2024年7月30日(火)号

ハイブリッド車生産を支援=物品税率の優遇継続

 国家EV政策委員会は7月26日、今年2回目の会議で「EV産業への移行支援策」を決定した。ハイブリッド車(HEV)の物品税率を引き下げる内容。現在、最も低い税率で4%。26~27年に8%となり、28年から32年にかけては税率を段階的に引き上げていくことになっていたが、一定の条件を満たせば物品税率を最低で6%に引き下げる。
 タイ政府は2016年に自動車の物品税構造を改め、電気自動車の税率を優遇した。合わせて投資委員会(BOI)を通じて電気自動車の生産を奨励する措置を設けた。この時の優遇策はバッテリーEV(BEV)のほか、HEVとプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)も対象になっていた。現在のHEVの税率は二酸化炭素排出量が1㌔㍍走行につき100㌘未満で8%、100㌘超120㌘以下では16%となっている。ただしBOI認可を受けたプロジェクトは2018年から25年までの8年間にわたって物品税率がそれぞれ4%、8%に優遇されている。
 タイ政府はその後、バッテリーEV(BEV)への移行を進めるため、「EV3.0」「EV3.5」と呼ぶ政策を実施、対象をBEVに絞り、物品税率は乗用車で2%の税率が0%になっている。投資委員会(BOI)によれば、BEV、バッテリー、重要部品の生産や充電ステーション開発を含めた投資額は800億バーツを超える。EV3.0、3.5には24のブランドが参加しており、今年上半期のBEVの登録台数は3万7679台で、前年同期を19%上回っている。
 一方で、ハイブリッド車については、BOIの優遇措置が終了することで26、27年は8%の税率となり、28年からは物品税率を2年ごとに2%ずつ引き上げていくことになっていた。
 この日の会議の議長を務めたピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相[=写真]によれば、タイを世界クラスの統合されたEV生産拠点に押し上げるため、HEVの物品税率を引き下げることにした。自動車メーカーの新技術への移行をサポートするもので、500億バーツ以上の投資が生み出されると期待している。対象になるのは10人乗り以下の内燃機関システムと電気システムを組み合わせた自動車技術であるハイブリッド・モデル。タイの自動車産業の競争力を長期的に維持しつつ、環境に優しい自動車への移行を進める。
 この日の会議では二酸化炭素排出量が1㌔㍍走行につき100㌘未満のハイブリッド車の物品税率は6%、100㌘超120㌘以下では9%に引き下げることを決めた。ただしこの税率の適用を受けるためには24~27年にかけて30億バーツ以上の追加投資が必要。また国内で生産または組み立てられた主要部品を使用することも条件。26年からは国産バッテリーを使用し、その他の重要部品も28年以降は国内で生産または組み立てられたものを使用する必要がある。重要部品は、①トラクション・モーター②減速機③インバーターの3点。中程度に重要な部品は①BMS②DCU③空調システム用コンプレッサー④電気回路ブレーカー⑤DC/DCコンバーター⑥高電圧ハーネス⑦バッテリー冷却システム⑧回生ブレーキシステムの8点。
 50億バーツ以上を追加投資する場合、重要部品3点で国産品を使用するか、重要部品2点と中程度部品2点、重要部品1点と中程度部品4点を選ぶことができる。追加投資額が30億バーツ超50億バーツ以下の場合は重要部品3点を国内で調達しなければならない。
 このほかにも先進運転支援システム(ADAS)は、①AEB(Advanced Emergency Braking System:衝突被害軽減制動制御装置)②FCW(Forward Collision Warning:前方衝突警告)③LCAS(Lane Keep Assist System:車線維持支援システム)④LDW(Lane Departure Warning:車線逸脱警報)⑤BSD(Blind Spot Detection:死角検出システム)⑥ACC(Adaptive Cruise Control System:アダプティブ・クルーズ・コントロール)の6つのシステムのうち少なくとも4つが搭載されている必要がある。
 会議に出席したナリット・トゥードサティラサック投資委員会(BOI)事務局長によれば、ハイブリッド車は高い成長可能性を秘めたセグメントで、自動車メーカー各社が輸出向けと国内市場向けの両方で生産している。EVへの移行を支援する技術でもあり、このセグメントの重要性を認識して、物品税の優遇措置を講じることにしたと説明した。すでに5社以上の自動車メーカーが関心を持ち、今後4年間で500億バーツ以上の投資が見込まれ、国産部品の使用率の向上にも貢献すると述べている。

