2025年5月14日(水)号

第1四半期も投資は好調持続=申請件数・金額ともに大幅増

 投資委員会(BOI)のナリット・トゥードサティラサック事務局長は、2025年のタイへの投資動向について、依然として高い成長を示しており、国内外の投資家からの関心も継続していると述べている。今年第1四半期には、投資奨励申請が件数・投資額ともに大幅に増加しており、タイへの投資に対する投資家の信頼を示すものとなった。
 1~3月に申請件数は822件で、前年同期比20%増。合計投資予定額は4312億3700万バーツにのぼり、前年同期比97%増となった。同事務局長は、タイのポテンシャルに対する強い信頼の表れだと述べた。
 分野別の主な投資額は以下の通り:
 ・デジタル産業:947億3500万バーツ(40件)
 ・電子機器/電気製品:878億1400万バーツ(122件)
 ・自動車/同部品:234億9900万バーツ(72件)
 ・再生可能エネルギー発電:175億1700万バーツ(102件)
 ・石油化学/化学品:139億4200万バーツ(81件)
 ・農業/食品加工:127億1900万バーツ(61件)
 ・観光業:92億6100万バーツ(10件)
 ・医療関連:80億3400万バーツ(25件)
 外国直接投資(FDI)は、第1四半期においても継続的に拡大している。投資申請は618件で、前年同期比43%増、合計投資予定額は2676億6400万バーツで、62%増となった。
 投資申請額が多かった国・地域の上位10か国・地域は以下の通り。
 1.香港:1351億5900万バーツ
 2.中国:473億800万バーツ
 3.シンガポール:380億7,500万バーツ
 4.日本:251億1,100万バーツ
 5.台湾:47億5,600万バーツ
 6.オランダ:21億4,200万バーツ
 7.マレーシア:19億1,900万バーツ
 8.アイルランド:16億2,800万バーツ
 9.フランス:15億3,100万バーツ
 10.ノルウェー:14億1,800万バーツ
 地域別では、東部地域への投資が最も多く、2465億5500万バーツ、444件に達した。以下、中部地域が1525億2500万バーツ、南部が172億5600万バーツ、東北部が55億5100万バーツ、西部が39億8000万バーツ、北部が29億3000万バーツと続いた。
 このほか、既存事業の効率化を目的とした「スマート&サステナブル・インダストリー」支援策についても、関心が高まり続けている。第1四半期には、同枠組みに基づく投資申請が82件あり、投資予定額は55億4800万バーツに達した。多くは、省エネ技術、再エネ活用、機械更新、生産効率向上を目的としたデジタル技術の導入、自動化・ロボットの導入など。
 一方、BOIが投資奨励を承認したプロジェクトは、第1四半期に776件、投資額は5822億2500万バーツにのぼった。これら承認済みプロジェクトの波及効果として、国内原材料調達で年間約1900億バーツ(総原材料使用額の約43%)、タイ人の雇用創出約6万人、年間輸出額約3900億バーツの増加が期待できる。
 実際の投資段階に最も近い手続きであるBOI証発行に至ったプロジェクトは660件、投資額は2367億7800万バーツに達した。
 ナリット事務局長は、前年から続くタイ国内の投資の勢いが引き続き保たれていることを示す一方で今後、米国の関税政策、大国間のブロック化、技術分野における排他的措置の影響により、タイは米国、中国、そしてアセアン域内の競合国との間で、これまで以上に厳しい競争環境に置かれるとの見通しを示している。そのうえで、こうした世界情勢の変化を好機として捉えるには、タイは抜本的な対応を迫られていると指摘。制度・戦略の大規模な見直しが不可欠で、特に投資奨励政策については、現在関係各方面との協議を進めており、近く本会議に対し、現状に即した新たな枠組みを提案する予定でいることを明らかにした。
 新たな投資奨励政策では、雇用創出の質を高めるだけでなく、技術移転の促進、共同投資の拡大、国内原材料の活用強化といった要素が明確に反映される。また、公平な競争環境の整備に加え、タイ国内の脆弱な産業を適切に保護する仕組みも設ける方向で検討が進んでいる。「タイが投資先としての魅力を保つためには、単なる資金の呼び込みにとどまらず、その投資がタイと国民にとって真の価値をもたらすものでなければならない」と述べ、政策の質的転換を示した。

国家AI委員会が初会合=人材育成とインフラ整備を加速

 国家AI委員会(委員長ペートンターン首相[=写真])は5月1日、第1回の会合を開催し、今後2年間で1000万人の国民がAIを使いこなせるようにするほか、9万人のAI専門職と5万人のAI開発技術者を育成するという国家的目標を掲げた。


 プラサート・チャントラルアントーン副首相兼デジタル経済社会相によれば、委員会ではAI活用に不可欠なクラウド・システムやデータセンターなどのインフラ整備を推進するとともに、無償で利用可能なオープンソースのAIプラットフォーム開発に向けた指針も策定する。また、AI開発に有用なデータを統合的に管理する「データバンク」の設置も進める方針を明らかにした。
 これらの基盤整備により、2026年までに政府機関の業務を完全にデジタル化する構想も進めており、必要な投資額は約5000億バーツにのぼる。政府はこの資金について、国内外の民間資本の活用も想定している。
 AI導入は医療、観光、農業など、政府が戦略的に重視する産業分野で積極的に推進される見通し。業務効率の改善や収益性向上への貢献が期待されており、民間との連携による研究施設の開発・運営構想も盛り込まれている。

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