11月の物品輸出は8.2%増=通年で3000億㌦超え
商業省が12月25日に発表した11月の物品輸出額は256億820万㌦で、前年同月比8.2%増となった。石油・金地金・武器を除いた輸出額は7.0%増。物品輸出の前年同月比での増加は5か月連続となった。プーンポン・ナイヤナパコン商業政策戦略事務局長は通年の物品輸出額が過去最高となる3000億㌦に達する見通しにあることを明らかにした。通年の輸出額は前年比で5.2%増と見積もった。
プーンポン氏によれば、コンピュータ・同部品などテクノロジー製品の輸出が大幅に増加した。1~11月の物品輸出額は前年同期比5.1%増で、石油・金地金・武器を除いた輸出額は4.9%増となった。
11月の物品輸入額は258億3250万㌦で、前年同月比0.9%増。貿易収支は2億4440万㌦の赤字となった。1~11月合計の輸出額は2757億6360万㌦で、前年同期比5.1%増、輸入額は2820億3330万㌦で、同5.7%増だった。貿易収支は67億5120万㌦の赤字。
11月の農産物/アグロインダストリー製品の輸出額は5.7%増。5か月連続で増加した。農産物は4.1%増、アグロインダストリー製品は7.7%増だった。
天然ゴムの輸出額は14.1%増で、13か月連続で増えた。日本、マレーシア、米国、韓国、トルコ市場が拡大した。生鮮・冷蔵・冷凍鶏肉・同調製品は12.0%増、2か月連続で増加した。日本、英国、中国、オランダ、韓国向けが増えた。生鮮・冷蔵・冷凍果物は44.8%増。3か月ぶりに増加に転じた。中国、ベトナム、インドネシア、マレーシア、香港向けが増えた。水産缶詰・同加工品は3.3%増で、プラス成長は5か月連続。米国、カナダ、エジプト、サウジアラビア、イスラエル向けが伸びた。ペットフードは18.1%増となり、14か月連続で増加した。米国、オーストラリア、マレーシア、イタリア、台湾市場が拡大した。果物缶詰・同加工品は24.6%増で、14か月連続で拡大した。米国、中国、オーストラリア、日本、オランダ向けが増加した。
一方で、米の輸出は20.6%減となり、6か月ぶりに減少へと転じた。タピオカ製品は6.3%減(13か月連続)、砂糖は23.3%減(11か月連続)、同植物油脂は8.3%減(2か月連続)となった。
1~11月の農産物/アグロインダストリーの輸出は5.7%増となった。
11月の工業製品の輸出額は9.5%増え、8か月連続で増加した。コンピュータ/同構成部品は40.8%増。8か月連続で増加した。米国、中国、ドイツ、日本、マレーシア市場が拡大した。自動車・同部品は4.8%増。3か月ぶりに増加に転じた。米国、日本、ベトナム、メキシコ、インドネシア向けが増えた。ゴム製品は24.8%増で、プラス成長は5か月連続。米国、中国、日本、韓国、インド市場が拡大した。機械・同部品は16.7%増で、プラス成長は9か月連続となった。米国、インド、中国、インドネシア、シンガポール向けが伸びた。
宝石・宝飾品(金地金を除く)は24.3%増で、3か月ぶりに増加した。米国、インド、シンガポール、英国、アラブ首長国連邦向けが増加した。化学薬品は10.7%増となり、5か月連続で増加した。中国、インド、インドネシア、カンボジア、ミャンマー向けが増えた。エアコン/同部品は35.8%増。5か月連続の増加で、米国、オーストラリア、イタリア、インド、ベトナム市場が拡大した。変圧器・同構成部品は13.8%増。2か月連続で増加した。メキシコ、オランダ、台湾、マレーシア、チェコ向けが伸びた。
一方でエンジン/同部品は34.3%減(8か月連続)、半導体/トランジスタ/ダイオードは71.5%減(9か月連続)だった。
1~11月の工業製品輸出は5.5%増だった。
仕向け地別に見ると、11月の主力市場向け輸出は8.3%増だった。米国(9.5%増)、中国(16.9%増)、EU(11.2%増)、CLMV(21.0%増)が拡大した一方、日本(3.7%減)、アセアン(5)(1.5%減)向けは減少した。
プーンポン氏は12月の輸出額が243億㌦に達し、通年で3000億㌦に達するとの見通しを示した。2022年に記録した2874億㌦を抜いて、過去最高額を更新する。官民が連携して輸出増に取り組んだ結果、世界経済の回復が遅れ、地政学的対立が長引く中でも当初目標を上回ることができたと述べている。
25年の輸出額は前年比2~3%増に目標設定した。米国の保護貿易政策の結果、世界貿易の減速が予想されるほか、地政学的対立がエスカレートする可能性がある。また為替レートの動向も気がかりな要因とした。将来産業への投資誘致、自由貿易協定(FTA)の締結による市場開拓、政府による各種貿易障壁措置への対応策により、輸出部門の成長を維持・強化すると述べた。
