「ネスカフェ」めぐる係争=ネスレに製造・販売停止の仮処分
ネスレとマハキットシリ家の合弁事業をめぐる対立が激化する中、民事裁判所は「ネスカフェ」の製造・販売停止を命じる仮処分を下した。インスタントコーヒー製造を担う合弁会社、クオリティ・コーヒー・プロダクツ(QCP)の事業継続を巡って株主間の合意が得られず、ネスレ側はライセンス契約の終了と会社解散を求める一方、チャルームチャイ・マハキットシリ氏[=写真]が法的措置に踏み切った。仮処分は、タイ国内で圧倒的なシェアを誇るネスカフェ製品の流通に大きな影響を与えるとともに、コーヒー農家や中小事業者を含む広範な関係者への波及が懸念されている。ネスレは仮処分の取り消しを求め、今後審理が行なわれる予定だ。

ネスレとマハキットシリ家の「ネスカフェ」の製造・販売をめぐる係争で、ミンブリ民事裁判所は4月3日にネスカフェの製造・販売を停止する仮処分を下した。ネスカフェの製造を担う合弁会社であるQCPの事業継続について合意に至っていないことが原因。
QCPの株主であるチャルームチャイ・マハキットシリ氏がミンブリ民事裁判所に提訴し、裁判所の仮処分により、ネスレは「ネスカフェ」の商標を使用したインスタントコーヒー製品の製造・委託製造・販売・輸入が禁止されている。ただし、ネスレは4月8日、ミンブリ民事裁判所に仮処分に対する異議申立てを行なっており、今後審理が行なわれる予定。
ネスカフェ製造の合弁会社であるQCP社はマハキットシリ家が50%、ネスレが50%を出資して1989年9月21日に設立された。インスタントコーヒーの製造を主な事業内容とし、現在の登録資本金は5億バーツ。2023年の売上高は171億8400万バーツで、純利益は30億6800万バーツ。売上高は年間150億~170億バーツで安定し、純利益は毎年30億バーツを超えている。中でも2021年の純利益は約37億バーツと最高を記録した。
ネスレは、2021年にQCPとのライセンス契約を終了したことを発表しており、契約の終了は国際仲裁裁判所により2024年12月31日付で法的に有効とされていることも示している。その後、QCPの将来に関して株主間で合意に至らず、ネスレは今年3月14日、バンコク南民事裁判所にQCPの解散を求める申立てを行なっている。
3月から4月にかけて、チャルームチャイ氏はネスレ関連企業および役員を相手取り、2件の民事訴訟を起し、それぞれに仮処分が出されている。4月3日には、ネスレに対する再度の仮処分が下され、ネスカフェ製品の製造・販売等が全面的に禁止された。ネスレは4月4日に全国の小売店に通知書を送付し、ネスカフェの注文受付停止を通達した。ただし、在庫製品の販売は通常通り可能。
ネスレは今回の裁判所命令により、小規模な事業者が収入を失うおそれや従業員、取引先、サプライヤーへの影響も深刻と強い懸念を表明している。コーヒー農家や酪農家も、原材料の供給先を失うことになり、生活に影響が出る可能性がある。ネスカフェは毎年、タイ産ロブスタ種の生豆の国内収穫量の半分以上を買い取っている。
ネスレは、この状況の是正に向けて仮処分の取り消しを求める異議申立てを行なっている。
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