ショッピング減税=ピチャイ財務相が実施を約束
ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相は12月19日にマネーエキスポで講演し、ショッピング減税の復活を約束した。財務省が内閣に提案する準備を進めていると述べた。25年度の個人所得を控除するため、実施は来年1月半ばになる見込み。控除の上限は5万バーツと想定し、電子納税を条件にする。早ければ24日に開く今年最後の定例閣議で決定する。
「イージーEレシート」は酒・タバコ、燃油、保険料など政府が定める一部の商品・サービスを除くすべての商品・サービスの購入代金を所得控除するもので、財務省は700億バーツのマネー循環が生じると試算している。商品・サービスを販売する店舗が付加価値税(VAT)登録していることが条件で、店舗は電子請求書と領収書を発行し、電子納税する。控除枠は5万バーツ。一般的な商品・サービスの購入代金の控除は3万バーツまでとし、他にコミュニティ企業の商品やOTOP(1タムボン1産品)の商品購入代金が2万バーツまで控除される。
チュラパン・アモンウィワット財務副大臣によれば、1月中旬に実施され、期限は2月末までを予定している。控除の対象となるサービスについては、これまでの同種政策で対象外だったツアーパッケージも含まれる。チュラパン氏は実施時期を1月半ばとする狙いを、新年と中国正月(1月29日)に挟まれた期間の消費の勢いを維持することと説明した。
イージーEレシートは昨年も実施されている。プアタイ党主導のデジタルマネー政策が高所得層を対象外にしていることから、高所得層の消費刺激策として導入された。デジタルマネー給付は曲折を経て、今年9月終わりに脆弱な層向けの給付が現金の形で実現しており、来年1月半ばには約400万人の高齢者を対象に1万バーツの給付が始まる。政府はこのほかにも稲作農家に1ライあたり1000バーツの補助金を支給する。これらの現金注入は経済システムを循環する資金量を1400億バーツ増やし、景気の拡大をもたらすと期待している。
利下げでインフレ率引き上げ
ピチャイ副首相兼財務相は、タイ中央銀行の金融政策委員会(MPC)が政策金利の据え置きを決定したことについても言及し、インフレ率を適正な水準に保つことは経済に有益だと述べた。MPCは今年の一般インフレ率を0.4%、来年は1.1%と予測している。現在の経済に適切なインフレ率は金融当局の誘導目標範囲(1~3%)の中間値の2%だとし、金利の引き下げで2%に達するようにしたい考え。
ピチャイ氏はバーツ相場について、多くのエコノミストが下落する余地はあると見ていることを引用し、弱基調を続けるほうがよいと述べた。強い通貨は低いインフレと同様、経済成長を妨げるというのがピチャイ大臣の見解。
タイ商業会議所(TCC)のサナン・アンウボンクン会頭は19日、景気が回復に向かっていることを考えると金利据え置きは適切な判断と述べ、中銀の決定を支持した。経済成長を促進する環境を維持するものだと総括した。
サナン氏はトランプ大統領の就任で貿易戦争のが始まる可能性が高いことから、将来に戦略的に使用できる金融政策ツールを維持することは重要だと述べ、金融政策の余地(ポリシースペース)を残しておくとした中銀の考えに理解を示している。
今年の輸出額は過去最高更新=3000億㌦超えが視界に
ピチャイ・ナリプッタパン商業相によれば、24年の物品輸出額は3000億㌦を超える見通しになっている。今年10月の輸出額は前年同月比14.6%増の272億2200万㌦に達し、1~10月では4.9%増の2503億9800万㌦を数えている。11、12月に500億㌦を上積みできれば、通年で3000億㌦を超える。前年比では5%増となり、目標の1~2%増を大幅に上回るほか、金額では過去最高を更新する。同相はバーツ安や年末年始の需要期に入ることからも3000億㌦の大台突破は可能との見通しを示している。
ピチャイ大臣は最近の民間部門との会合で、25年の輸出額伸び率目標を2~3%増に設定したことを明らかにした。通年の輸出額は3053億~3083億㌦となる。会合ではこのほか、①貿易と投資に関する現状に沿った柔軟な政策の実施、②最低5%以上の成長率を20年間維持する経済政策の誘導、③自由貿易協定(FTA)の拡大、④プリント基板、データセンターなど先端産業の域内ハブ化、⑤商業省認定ブランド「タイ・セレクト」のリブランド、⑥中小企業製品の品質保証プログラムの実施、⑦地理的表示(GI)認証商品を含むソフトパワー製品/サービスの振興強化、⑧在外商務官による輸出市場拡大支援の強化、⑨今後3か月に一度の官民合同定期会合開催を申し合わせた。
米国のトランプ政権発足に伴う通商政策の変化への対応について、ピチャイ大臣は米国がタイ製品の輸入関税を引き上げる可能性は低いとの見解を示した。来年2月に渡米し、新政権の通商政策の代表者と協議する意向も明らかにした。議会でも演説し、タイの対米貿易黒字は、タイに進出する米国企業からの逆輸入によると説明する。「米国の対タイ貿易赤字は米資本進出の結果で、中国やベトナムとの貿易赤字とは様相が異なる。輸入関税が引き上げられる可能性は低い」と話している。
ピチャイ大臣は12月19~24日に日本を訪問し、日系企業にタイへの投資を呼びかける。特に半導体産業のタイへの進出増を期待している。
懸念材料は為替で、長い目で見てバーツは強基調になっている。ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの域内通貨とは対照的で、「1ドル=36~37バーツが輸出産業にとって適正水準」との見解を示した。
タイ商業会議所(TCC)のポット・アラムワタナノン副会頭は、24年の輸出伸び率が5%に達する見通しにあることについて、「官民協力のたまもの」と述べている。25年以降も引き続き伸びるとの見通しを示した。特に農産物・食品の世界需要が増える見通しから、タイの食品産業にとって25年は黄金年になるとの楽観的な見方を示している。
タイ工業連盟(FTI)のアルン・イアムスリー理事は「この日の会合で、商業省とはあらゆる面で話し合うことができた」と評価するコメントを発した。考えられるリスクへの準備、過去最高額が望める輸出動向、FTA交渉の進み具合などを確認し、今後に明るい見通しが持てたと述べている。
タイ荷主評議会(TNSC)のチャイチャーン・ジャルンスック会長は、商業省が民間と協働する明確な指針を打ち出したことで、来年の輸出伸び率目標2~3%の達成は可能になったとコメントした。「大臣が渡米する時期も適切」と評価した。輸出については農産物と加工食品の付加価値増大が課題との見方を示した。
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