blind Spot Detection:死角検出システム)⑥ACC(Adaptive Cruise Control System:アダプティブ・クルーズ・コントロール)の6つのシステムのうち少なくとも4つが搭載されている必要がある。
 マイルド・ハイブリッド車の物品税率はCO2排出量が1㌔㍍走行につき100㌘未満で10%、100㌘超120㌘以下では12%とする。ただし24~26年に少なくとも10億バーツ、2028年までに50億バーツ以上を追加投資することが条件。
 国内で生産または組み立てられた主要部品を使用することも条件で、26年からは国産バッテリーを使用し、トランクション・モーターまたは駆動力を高める機能を持つその他の部品について、28年以降は国内で生産または組み立てられたものを使用する必要がある。ADASはHEV同様に6つのシステムのうち少なくとも4つが搭載されている必要がある。
 この日の会議では、EV3.0に基づく国内生産の義務期間を延長することも決めた。国内のEV市場が供給過剰に陥っていることに配慮するもので、EVメーカー側が提案した。
 EV3.0はEVの国内市場を形成するため、当初輸入販売するEVに国が販売補助金を出す代わりに、追って国内生産を要求するもので、24年から25年にかけて補助金つきで輸入販売したEVの台数の1倍または1.5倍の国内生産が義務付けられている。ここに来て新車市場は収縮が激しく、EVの販売台数も最近は前年比でマイナスになっている。今年1~10月のバッテリーEVの新規登録台数は5万9746台で、前年同期比3%増にとどまっている。
 生産義務期限の延長を認めなければ、EV市場は供給過剰から価格競争が激化し、自動車工業全体に影響が及ぶおそれもあると判断。期限の延長を認めることにした。
 EV3.0では、24年中に生産するのであれば、輸入販売台数に等しい台数を国内生産すればよく、25年までに生産する場合は輸入販売台数の1.5倍の国内生産が課されている。会議では、EV3.0での国内生産義務をEV3.5の条件に従う形で最長2027年までに全うすればよいことに改めた。26年までに義務台数の生産を終える場合は、輸入販売台数の2倍、27年までに終える場合は3倍を生産しなければならない。
 免税区や自由貿易区のEVメーカーのローカルコンテンツ40%ルールの適用猶予期間の延長についても協議した。海外から輸入するバッテリーセルについて、15%を上限として国産部品にカウントすることを認める措置の有効期間を従来の25年末から27年末までに延長するよう求めていたが、EV政策委はこの要求を却下した。ナリット事務局長は、国産部品の生産と使用を加速させる政策やセルレベルでのバッテリー生産への投資を加速させる政策にそぐわないと説明した。
 なおBOIはバッテリーEV、バッテリー、主要部品の生産と充電ステーション事業を合わせて810億バーツの投資を認可済み。EV3.0とEV3.5には26社が参加している。

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