2025年4月28日(月)号

中国人観光客の回復に遅れ=欧米・中東からの誘客へ軸足移す

 タイの観光業の回復に足踏みが見え始めている。年初に起きた中国人著名俳優の一時失踪事件に加え、3月28日の地震の影響で、中国人観光客の訪タイ意欲が冷え込む状況が続いている。ソンクラーン連休最終日の4月16日には、中国人観光客の1日当たり入国数が5833人にまで落ち込んだ。今年1月1日から4月20日の外国人観光客の国籍別内訳では、中国、マレーシア、ロシア、インド、韓国が上位を占めているものの、中国人の割合には依然として陰りが見られる。
 観光スポーツ省のまとめによると、今年1月1日から4月20日にタイを訪れた外国人観光客は1127万2379人で、前年同期比0.52%の微増にとどまっている。訪問者の国籍別では中国人が152万4697人で最多、以下マレーシア人140万1169人、ロシア人83万5385人、インド人67万7793人、韓国人54万9982人が続いた。
 ナタリヤー・タウィウォン観光スポーツ省次官[=写真]は、第2四半期の外国人観光客数を前年同期比3%増の837万人、観光収入は8%増の3904億2000万バーツと予測している。一方、タイ人による国内旅行者数は2%増の延べ5184万人、収入は6%増の3043億バーツと見込んでいる。


 第1四半期の実績では、外国人観光客数が2%増の955万人で、これはコロナ前2019年水準の88%に相当する。観光収入は7%増の4718億7500万バーツで、2019年比91%だった。ただし、中国、香港、台湾、韓国、ベトナムからの観光客数は総計で17%減少しており、安全面への懸念が影響していると見られる。
 タイ人の国内旅行は延べ5010万人で3%増、観光収入は6%増の2698億7000万バーツとなった。外国人とタイ人を合わせた観光収入は、前年同期比6%増の7417億4500万バーツだった。
 4月中旬に開催されたペートンターン首相が統括する観光政策会議では、2025年の観光収入をコロナ前水準である3兆バーツに戻すことを目標に掲げた。このうち外国人観光客から2兆バーツ、国内旅行者から1兆バーツを見込む。ただし、この目標は当初の3兆5000億バーツから下方修正されている。上半期の外国人観光収入の見込みは8622億9500万バーツにとどまりそうで、通年での2兆バーツ達成には不透明感が漂っている。
 かつて中国人観光客は、1日当たり平均1万5000~2万人、多い時には10万人に達していたが、最近では7000人前後にとどまる日が続く。4月11日には1万6000人を記録したものの、連休終盤の16日には再び大幅に減少した。
 背景には、安全性への不安のほか、中国経済の減速、中国政府の国内旅行奨励政策、春節後の航空便の減便などがある。これにより、中国人の訪タイ旅行は減少傾向に拍車がかかっている。
 こうした情勢を受け、観光スポーツ省とタイ観光公団(TAT)は、誘客の重点を欧米および中東の遠距離市場にシフトする方針を打ち出した。スウェーデン、ニュージーランド、クウェート、サウジアラビア、英国、ロシア、フランス、カナダ、ドイツ、オーストラリア、スペイン、オーストリアなどを重点ターゲットに据える。これらの市場では購買力の高い旅行者が多く、タイへの関心も高まりつつあるという判断による。

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