ピチャイ副首相が日本訪問=半導体・自動車産業の協力強化を推進
ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相は、投資委員会(BOI)の代表団を率い、2月19~21日に日本を訪問する。投資セミナーを開催するほか、日本の主要企業経営者との会談を通じ、タイにおける半導体、自動車、農業・食品産業の生産拠点拡大の可能性を協議し、エネルギーおよび産業分野での協力強化を図る予定だ。
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ナリット・トゥードサティラサック事務局長によると、今回の訪問はピチャイ副首相にとって就任後初の公式訪問となる。三井住友銀行や日本の主要ビジネスパートナーと協力し、東京・帝国ホテルで「Thailand-Japan Investment Forum」を開催する。日本の主要企業の経営幹部や投資家300名以上がすでに参加登録を済ませている。ナリット事務局長によれば、タイの未来産業の投資ハブとしての可能性を紹介する場になる。
セミナーでは、タイ政府の経済政策や投資機会、BOIによる投資優遇措置について説明し、日本の企業家にタイ市場の魅力を伝える。タイで成功している日本企業の事例も紹介し、経験を共有する場も設ける。タイ観光公団(TAT)、アマタ、WHA、ロジャナ、アジアのタイ国内の主要工業団地、バンコク銀行、日本貿易振興機構(ジェトロ)、海外技術者協力協会(AOTS)、日タイ経済協力協会(JTECS)、三井住友銀行などがブースを設置し、投資・貿易関連の情報を提供する。
ピチャイ副首相と代表団は、セミナーに加えて、日本の半導体、自動車、農業・食品産業の主要企業との個別面談も行ない、タイへの投資拡大について協議する。武藤容治経済産業大臣と会談し、エネルギーおよび産業分野での協力について意見交換する予定。ピチャイ副首相は訪問を前に、「日本の投資家は貿易、投資、観光、工業開発の重要なパートナーであり、日本はタイにおける最大の直接投資国でもある」と述べた。
今回のロードショーの目的は大きく、①日本の投資家に対する信頼構築、②タイへの新規投資機会の提示の二つ。すでにタイに進出している企業や、新たに投資拠点を検討している企業に対し、タイ政府が今後も投資を支援し、安定した経済パートナーであるとのメッセージを伝える。そして、日本が強みを持つ次世代産業(半導体、高度電子機器、電動車(xEV)、スマート農業、高付加価値食品、新エネルギーへの投資を呼びかける。また日本の中小企業やスタートアップの海外展開に対する支援を強化する。
過去5年間(2020~2024年)に日本企業は1176件の投資申請を行ない、総額3000億バーツ以上の投資が認可されている。
住宅ローン規制(LTV)=中銀が緩和を検討
タイ中央銀行は、不動産・建設業界の事業者と協議し、販売状況を分析した。業界からは住宅購入を促進するために住宅ローン規制(LTVルール)の緩和を求める声が上がっている。
中銀の広報担当のチャヤワディ・チャイアナン総裁補は、さまざまなデータを収集し、今後の政策決定の基盤とする考えを示し、規制の緩和も視野に入れて検討する方針を明らかにした。ただし、中銀の見解では、住宅販売の減少はLTV規制が主因ではなく、経済の低迷や金融機関の厳格な融資審査が影響しているとされている。
中銀は最近、不動産・建設業界の関係者と協議し、市場の課題やデータを共有した。事業者側はLTV規制の緩和を強く求めており、特に2軒目、3軒目の住宅購入における規制緩和を要望する声が多かった。中銀によるデータ分析と事業者との協議からは、不動産市場の回復がまだ本格化していないことが確認された。チャヤワディ氏は、中銀が引き続き市場の動向を監視するが、LTV規制の緩和が市場活性化につながるかを慎重に検討すると語った。規制緩和は高所得層にとって一定の効果が見込める一方、低所得層や金融的に脆弱な層には効果が限定的。規制を緩和するだけでなく、投機的な動きや不動産市場の需給バランスも考慮する必要があると強調した。現在、収集したデータと業界関係者との協議結果を金融機関政策委員会に報告する予定であり、第2四半期にはより具体的な方針が示される見通し。
現在の不動産市場の低迷は、特定の規制が原因ではなく、経済状況の変動に起因している。さまざまな要因が絡み合っているため、需要の低迷や貸出審査の厳格化の要因を慎重に分析する必要がある。不動産市場の回復が遅れているのは、全体的な経済リスクが高まっていることが一因。また一部の購入希望者の信用リスクが高く、ローン審査が厳しくなっている。規制緩和が市場全体にどれほどの効果をもたらすかは不透明であり、金融機関との継続的な協議が必要だとしている。
◆「あなたは闘い、私たちは助ける」
一方、金融機関監督担当のスワンニー・ジェサダーサック総裁補は、「あなたは闘い、私たちは助ける」プログラムについて、2月16日時点で82万人(99万口座)が登録したと発表した。中銀の調査によると、1月31日時点では63万人が登録していたが、資格基準を満たしたのは24万人(全体の38%)のみで、期待を下回る結果となった。その理由として、①登録者の一部が誤った債務者情報を提供していた、②延滞のない健全な債務者が登録していた、③すでに債務返済が完了しており支援対象外だった、の3点が挙げられると説明した。
スワンニー氏はローンの返済負担を軽減することがプログラムの目的で、例えば、月々1万バーツの返済が必要な場合、最初の1年間は5000バーツの支払いに抑えられると説明した。一方で、新規借入の禁止期間(12か月間)が参加を妨げているとの指摘もある。
ノンバンクもこの債務者支援プログラムに参加可能だが、現在、参加しているのは2社のみ。政府貯蓄銀行(GSB)が提供するソフトローンの適用条件をクリアする必要がある。
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