2024年9月12日(木)号

ペートンターン新政権=新任大臣が公務開始

 ペートンターン政権で新たに入閣したエカナット・プロムパン工業相、ピチャイ・ナリプッタパン商業相らが9月11日に初登庁し、記者団に抱負を述べた。工業大臣は中小企業の資金繰り難の解消、商業大臣は物価の引き下げを優先事項に挙げている。
 エカナット工業相は記者団に対し、製造業、特に中小企業の資金繰り難の解消と競争力強化に注力すると述べた。中小企業の多くは資金繰りに苦労し、資金にアクセスすることが困難になっている。
 また、工業省のもとに設置されている各種の基金を寄せ集めて「産業改革基金」を設置する構想を明らかにした。各種の基金は充分に機能しているとは言い難く、より明確な目的を持つ単一の基金の下で管理するのが望ましいと述べた。新たな基金の設置と既存の基金の統合には法規の改正が必要。大臣は3か月以内に済ませるとしている。
 中小企業向けの新たな工業団地の開発については、タイ工業団地公団(IEAT)と協議する考えを示した。工業団地内に工場を建設する場合、土地の購入を含め多額の投資が必要になる。限られた投資予算で中小企業が工場を建てられるようにすることが狙いで、立地などについてIETAと話し合っていくと述べた。
 プームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼国防相に代わって商業大臣に就任したピチャイ・ナリプッタパン氏は11日に公務を開始した。生活費上昇の問題への対処、自由貿易協定(FTA)交渉の加速、中国からの安価な商品の流入に対する規制強化に急ぎ取り組むと述べた。ナピントーン・シーサンパン氏とスチャート・チョムクリン氏の2人の副大臣は、セーター前政権から留任しており、2人の副大臣と協力して、タイ経済を成長させる重要任務を果たしていきたいと語った。
 ピチャイ大臣は最優先事項として、消費財の価格引き下げによる国民負担の軽減を挙げた。製品のコストを見直し、価格を引き下げるよう企業に協力を求める考え。中国製品氾濫の問題については、既存の措置を再評価して、現行規制が効果的でないことが判明した場合には追加措置を実施するとした。ただし、タイが中国製品の輸入を阻止しようとしているように見られないよう、中国製品を強調することは避けたいと語っている。FTAは外国からの投資増につながるため、FTA交渉を急ぐことも重要だとした。
 デジタル経済社会省は外国の電子商取引(EC)プラットフォームの監督で関連機関の協力を求めていく。プラサート・チャントラルアントーン大臣は前政権からの留任だが、新政権では副首相も兼務するため、商業省、財務省、工業省などとの連携がこれまでよりも容易になる。
 プラサート大臣は、外国のECプラットフォームがタイへの見返りを何ら提供することなく、タイ国内のインフラや市場を利用していると指摘。消費者はプラットフォーム上の商品の品質を懸念していると付け加えた。海外のECプラットフォームを監督し、タイ国内のECのエコシステムを強化するため、適切な規制枠組みを設ける。EC産業の標準、手数料、税制など、すべての次元をカバーする枠組が必要だと見ている。また、中小企業や国内のECプラットフォームの振興がデジタル省の最優先事項の一つだと述べた。

