2024年5月16日(木)号

「SUBCON」で首相講演=6つの投資基盤の強みアピール

 5月15日、下請け産業の商談会を兼ねた投資委員会(BOI)主催の見本市「SUBCONタイランド2024」がBITEC展示場で開幕した。開会式で講演したセーター首相は、タイを世界的な投資拠点に押し上げると語った。世界で大規模な生産拠点移転の流れが生じている現状は、タイが世界のサプライチェーンの中心になるチャンスだと述べ、タイには6つの強みがあると訴えた。


 第1の強みは、世界の地政学的対立の問題に対し、タイが中立的な立場をとっていることで、誰とも対立していないため、タイは世界クラスの企業にとって魅力的な投資先になっているとした。
 首相は南部ランドブリッジ計画について、開発には多額の資金が必要となるものの、世界の物流の新たな選択肢になると強調。昨年、スエズ運河が閉鎖された際に世界中でサプライチェーンが混乱したことも紹介し、ランドブリッジ計画は長期的な視点で考える必要があると述べた。世界貿易の舞台で確たる地位を持つ「アジアのスイス」になることができると付け加えた。
 第2にタイがクリーン・エネルギーへの投資を促進するための支援措置を講じていることを示した。2040年までにクリーン・エネルギーは国内の総発電量の50%を占めるようになる。データセンターなど大量の電力を消費するビジネスにも対応できると約束した。
 第3に自由貿易協定(FTA)の推進を挙げた。セーター政府は、スリランカとの間で新たにFTAを結んだほか、欧州自由貿易連合(EFTA)など複数のFTA交渉が進行中。韓国、バングラデシュやブータンとも交渉開始で合意した。欧州連合(EU)とのFTAにも取り組んでいる。
 第4に生活の質を挙げた。インターナショナル・スクールや優れた医療設備を持つ病院が充実していることに加え、ビジネスのしやすさを良くするための努力を政府が継続していることを訴えた。
 第5に政府が各種の貿易交渉にあたって、タイ国内のサプライチェーンとの連結を重視し、タイの産業のサプライチェーン全体を考慮した誘致活動を展開しているとした。生産工程でタイの部品を使うよう交渉し、タイの企業が取り残されないよう、技術移転も要請している。首相は、タイ政府と外国企業との交渉では、この問題が常に交渉枠組に入っていると述べた。
 第6にタイには空港、道路、鉄道、港湾などの優れたインフラがあることをアピールした。
 BOIのナリット・トゥードサティラサック事務局長は、タイが新たな産業への移行期にあるとし、長期的に国の競争力を高める産業として、EV、スマート・エレクトロニクス、デジタル、オートメーション/ロボティクスを挙げた。特にEVは政府が普及支援策を設け、国内市場の形成に努めている。「EV3.0」と「EV3.5」政策では、輸入販売するEVに補助金を出しているが、追ってタイ国内で生産することを条件にしている。EV産業の促進は、セルレベルからのバッテリー生産の投資奨励にも及んでいる。
 同事務局長は、EVのサプライチェーン構築を加速させるため、BOIがBYD、NETA、GWM(長城)のEVメーカー3社のサプライヤー探しを支援してきたことを示し、部品生産で18件、投資額400億バーツ超を奨励認可したことを明らかにしている。BOIはさらに長安汽車とも同様の取り組みを始める。
 一方、セーター首相は、EV産業の開発にはタイ国内に堅固な生産基盤を持つ日本の自動車メーカーの参加が欠かせないと指摘。タイに生産拠点を持つ自動車メーカーがエンジン車からEVに移行できるよう、手厚い投資優遇を考案したと述べている。

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