2025年1月7日(火)号

12月のインフレ率は1.23%=25年予測は0.3~1.3%

 商業省が1月6日に発表した12月の一般消費者物価指数上昇率(一般インフレ率)は1.23%となった。比較ベースとなる前年同月の数値が低いローベース効果から燃油の指数が上昇したほか、食品・飲料の物価も上昇した。通年平均のインフレ率は0.40%。第4四半期(10~12月)に限れば1.00%だった。商業省は25年の一般インフレ率を0.3~1.3%(中間値は0.8%)と予測した。
 プーンポン・ナイヤナパコン商業政策戦略事務局長によれば、12月に食品・飲料の物価は前年同月比で1.28%上昇した。ランブータン、マンゴー、パイナップルなどの果物、インスタントコーヒー、炭酸飲料どの飲料、ココナツ、オイスターソース、カレーペーストなどの調味料、米、総菜、魚・エビなどの水産品の物価が上昇した。野菜、鶏卵、豚肉、ヨーグルト、植物油、デリバリー食品の物価は下落した。
 非食品物価は前年同月比で1.21%上昇した。軽油、ガソホール、ガソリンなど燃油の物価が上昇したほか、電気代、家賃、航空運賃、生徒送迎バス料金、理美容も上昇した。シャンプー、ボディソープなどの個人ケア商品、洗濯洗剤、トイレ洗剤などの清掃関連、衣服の物価は下落した。
 一般インフレ率から生鮮食品とエネルギーを取り除いた基本消費者物価上昇率(コアインフレ率)は12月に0.79%となり、11月の0.80%を下回った。
 12月の一般消費者物価は前月比で0.18%下落した。食品・飲料の物価が0.51%下落した一方、非食品は0.07%上昇した。
 今年の消費者物価は0.3~1.3%を見込む。経済成長率が24年と比べて上向くことでデマンドプルのインフレ圧力は前年に比べて増加する。軽油の小売価格を1㍑あたり33バーツ未満に抑制する措置は継続されそうだが、今年第1、第2四半期は前年よりも高くなるため、インフレ率を上昇させる要因になる。一方で、電気代と液化石油ガス(LPG)の価格を低位に抑える政策は継続される見通しにある。24年はエルニーニョとラニーニャ現象で野菜・果物の物価が高水準にあったため、ハイベース効果により25年は下落する見通し。また不動産業と自動車販売の不振は続きそうで、家賃や自動車の価格の上昇は抑制される。

生産者物価は0.9%増

 12月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比で0.9%増となった。前月比では0.2%減。24年の通年平均は1.7%増だった。第4四半期(10~12月)は前年同期比0.3%減で、前四半期比でも1.0%減となった。

国家エネルギー政策委=第2次再エネ電力割当を保留

 国家エネルギー政策委員会は12月25日、ピーラパン・サーリラットウィパーク副首相兼エネルギー相[=写真]を議長に開いた会議で、2022~30年の再生可能エネルギー電力購入計画に基づく事業者募集で第1次の選考に漏れた事業者に優先的に電力購入枠を割り当てるとしたエネルギー事業監督委員会(ERC)による12月16日の決定を保留した。ピーラパン大臣は、選定プロセスと実施方法に疑念があり、国民の懸念が高まっていると述べている。


 エネルギー事業監督委は72事業所の申請を認可していた。発電容量は2145.4メガ㍗。内訳は風力発電が8事業所、565.4メガ㍗、太陽光発電が64事業所、1580メガ㍗。稼働開始時期は2528~30年。
 再エネ電力はタイ発電公団(EGAT)が購入し、従来の化石燃料発電による電力と合わせて供給する計画。再エネ電力の比率が一定の水準に達した場合には「グリーン電力料金(UGT)」が導入されるほか、電力を消費する事業所に対して「再エネ証明書(REC)」を発行することが可能になる。RECは輸出産業が輸出先での通関手続きで提示し、炭素税を回避するのに必要な書類。
 ERCは今年9月25日に第2次再エネ電力購入概要(3600メガ㍗)を決定、第1次募集(5200メガ㍗)で選考から外れた198か所の再エネ発電事業者に2180メガ㍗分を優先的に割り当てる方針を決定した。これを受け、10月8日にEGATが再エネ電力購入価格を太陽光発電で1ユニット(㌔㍗時)あたり2.16バーツ、風力発電で同3.1バーツの従来水準に据え置く方針を表明していた。今回申請を受理したのは2180メガ㍗の優先割当分。ただしこの優先割当方針にはピーラパン副首相兼エネルギー相が予てより異議を唱えていた。
 ERCは国家エネ政策委の干渉を受けない独立機関だが、事業者と電力を買い取るタイ発電公団、地方電力公団、首都電力公団との契約署名の許認可は国家エネ政策委が握っている。ピーラパン大臣は、契約署名を一時的に保留し、プロセスの正当性を確認するための調査を実施するとしている。
 ピーラパン大臣は国家エネルギー政策委員会事務局に対し、国家エネ政策委の法的な権限と義務について内閣法制員会事務局に照会するよう命じている。
 この日の会議では小規模発電事業者(SPP)と極小規模発電事業者(VSPP)から再エネ電力を追加購入する措置を承認した。既存契約に基づき、新たに設備投資なしで電力を受け入れ可能な範囲で追加購入する。最長で2年間(27年12月31日まで)、Non-Firm契約形態で行なう。買取価格はバイオマス/バイオガス/廃棄物発電で1ユニットあたり2.20バーツ、太陽光発電(屋根、地面、浮体式)で同1.00バーツ、風力発電で同0.50バーツ。再エネ電力の割合を増やすだけでなく、農民の収入を増やし、LNGの輸入削減や、電力コストの削減にもつながると説明している。

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[論調]
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[データ]
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[BOI認可事業]
11月12日認可8事業

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