アマゾン・ウェブ・サービス=タイランド・リージョンが発足
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)がAWSアジア太平洋(タイランド)リージョンを発足させた。タイ国内の自社データセンターを拠点化することで、タイのGDPへの100億㌦規模の貢献と1万1000人以上の雇用創出につながると期待している。雇用の創出はAWSの国内でのサプライチェーンを構成する建設、施設の補修、エンジニアリング、通信など幅広い業種にわたる。
データセンターのリージョンの誕生はデータの国外流出を抑止し、通信速度のさらなる改善にもつながる。AWSは2037年までにタイに50億㌦以上を投資する計画で、今回のリージョン発足はその一環。
AWSのリージョンとは自社の世界的なクラウド・インフラのネットワークを地理的に区分した概念で、1つのリージョンには複数のデータセンターが配備されている。下部単位として「アベイラビリティ・ゾーン」があり、35番目となった新しいタイのリージョンは3つのアベイラビリティ・ゾーンで構成されている。リージョン構築には2年を要した。
AWSタイランドのワッサン・ティラパタラポン総支配人[=写真]は1月8日の会見で、タイを中心としたアジア太平洋地域のクラウドサービス需要が今後は急成長すると述べている。こうした需要予測がAWSの投資判断の根拠になっていることを明らかにした。リージョン構築のためにこれまでに250億バーツを投資し、データセンター3か所を建設した。
投資委員会(BOI)によれば、昨年のデータセンター/クラウドサービス関連事業への投資奨励の申請は47件、合計投資予定額は1730億バーツに達した。ワッサン総支配人によれば、「AWSのリージョン誕生はタイのデジタル経済にとって重要な一歩」。国内のビジネス部門や政府機関のデジタルサービスの質的向上に加え、AI関連人材の育成にも貢献するという。
現在、自社の国内法人顧客の80~90%はシンガポール・リージョンのサービスを利用しているが、今後はタイ・リージョンへの移転を進める。すでに移転費用無料で顧客にオファーを開始した。移転後のサービス料金は従来よりも割安になる。ワッサン氏は、スタートアップや中小事業所の方が身軽で、大企業に先んじて移転に踏み切るとみている。特に金融、製造業、ヘルスケア、公共サービス部門はタイ・リージョンの誕生によるメリットをより一層享受できると説明している。
ワッサン氏によれば、今年中にシンガポール・リージョンに匹敵する100種以上のサービスを提供する態勢を整える。クラウドサービス料金の一層の引き下げは、電力料金と再生可能エネルギー発電の増加が鍵を握ると指摘した。23年段階でデータセンターを含むAWSの世界のオペレーションで消費した電力の全ては再生可能エネルギー由来となっており、タイでもこのスタンスは保持する。ただし現状、タイの再エネ発電量は不足していることから、カーボン・クレジットで相殺している状況。
昨年第3四半期の住宅市況=過去12・四半期で最低水準
昨年第3四半期の住宅市場の関連指標が2021年第3四半期以降、四半期ベースで最低水準となった。不動産情報センター(REIC)が算出する住宅市場指数は76.8ポイントで、前四半期の84.8ポイント、前年同期の79.3ポイントを下回った。コロナ禍にあった20年第2四半期から21年第3四半期を除けば、71.3ポイントに落ち込んだ21年第3四半期以来の低水準。
住宅市場は需給両面で落ち込んでいる。引き渡し件数は前年同期から3%減少、新規事業の発売も需要が低いと判断されたエリアの物件は先送りされている。デベロッパーは販売価格が700万バーツ以下の物件へのシフトを強め、脆弱な消費者の購買力に対応しようとしている。
REICは第4四半期の指数も前年同期比6.3%減の82.1ポイント程度にとどまったと推測している。四半期ベースの経済成長率は昨年第1四半期が1.6%、第2四半期が2.2%、第3四半期は3%と徐々に改善しているが、住宅市場の回復は遅れている。
住宅購入に関する首都圏の消費者の信頼感指数は昨年第2四半期に39.6ポイントだったが、第3四半期には40.5ポイントに改善した。中間値の50ポイントにはまだ及ばないが、少なくとも消費者の心理が改善に向かいつつある兆しは見える。政府による不動産市場の活性化策と景気の緩やかな回復が背景にある。特に女性の信頼感の回復が男性よりも早く、住宅購入意欲が強い層の54.3%を占めた。年齢別では25~34歳の信頼感が最も高く、購入意欲が高い層の46.9%を占めている。住宅購入を半ば決断している人のうち、32.5%は居住目的での購入予定で、17.5%が賃貸その他の投資目的。
住宅の種類別では56.3%は新築と中古住宅の双方に関心を持っている。新築住宅のみに関心を持つ者は第2四半期に37.2%だったのが、当期は33.7%に減った。中古住宅に関心を抱く者は逆に8.3%から10%に増えた。一戸建て住宅を望む者は40.4%で最も多く、特に300万~500万バーツの価格帯を望む者が多かった。これに続いたのはコンドミニアムの34%で、価格帯では200万~300万バーツを望む者が多い。タウンハウスは20.6%。価格帯はコンドミニアム同様300万~500万バーツが人気。ツインハウスは4.8%で、300万~500万バーツの物件を望む者が多かった。
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