THAIが7月再上場へ=負債削減と新機材導入進む
経営破綻からの再建を進めるタイ航空(THAI)は、今年7月のタイ証券取引所(SET)での取引再開を視野に入れ、新スローガン「Fly for the New Pride」と「The New Worlds Of Tomorrow」と題したキャンペーンを通じてブランド刷新に乗り出した。負債圧縮や人員削減などを通じて財務体質が改善し、営業収支も回復基調にある中で、保有機材の更新や新サービスの導入を進め、成長軌道への回帰を図る。
同社は2020年、総額4000億バーツにのぼる負債を抱えて事業更生手続きに入ったが、現在までに負債総額は800億バーツまで圧縮された。チャイ・イアムシリCEOによれば、この負債は2036年までに完済予定で、今年中に約100億バーツを返済する計画となっており、すでにそのための資金も確保されているという。
事業更生計画に基づき、同社は100億バーツ相当の資産を売却し、3万人いた従業員を1万4000人まで削減。人件費は総費用の23%を占めていたが、現在は13%にまで低下している。当面は現状の人員を維持する方針を示している。
2023年の総収入は前年比16.7%増の1880億バーツ。一方、最終損益は453億バーツの赤字となったが、これは債務株式化によって発生した406億バーツに及ぶ特別損失が主な要因となっている。資本転換による増資額は760億バーツにのぼる。チャイCEOによると、営業収支は過去2年間黒字で推移しており、コロナ禍前より有償座席数が20%減った中でも収入はコロナ前の水準に戻っているという。
また、額面株価を10バーツから1.3バーツに引き下げる減資を実施し、累積損失を解消。自己資本はプラスに転じ、第2四半期中には破産裁判所に事業更生計画の完了を申請できる見通しが立っている。
財務状況の改善を受け、新たな航空機導入計画も始動した。すでにボーイング787-9型ドリームライナー45機を発注済みで、さらに35機の発注も計画している。現在の保有機数は79機で、コロナ前は103機だった。初納機は2027年半ばの予定で、その後10年以上かけて段階的に納入される。
また、今年中にはリースによってエアバスA321neo型機3機が導入され、2026年にはさらに19機が加わる見込み。2026年には保有機数が103機、2027年には116機、2033年には150機に達する見通しで、チャイCEOはこの航空機の保有数を「今後の成長の土台」と位置付けている。老朽機の順次退役も進んでおり、代替となる新機材の導入は不可欠としている。
世界的には航空需要がコロナ前の水準に回復しているが、中国経済の減速の影響で、アジア太平洋地域のみ回復がやや遅れている。それでもチャイCEOは、来年にはアジアでも需要回復が見込めるとの見通しを示している。
サービス面では、タイ空港社(AOT)との提携により、バンコクでトランジットする旅客向けにサービス向上プログラムを導入。次の目的地に向かうまでに2、3日間滞在する旅客に、旅行オプションの提供や宿泊・移動手続きを支援している。
また、バンコク・エアウェイズ(BA)との間で、ウタパオ空港に共同の航空機補修センターを建設するプロジェクトも立ち上げた。総工費100億バーツのこのプロジェクトについては、すでに覚書が締結されている。政府が推進する「タイをアジア太平洋地域における航空機整備ハブにする」方針に沿った取り組みだ。
さらに、スワンナプーム空港にある貨物ターミナルが手狭になってきたことから、新たなターミナルの建設も構想している。ケータリング事業については戦略的パートナーを探しており、条件が整えば積極的に協議に入る方針を示している。
2025年冬季スケジュールでは、64路線・週883便を運航する。前年同期比で40便の増加となっている。
チャイCEOは、今年5~6月に事業更生計画を完了させ、7月にはSETへの再上場を実現したい考えを示している。
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