燃油価格統制の新法制定=ピーラパン大臣が意欲

 前政権から留任したピーラパン・サーリーラットウィパーク副首相兼エネルギー相は9月11日、石油と調理用ガス(LPG)の価格を抑制するため、エネルギー省の権限を強化する新法の制定に注力する考えを示した。燃油の国内小売価格はシンガポール市場の価格を参照しているが、ピーラパン大臣はかねてより、国内での実際のコストを反映する価格構造に変える意向を示している。
 ピーラパン大臣が構想する新法は、電力料金を設定するエネルギー事業監督委員会(ERC)と同様に、燃油/LPG価格を統制する委員会を設置する内容。この委員会が石油に対する物品税の税率調整と石油基金を運用することで価格を操作し、小売価格を安定させる。石油の物品税率は財務省が設定しているが、新制度ではエネルギー省の委員会が設定し、財務省は徴税のみを担う。エネルギー当局が税率を決定しても法律に違反はしないと説明している。
 新法の制定はまた、石油基金機構を解散することにつながり、委員会が基金を管理する道を開く。委員会は燃油と調理ガスの価格を毎月審議して、毎月の価格を発表する。これにより企業や家計は燃油消費をより適切に計画できるようになる。
 セーター政府は軽油の小売価格を1㍑あたり33バーツ未満に抑制する政策を採っている。この措置は10月31日に期限を迎える。調理用ガス価格は15㌔㌘あたり423バーツに固定する補助金政策が9月30日に終了する予定。ピーラパン大臣は両政策ともに期限が延長される可能性は高いと述べている。

セントラル・パタナー=SC5か所を開発・改装

 ショッピングセンター(SC)開発・運営のセントラル・パタナー社(CPN)は、SCの改装頻度を増やして消費者の消費行動の変化に対応する。従来5~7年だった改装周期を3~4年に短縮する。
 チョナワット・ウアワタナサクン副社長[=写真左から2人目]は、バンコクや主要地方都市に住む流行の最先端を行く消費者のニーズに応え、生活向上と経済発展の地方分散に貢献していくと述べた。商業施設を核にオフィス、ホテル、住宅を併設したミックスユースの施設開発を重視、「エコシステム・フォー・オール」を合言葉にあらゆるニーズに応える。


 このほど150億バーツを投じ、クラビー、バンナー、ピンクラオ、ジェーンワタナ、チェンマイの5か所の複合商業施設の開発・リノベーションに着手する計画を明らかにした。
 セントラル・クラビーは来年第3四半期にオープン予定の複合商業施設。114ライの敷地に45億バーツを投じる。床面積は4万7500平米。住宅団地、コンドミニアム、ホテルを併設する計画だ。クラビーはプーケットと並んで世界的に知られる観光地で、観光収入は国内6位(南部で第3位)、世帯あたり家計支出は国内トップ5に入る高い購買力がある。自然の景観の美しさを売りにするクラビーの複合商業施設として、自然との調和を重視した設計。建物の配置も県内の島々の位置関係を真似、上部から俯瞰できるようにする。コンセプトは「ニュー・ヘブン・オブ・ライフ」。
 セントラル・バンナーの周辺地域は高級コンドミニアムが5000戸、それ以外の住宅が90万戸集中する近郊住宅地で、住民の購買力は高い。事業地55ライを複合商業施設にする計画で、床面積1万平米のSCを刷新する。より購買力の高い消費者を意識した店作りを進める。コンセプトは「アーバン・ラクス&ラッシュ・ライフスタイル」。
 ピンクラオはトンブリ地区の中心的な商業地域で、セントラル百貨店はランドマークになっている。改装のコンセプトは「コンプリート・デスティネーション」。
 ジェーンワタナは、政府合同庁舎が開設されたことで副都心的な位置づけを持つに至っている。タイで勤務する外国人も多く、購買力は高い。過去10年間で住宅物件は300%増えた。今後5~10年で、周辺に勤務するオフィスワーカーはさらに30万人増えると予想されている。電車ピンク線が開通したことも人の流れを変える。コンセプトは「アップリフト」。
 チェンマイは住宅が34%増、観光客数も2019年当時から300%増えており、高級ホテルの開業も相次ぐ。チェンマイ市は2028年までにクリエイティブ・エコノミーの中心都市になる目標を掲げている。セントラル・チェンマイ・エアポートの改装におけるコンセプトは「ローカル・エッセンス・イン・モダン・ツイスト」。
 CPNが運営するSCの1日あたり来店者数は140万人。1人あたりの滞在時間は2.5時間となっている。バンナー店の来店者数は5万人、ピンクラオ店は7万人、ジェーンワタナ店は4万人、チェンマイ店は4万人で、新装開店後は少なくとも2割増を見込む。

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