2024年12月17日(火)号

18日に金融政策会合=政策金利は据え置き見通し

 タイ中央銀行の金融政策委員会(MPC)は12月18日に政策決定会合を開く。現在の政策金利は年2.25%。前回会合では0.25%幅の利下げを多数決(5対2)で決定したが、金利引き下げ局面入りしたわけではないとしているため、今回の会合では金利の据え置きを全会一致で決める可能性が高い。足元の景気がMPCの見通しに沿って回復を続けていることからも現在の金利は景気、インフレ、金融の安定に対し中立的な水準と考えている。
 MPCは前回10月16日の政策決定会合では多くのエコノミストの予測を裏切る格好で0.25%幅の利下げを決定している。ただし利下げが景気の先行きに配慮したものではないことを強調し、次回会合以降の利下げの継続は否定している。タイ経済は全体としてMPCの従来の予測通り、回復軌道にある。また一般インフレ率は徐々に上昇に向かい、今年終わりごろには金融政策の誘導目標範囲(1~3%)に収まると考えている。来年の一般インフレ率は1.2%と見積もっている。
 今年第3四半期(7~9月)の経済成長率は3.0%に達しており、第4四半期はさらに加速する見通しにある。観光業がハイシーズンを迎えていることに加え、政府の景気刺激策の効果もある。
 一方、25年には金利を下げる可能性が高い。カシコン・リサーチ・センター社は12月12日付けのレポートで、来年は2回の利下げがあると予測した。タイ経済の抱える下振れリスクは増大する見通しにある。特に米国が主要貿易相手国に対する関税を引き上げる可能性は高まっている。これには対米貿易が大幅な黒字になっているタイも含まれる可能性がある。また中国製品のタイ国内市場への流入増も予想され、競争の激化で国内の事業者が打撃を受ける。インフレ率はMPCの誘導目標範囲である1~3%を下回る水準で安定する可能性が高い。
 来年の金利は低下する見通しだが、その時期や規模は不確実で、経済指標、インフレ率、経済安定性に左右されることになりそう。
 ただし現在の金利は適切な水準とする金融当局の見解に対し、低インフレからの脱却のためには利下げが必要というのが政府の見解。ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相は政策金利の引き下げを求めている。政策金利の決定はMPCの専権事項としつつも財務省が経済データを提供し、中銀とは議論を重ねてきたと述べている。
 家計債務膨張の問題では政府、中銀、商業銀行が連携した「あなたは闘い、私たちは助ける」プログラムが発足。家計債務残高の対GDP比を低下させる取り組みが進展している。

タイ・マレーシア首脳会談=27年までに二国間貿易300億㌦

 タイとマレーシアは12月16日現地時間午前11時からマレーシア首相官邸でペートンターン首相[=写真左]とアンワル・イブラヒム首相[=写真右]の二国間首脳会談を開いた。2027年までに二国間貿易額を300億㌦に増やすとした目標設定で合意した。貿易と投資、国境の連結性、観光などの重要な分野で経済協力を強化する。

 両首脳は、300億㌦の目標達成に向け、インフラ開発を促進し、貿易と経済関係を強化するとのコミットメントを再確認した。特に国境貿易は二国間貿易の30%を占めていることから、国境の接続性を改善し、国境を越える移動を簡便にすることが重要との認識を共有した。


 ペートンターン首相は、両国が鉄道の接続性を強化し、アセアンの地域物流イニシアチブを共同で支援することへの期待を表明した。あわせて具体的な結果を生むため、①農業と食糧安全保障②国境貿易を含む貿易と投資③観光④安全保障の4つの重要分野でタスクフォースの設置を提案した。
 両国が直面する洪水問題の解決策についても協議した。また南部国境3県の和平に向けた対話では、仲介役としてのマレーシアの役割を認め、タイ代表団の座長の任命を待って直ちに和平交渉が再開されることを期待していると述べた。アンワル首相は南部国境県の治安問題はタイの内政問題であることを強調したうえで、タイが深南部の平和と繁栄を実現することを願っていると応じた。ペートンターン首相は、イスラム協力機構などの国際的な舞台でタイを支援してほしいと要請した。
 両首脳は人身売買、麻薬取引、不法移民、オンライン詐欺を含む国境を越えた犯罪に対処する協力に満足の意を表明した。アンワル首相は、経済、貿易、投資、観光、ハラル食品、交通分野の接続性、エネルギー、地域安全保障を含む様々な分野にわたる二国間関係と協力の成果をあらためて強調し、タイとマレーシアのパートナーシップは地域協力の有益なモデルになると述べた。両国と地域の観光産業を後押しするためタイが構想する地域単一観光ビザ「6カ国、1目的地」イニシアチブへの支持も表明した。
 両首脳はマレーシア・ゴム委員会とタイ天然ゴム公団の協力覚書と文化協力に関する政府間協力覚書の署名式にも立ち会った。
 首相はマレーシア首相官邸で催された公式昼食レセプションに出席した後、同日夕、タイに帰国した。

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