BOIの11月1日の本会議=データセンター事業2件を認可
投資委員会(BOI)は11月1日にピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相を議長に開いた本会議で、グーグルとGDSの2件のデータセンター事業やプリント基板の原料生産事業など大規模投資プロジェクトを認可した。
ナリット・トゥードサティラサック事務局長によれば、グーグル系のクオンツ・コンピューティング社が327億6000万バーツを投じるほか、GDSグループのデジタルランド・サービシズ社が280億バーツを投じてデータセンターを開設する。
クオンツ・コンピューティングによるデータセンター建設は、今年9月30日にグーグルの親会社であるアルファベット・グループのルース・ポラット最高投資責任者が首相官邸にペートンターン首相を表敬訪問した際に伝えた事業計画に基づくもので、タイにデータセンターと新たなクラウド・リージョンを構築する。第1フェーズの投資額は約10億㌦。データセンターはチョンブリ県に設ける。グーグルにとってアジアで5番目のデータセンターで、27年初めの供用開始を予定している。
世界有数のデータセンター・サービス・プロバイダーであるGDSによるプロジェクトもチョンブリ県に設け、26年の供用開始を予定している。
ナリット事務局長によれば、2つのプロジェクトともに高い処理能力を備えた大規模なハイパースケール・データセンターになる。東南アジア地域で急成長する消費者と企業のクラウドサービス需要に応える。特にタイはオンラインサービスの利用率が高く、デジタル技術へのアクセスが盛んなことから、進出先に選んだ。タイの企業部門は事業を拡大し、組織に付加価値を生み出すため、5G、クラウド・コンピューティング、IoT、AIの活用を進めている。タイは東南アジアの他国との接続に便利な位置にあり、他国にデータセンター・サービスを提供する拠点として利用できることもタイの強みになっている。
ナリット氏は「タイでのデータセンター事業への投資のトレンドは続いている。世界的な企業である2社が大規模データセンターへの投資を決定したことは、タイのポテンシャルを強化する」と述べている。国のデジタルインフラの強化に貢献するほか、企業と政府機関のデジタル時代への移行をサポートする。またタイを東南アジア地域のデジタル・イノベーション・ハブにするのにも役立つとしている。
BOIによれば、現在、投資奨励を申請しているデータセンターとクラウドサービス事業は計47件、投資額は1730億バーツ以上で、米国、オーストラリア、中国、香港、シンガポール、日本、インド、タイの大企業が投資している。
この日の本会議ではチェンイー・テクノロジーによるプリプレグや銅張積層板(CCL)などのプリント基板の原材料生産プロジェクトに対する投資奨励も認可した。投資額は61億5000万バーツ。同社はこれらPCB原料の生産で世界2位。KCE、APEX、MFLEXなどの大手PCBメーカーを主な顧客としている。タイのPCB産業の成長傾向を見て進出を決めた。タイの新たな経済エンジンの一つとなりつつある PCB産業のサプライチェーンを構築する上で重要なプロジェクトと期待している。事業地はチャチュンサオ県。
この日の会議では洪水の影響を受けたBOI認可企業を支援する措置も承認した。被災企業の苦しみを和らげ、事業の早期回復を支援する。損傷した機械を交換するための機械の輸入関税が免除される。洪水により損傷または紛失した機械や原材料は税負担なしでの償却を許可する。
このほかにも今年末に申請期限を迎えることになっていた①既存生産拠点の維持・拡大支援策(Retention and Expansion Program)、②統合的事業移転促進策(Relocation Program)、③経済活性化に向けた投資刺激策、④自動車産業の高度化に向けた投資奨励策について、申請期限を25年末まで延長することを決定した。
AOT運営の6空港=顔認証システムを導入
タイ空港社(AOT)のキラティ・キットマーナワット社長[=写真]によれば、同社が運営する6空港の2024年度(23年10月~24年9月)の旅客数は延べ1億1929万人で、前年度比19.22%増を記録した。今年度(24年10月~25年9月)は8.95%増の1億2997万人を見込む。うち国際線旅客は8.17%増の7861万人、国内線旅客は10.18%増の5136万人。運航便数は10.32%増の80万8280便で、内訳は国際線が9.02%増の45万3750便、国内線が12.02%増の35万4530便を見込んでいる。
スワンナプーム空港の旅客数は7.4%増の6444万人、便数は8.69%増の37万6820便(1日平均1000便)に達する見込み。昨年度は34万8980便(同950便)だった。ドンムアン空港は3320万人(13.91%増)、22万3200便(13%増)と予測した。
顔認証システムを導入して旅客の認証手続きを迅速化する計画がすでに動き始めており、今年11月1日には6空港全てにおいて国内線で試験的に導入された。12月1日からは国際線でも運用を開始する。手続きは各航空会社のチェックイン・カウンターもしくは自動チェックイン機で行なう。当初6か月は地上勤務職員が窓口で補助する態勢を保持する。同社長によれば、顔面認証システムは旅客の同意が前提となるため個人情報保護法には抵触しない。
マナポン・ジャルーンシー運輸副大臣によれば、AOT社が運営する空港以外を含む全国の空港の運航便数は昨年度に83万6513便で、前年度比16%増だった。コロナ前の水準に近づいており、さらに増える傾向にあることから、今年度は100万便の大台に乗る可能性もある。
10月3日にはスワンナプーム空港第3滑走路が稼働を開始し、これまで1時間あたり68便だった発着処理能力が94便へと飛躍的に向上した。同空港の航空管制業務を担うエアロタイ社では、当初2か月ほどは発着便数を1時間あたり68~75便に抑え、全体の3割ほどを新滑走路に誘導する方針。その後の2か月で75~85便に増やし、来年初めまでに85~94便とする計画。仮に第4滑走路ができれば処理能力は134便まで拡充できるという。
国際民間航空機関(ICAO)は、今年7月のアジア太平洋地域のASK(有効座席㌔/運航した座席数に輸送距離を乗じた数値で、当該航空会社の輸送量の指標)が2019年同月に比べて11.3%低く、RPK(有償旅客㌔/旅客数に輸送距離を乗じて算出した航空会社の旅客輸送実績を示す指標)は6.8%高くなったことを明らかにした。世界全体の国際線の運航ではASKは18.7%、RPKは11.3%低い状態にあるという。
世界の航空業界がコロナ禍前の水準にまだ回復していないことを示すものだが、欧州~北アフリカ、北米~西南アジア、中米域内、北米域内などすでに回復した路線もある。
アジアは全般に回復が遅れており、特に中国とアジア域内や北米を結ぶ航路は回復が鈍い。今年8月現在の世界の航空需要の構成比は、アジア太平洋地域が34%、欧州が24%、中米が7%、中東が6%、北米が26%、アフリカが3%。空港別で旅客数が多いのはオランダのアムステルダムスキポール空港、ロンドンのヒースロー空港、ドバイ国際空港の順になっている。
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