財務相と中銀総裁が会談=金利引き下げは要求せず
ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相とタイ中央銀行のセータプット・スティワートナルプット総裁は5月16日午前、財務省で会談した。報道メディアを避けての行動で、ピチャイ氏によれば約2時間にわたって財政・金融政策について話し合った。政府と中銀の対立を解消することが狙いで、政策金利の引き下げは求めなかったという。
セーター首相はかねてより中銀に金利の引き下げを求めてきた。またセーター政府の中核与党であるプアタイ党のペートンターン・チナワット党首は、中銀の政府からの独立が政策遂行の障害になっていると発言し、中銀法改正にまで言及していた。この日の財務相・中銀総裁会談はそうした背景のもとで行なわれた。
ピチャイ氏は、中銀総裁との協議が初めてであったため、財務省で会うことになったとした上で、会談が2時間近く続いたことを明らかにし、有意義なものだったと述べた。会談の結論として、「財務省、中銀ともに宿題ができた。まずは双方が宿題に取りかかり、進展すれば、解決策を見つけるために再度、話し合うことになるだろう」とコメントした。
会談後にメディアの取材に応じたピチャイ氏は、金融政策に関する共通理解を得るため、2つの重要な問題について意見を交換したと述べている。1つは、財務省と中銀が合意の上で定めるインフレ・ターゲットの枠組の調整で、通常、毎年見直されることになっているが、一般インフレ率で1~3%という誘導目標は4年以上にわたって据え置かれたままとなっている。中銀は各種の分析手法を使って短期、中期にインフレがどう推移するかを検討しているが、現状、インフレ率は長らく誘導目標範囲に収まっていない。ピチャイ氏は、中銀には中銀の考えがあるのだろうが、果たして今後の数か月でインフレ目標の枠内に収まるのかどうか、一緒に議論する必要があると語った。
ピチャイ氏が言及したもう一つの論点は、現在、債務問題を抱えている脆弱な層の資金へのアクセスで、貸付条件を柔軟化できないか、一緒に考えたいと語った。資金アクセスは金利調整よりも重要な問題で、特に中小事業者、コロナ流行期に借金を抱えた債務者、不良債権化した債務者などが融資にアクセスできない問題を解決するため、融資条件を再考する必要があるとしている。また債務返済もより柔軟なものに改める必要があるとの見解を伝えた。
ピチャイ氏は、中銀が「責任ある融資」のガイドラインを設け、金融機関に遵守を求めていることについて、タイの金融セクターの強化につながると評価した上で、与信審査にあたってはある程度の柔軟性があってもいいと指摘した。金融システムには過剰流動性が約4兆バーツあるとされることから、これを中小事業者への融資に使うことができるというのがピチャイ氏の主張で、ポートフォリオ全体から見れば僅かな額でしかなく、金融システムの安定性に大きな影響を及ぼすことはないと考えている。
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