24年の新規事業所登記数=前年比3%増も目標割れ
商業省事業開発局は24年通年の新規事業所登記件数が前年比2~3%増の9万事業所近くに達するとの見通しを明らかにした。オラモン・サップタウィタム局長[=写真]によれば、1~11月は2.3%増の8万3219事業所となっている。ただし登録資本金の総額は51.9%減の2628億バーツにとどまった。前年は大手通信会社の大型合併だけで1000億バーツを超えるなど、過去最高の水準だったことも影響している。24年は登録資本金10億バーツを超える事業所が14か所登記された。これには卸売大手、アイ・ウェア販売大手、データセンターなどが含まれている。同局長は12月に4000~5000事業所の上乗せを見込んでおり、通年では8万8000~8万9000事業所に達すると予測している。目標の9万事業所にはわずかに及ばない見込み。
登記件数増の背景には観光業の成長、消費の回復、全国各地での工場建設の増加、政府による経済刺激策などいくつかの要因がある。同局では登記統計、事業所の営業実績や事業所の閉鎖統計、国内外の景気動向やビジネス・トレンド、消費性向、政府の政策、経済指標、市場競争動向などを勘案して、今後の成長が期待できる業種と生き残りをかけて適応を求められる業種をピックアップした。
鉄鋼、貴金属、宝石産業、オフライン小売、オフライン・メディア&広報、農産加工、代理店サービスなどが適応を求められる業種、スポーツ&フィットネス、観光&エンタメ、EV、電子機器、電子商取引、映画制作などを期待度の高い業種に選んだ。
クボタ・ファーム=「アグテック・ポッシビリティ」
サイアム・クボタ・コーポレーションは12月20~22日、チョンブリ県バーンブン郡にある自社農場で農業先端技術の展示・学習イベント「クボタ・ファーム・アグテック・ポッシビリティ」を開催した[=写真]。自社開発したスマート技術の農業生産現場での運用方法やその効果を展示することで、農業離れが進む若年世代に農業への関心を持ってもらい、農業に取り組める環境整備に貢献することが目的。
気候変動や生産コストの高騰など、農業を巡る環境が厳しくなる中、将来に明るい展望をもたらし、農業生産の持続可能性の構築に貢献するとした事業方針の一環。
イベントでは「クボタ・アグリ・ソリューション(KAS)」と呼ぶ自社のスマート技術ソリューションを紹介し、参加者が実際に体験するコーナーも設けて、現場での実用性を体感してもらった。「有機農業への第一歩」と題したワークショップでは、農地の区分法とその管理、果樹栽培や採卵鶏の飼養、土壌流出防止技術、通年栽培技術、廃棄物ゼロ生産体系、堆肥・液肥づくり、ミミズの育成、半閉鎖型野菜栽培、施水管理技術などについて学ぶ機会を設けた。
「品質重視の新時代の米作り」ワークショップでは、苗床の作り方、倒伏防止法、土づくり、田植え機の使用、土壌分析値の見方と肥料の自家配合、ドローンの操縦、稲の葉の色の診断法、収穫後の圃場処理などを紹介した。
「プロフェッショナルな穀物作り」ワークショップでは、キャッサバと豆類の混作、サトウキビ畑の土壌改良、大規模サトウキビ圃場の作付け・栽培管理・収穫テクニック、メイズ栽培テクニックなどを体験してもらった。
農業生産の長期持続性などに関するセミナーも開催した。学識経験者、チャイナート県のスマート農業の実践者、TikTokerとして知られる南部の林業評論家などが自らの体験談や研究知見を紹介した。
即売会では自社農場で生産・加工した米、ジャム、スナック菓子、クリームなどの作物や商品を販売した。
ワラーポン・オーサターパン上級副社長は、現在0.2%にとどまっている農業部門のGDP成長率が25年には3%に達するとの見通しを示した。先端技術の現場への導入が進み、農産物の品質や農業用水管理の向上、スマート化の進展が成長率を押し上げる。国の農地面積は国土の46%、農業就労人口は総人口の51%、国の経済に占める農業の比重は依然として高い。同副社長は自社が農業のスマート化を支援することで政府の農業振興政策に貢献する意向をあらためて強調、農産物のバリューチェーンの改良につなげる考えを示した。「スマート農家は100万人規模に達し、農業の将来を明るく照らしだしている」と述べた。
自社農場「クボタ・ファーム」はスマート農家の育成を目的にしたモデル農場で、自社が開発した先端技術の実験の場として機能するだけでなく、若手農家を中心にした体験学習・研修の場にもなっている。政府機関や大学とも提携し、最先端の技術を導入している。2019年の開設以来、農場を訪れた訪問者の数は7万人を超える。
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