日タイ、エネルギー・産業対話=次世代車・人材・循環経済で連携強化
4月29日、タイと日本のエネルギー産業対話(EID)の第1回会合が開催され、ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相と武藤容治経済産業大臣が共同議長を務めた[=写真]。初会合では①マルチパスウェイ戦略の推進(Promotion of Multi-Pathways)、②サーキュラーエコノミーの推進(Promotion of Circular Economy)、③競争力あるサプライチェーンと人材の維持・発展(Maintaining and Developing a Competitive Supply Chains and Human Resources(Including Support for SMEs)の3項目を議論した。日タイ両国が次世代エネルギーへの転換と低炭素社会の実現に向け、産業の競争力を強化し、持続可能な経済成長を促進するための重要なステップとなった。今後も、具体的な協力プロジェクトや政策対話を通じて、両国の連携が一層深まると期待されている。

マルチパスウェイ戦略の推進では、EV、FCEV(燃料電池車)、ハイブリッド車、内燃機関車など、多様な車両技術を活用し、タイを次世代自動車の生産・輸出拠点とする方針を確認した。高い現地調達率の実現や、製造プロセスの脱炭素化、水素・合成燃料・バイオ燃料の活用促進が含まれる。
サーキュラーエコノミーの推進では、環境問題の解決と新産業の創出を目的に、老朽化した自動車の適切な廃車・リサイクルを促すエコシステムの構築や、デジタル技術を活用したサプライチェーン全体の脱炭素化・生産性向上に向けた協力を確認した。
サプライチェーンと人材の維持・発展では、タイの中核的な産業基盤を維持しつつ、次世代自動車技術の導入を促進するため、サプライチェーンの強靭性と適応力を強化し、中小企業への支援を含む人材育成の重要性を共有した。
このEID枠組みは、日タイのカーボンニュートラル社会の構築に向け、先端技術、クリーンエネルギー、次世代自動車への移行を推進する協力体制の強化を目的としている。会合後には、日本の民間部門とタイ側の機関との間で9件の覚書の署名式が執り行なわれた。日本のココペリ社は、タイ中小企業振興機構(OSMEP)と中小企業支援に関する基本合意を締結し、海外ビジネスマッチングプラットフォーム「BIG ADVANCE GLOBAL」のタイでの展開を進める。
また、「次世代自動車産業に向けた人材育成」をテーマとしたパネルディスカッションも開催され、ピチャイ大臣、武藤大臣、エカナット・プロムパン工業大臣が開会の辞を述べた。
投資委員会(BOI)のスターシニー・サミット顧問は「次世代自動車分野における人材育成戦略と新世代人材の創出」をテーマとしたパネルディスカッションに日本自動車部品工業会、タイ自動車部品製造業者協会、三菱自動車タイランド、デンソー・インターナショナル・アジアの代表と共に参加した。スターシニー氏は、EV、半導体、AIなど次世代自動車産業を支える人材育成に関する展望を示し、職業訓練機関に対するインセンティブ、先端技能人材の育成機関設立支援策、高度外国人材の誘致を目的としたLTRビザなどの具体的な支援策を紹介した。また、タイと日本の公的・民間機関との連携により、次世代自動車産業に対応可能な人材の長期的な育成を目指す取り組みも紹介した。
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