トランプ関税で首相が声明=交渉チーム立ち上げ
ペートンターン首相[=写真]は4月3日午前、米国がタイに対し37%の関税を課すと決定したことに対する緊急会見を開き、交渉を担当する作業チームを立ち上げると述べた。タイの関税率はアセアン諸国の中でも高い率になっている。首相は、「米国からの輸入の関税構造を見直す必要がある」と述べた。

同日発表した声明では、タイ政府が米国の貿易収支調整の必要性を理解していること、多くの貿易相手国に対する今回の政策が持つ影響を認識していることを示した。トランプ大統領の貿易政策の枠組みと戦略は、従来とは全く異なるものと指摘した。
◇タイに課される関税とその影響
米国の発表によれば、全ての国からの輸入品に対し最低10%の関税が課され、貿易黒字を持つ国や、米国に対して「不公平」とみなされた国に対しては、非関税障壁や各種手数料を含む複数の要素を勘案して、さらに高い関税が課される。タイに対しては、37%の関税が設定され、4月9日から適用される。
この関税措置は、タイを含むすべての貿易相手国に影響を及ぼすもので、とりわけ米国の消費者の購買力に直接的な影響を与えることが懸念される。急激な価格上昇により消費が冷え込む可能性があるため、長期的には米国への輸出依存を避けるべく、新たな有望市場の開拓が必要との認識を示した。また、米国市場を主力とする輸出業者に対し、緊急的な救済および影響緩和措置を講じる計画があることを明らかにした。
さらに、早期に米国と交渉を行なう用意があるとし、両国にとって公平な貿易均衡の実現を目指すと述べた。トランプ大統領の就任前の今年1月6日にすでに設置済みの「米国貿易政策タスクフォース」が、過去3か月間にわたって民間とも連携し、米国との貿易交渉に向けた十分な提案を準備してきたとした。米国に交渉の動機づけを提供するもので、農業、消費者、事業者への影響を最小限に抑えるものになっているという。また、この機会を利用し、一部産業の生産構造を見直し、コストの削減と競争力の強化に取り組む意向も表明した。
声明では、タイが米国との長期的な貿易の安定と均衡を実現する強い意思を持っており、相互補完可能な産業を中心に協力を深めたい考えを表明した。一例として、農業・食品分野において、米国産農産物をタイが輸入・加工し、世界市場へ輸出するモデルの構築を挙げた。
また、ハードディスクドライブ(HDD)製造の主要拠点であるタイの立場は、米国のデータセンターやAI産業の発展に不可欠で、このような分野での協力拡大が期待されるとした。声明の最後に、両国がともに経済的安定を築き、未来志向の協力を推進していくことの重要性を訴えた。農業および先端技術産業におけるパートナーシップを通じて、グローバル市場における共栄を図り、両国のビジネスおよび農業セクターに対する影響を最小限に抑えるよう、早期の建設的対話を呼びかけた。
◇政府の対応策と今後の交渉計画
声明発表後の記者団との質疑では、政府が短期および長期の両方の対応策を準備中で、短期的には輸出業者を支援するための交渉や救済措置を検討していることに言及した。現在、財務省と商業省が対策を検討中と説明した。「当面の措置や今後の交渉内容について、準備は整っている」と強調した。また、平均関税率が9%であることにも言及した。
首相は同日朝にチュラパン・アモンウィワット財務副大臣とも協議したことを明かしたうえで、「この件については、しばらく前から議論されており、特に交渉チームの設置については準備が進められていた。過度な懸念は不要だ」と述べた。交渉団を率いる座長に関しては、今のところ商業省次官と財務省次官が担っており、交渉の相手やレベルに応じて、次官レベルから大臣レベルまでの体制が整えられる予定だとした。
影響評価に関する質問に対し、首相は「事業者への支援策はある。損失の程度については、36%の関税がすべて発効しているわけではなく、一部の品目に限定されている。数値が判明したことで、今後の交渉や税構造の調整を通じて合理的な着地点を見出すことが可能と考えている」と回答した。
首相は、現在の貿易交渉では、もはや「多ければ良い」「少なければ悪い」という単純な関係ではなく、「より少なくしてより多く得る」といった戦略的駆け引きが求められていると指摘。詳細な内容は追って説明するとした。
経済成長率が政府の目標に届かない可能性について問われると、首相は「そのような状況に至らないよう、しっかりと対応していく。財務副大臣とも協議し、国民に向けた説明を速やかに行なう」と述べた。現在策定中の計画については「堅固な構成となっているが、新たな数値が出てきた以上、柔軟な修正が必要」とも語った。
米国との通商に関し、首相政策顧問団の代表であるパンサック・ウィンヤラット氏が指揮を執り、すべての輸出入品目を調査・分析していることを明らかにした。近日中に具体的な対応策が発表される見込み。
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