1~6月の輸出2.0%増=6月は3か月ぶりに収縮

 商業省が7月26日に発表した6月の物品輸出額は247億9660万㌦で、前年同月比0.3%減となった。マイナス成長は3か月ぶり。主要果物の収穫シーズンが終わりに近づき、市場出荷量減から輸出が減少したことが響いた。また世界貿易の状況も貿易障壁措置に対する懸念が高まり、多くの国の選挙の行方も不透明で、EVへのシフトという技術変化がエンジン車の輸出減少をもたらしている。
 上半期の物品輸出額は前年同期比2.0%増となり、石油/金地金/武器を除いた輸出額は3.1%増となった。プーンポン・ナイヤナパコン商業政策戦略事務局長[=写真]によれば、6月の物品輸入額は245億7850万㌦で、前年同月比0.3%減。貿易収支は2億1800万㌦の黒字となった。貿易黒字は2か月連続。
 1~6月合計の輸出額は1452億9000万㌦で前年同期比2.0%増、輸入額は1505億3260万㌦で同3.0%増。貿易収支は52億4270万㌦の赤字だった。
 6月の農産物/アグロインダストリー製品の輸出額は3.3%減。3か月ぶりにマイナス成長となった。農産物は2.2%減、アグロインダストリー製品は4.8%減。
 米の輸出は96.6%増へと上向いた。イラク、南アフリカ、インドネシア、米国、コートジボワール向けが伸びた。天然ゴムは28.8%増で、8か月連続での増加となった。中国、マレーシア、日本、韓国、インド向けが伸びた。鶏肉調製品は4.0%増で、4か月連続で増加した。英国、オランダ、シンガポール、アイルランド、カナダ向けが伸びた。ペットフードは13.1%増で、プラス成長は9か月連続。米国、オーストラリア、マレーシア、イタリア、フィリピン向けが伸びた。果物缶詰・加工品は6.0%増で、9か月連続で増加した。中国、オーストラリア、オランダ、アラブ首長国連邦、カナダ向けが増えている。動植物油脂は147.7%増で、プラス成長は2か月連続。インド、マレーシア、ミャンマー、イタリア、ベトナム向けが伸びた。
 一方で、生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥果物は37.8%減となった。砂糖は51.9%減となり、6か月連続で収縮した。飲料は9.5%減、2か月連続で減少した。生鮮・冷蔵・冷凍鶏肉は13.4%減、2か月連続で収縮した。
 上半期の農産物/アグロインダストリー製品の輸出は3.3%増だった。
 6月の工業製品の輸出額は0.3%増で、プラス成長は3か月連続となった。自動車/同部品の輸出は13.5%増へと上向いた。フィリピン、ベトナム、日本、メキシコ、サウジアラビア向けが伸びた。コンピュータ/同部品は22.0%増、3か月連続で増加した。米国、中国、オランダ、ドイツ、チェコ向けが伸びた。機械/同部品は7.2%増、4か月連続で増加した。中国、インド、シンガポール、ベトナム、ミャンマー向けが増えた。電話機/同部品は20.1%増で、プラス成長は13か月連続。米国、香港、オランダ、マレーシア、ミャンマー向けが伸びた。
 一方で、ゴム製品(7.9%減)、合成樹脂(6.3%減)、化学薬品(5.5%減)、集積回路(21.4%減)、鉄鋼/同製品(24.2%減)、エンジン/同部品(54.2%減)は収縮した。
 上半期の工業製品の輸出は2.0%増となった。
 仕向け地別に見ると、6月の主力市場向け輸出は1.3%減だった。中国向けが12.3%減、日本向けが12.3%減、アセアン(5)向けが2.0%減となった一方、米国向けは5.4%増、CLMV向けは7.6%増で、EU(27)向けは7.9%増へと上向いた。

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