2025年2月18日(火)号

2024年第4四半期=経済成長率は3.2%に加速

 国家経済社会開発評議会(NESDC)事務局の2月17日の発表によれば、24年第4四半期のタイ経済は前年同期比3.2%成長し、第3四半期の3.0%から加速した。季節調整後の前期比では0.4%成長した。ダヌチャー・ピチャヤナン事務局長[=写真]によれば、政府投資の拡大と輸出の回復が寄与し、民間消費も引き続き堅調に推移した。昨年の成長率は2.5%で、今年は2.8%を見込む。


◆民間消費と政府消費支出
 民間消費は前年同期比3.4%増となり、第3四半期の3.3%増を上回った。政府の経済刺激策と消費者の信頼感の向上が寄与した。特にサービス支出が6.4%増と好調で、ホテル/レストラン、ヘルスケア、運輸サービスへの支出が増えた。一方で、耐久財の消費は9.5%減少し、特に自動車購入の落ち込みが影響した。
 政府消費支出は前年同期比5.4%増となり、第3四半期の6.1%増から鈍化した。給与支払いが2.8%増加し、物品・サービス購入費は10.6%増、社会福祉の現物給付は13.1%増となった。

◆投資動向
 第4四半期の総固定資本形成(投資)は前年同期比5.1%増加し、第3四半期の5.0%増から加速した。政府投資が39.4%増と大幅に伸び、建設投資と設備投資がいずれも拡大した。一方で、民間投資は2.1%減少し、特に設備投資の低迷が影響した。自動車関連の投資が低迷し、新規自動車登録台数は18.6%減少した。

◆貿易動向
 物品輸出は766億6000万㌦となり、前年同期比10.6%増加した。輸出数量の増加と価格上昇が要因で、特にコンピュータ関連製品やゴム製品の輸出が伸びた。一方で、米や電気部品の輸出は減少した。
 物品輸入は713億900万㌦となり、前年同期比10.7%増加した。国内需要の拡大によりすべてのカテゴリーで輸入が増加した。貿易収支は54億㌦の黒字を維持したが、第3四半期の58億㌦の黒字を下回った。

◆生産部門の動向
 農業部門は5・四半期ぶりにプラス成長に転じた。農産物の生産指数が上昇し、特に果物やサトウキビの生産が増加した。
 製造業は0.2%増加し、前年同期の0.3%増とほぼ同水準だった。コンピュータや衣料の生産は伸びたが、自動車や家具の生産は減少した。
 宿泊・飲食業は10.2%成長し、観光業の回復が後押しした。第4四半期の外国人観光客数は945.7万人で、コロナ前の水準の96.32%に達した。
 建設業は18.3%成長し、政府主導のインフラ投資が貢献したが、民間建設は引き続き低迷した。

◆経済安定性
 失業率は0.88%で、前四半期の1.02%より低いものの、前年同期の0.81%より高くなった。一般インフレ率とコア・インフレ率は、それぞれ1.0%、0.8%となった。
 経常収支は56億ドル(1921億バーツ)の黒字を記録した。外貨準備高は2024年12月末時点で2370億㌦。公的債務残高は2024年12月末時点で11兆8500億バーツ(GDP比63.9%)だった。

◆2024年のタイ経済
 2024年のタイ経済は2.5%成長し、2023年の2.0%から成長率が加速した。支出面では、民間消費支出が4.4%、政府消費支出が2.5%それぞれ拡大した。投資に関しては、政府投資が4.8%増加した一方で、民間投資は1.6%減少した。
 輸出面では、物品輸出額(ドル建て)が5.8%増を記録した。生産分野では、宿泊・飲食サービスが9.5%、運輸・倉庫業が9.0%、卸小売業が3.8%、建設業が1.3%それぞれ成長した。製造業は0.5%減少し、農林水産業も1.0%縮小した。

◆2025年の見通し
 2025年のタイ経済は2.3~3.3%の成長が見込まれる。予測の中央値は2.8%。成長を支える主な要因として、①政府支出の増加、特に投資支出の拡大、②民間消費の継続的な成長と民間投資の回復、③観光・同関連サービス業の持続的な回復、④輸出の継続的な拡大が挙げられる。
 民間消費と民間投資はそれぞれ3.3%と3.2%の成長が予測され、物品輸出額(ドル建て)は3.5%増加すると見込まれている。インフレ率の平均は0.5~1.5%の範囲に収まり、経常収支はGDPの2.5%の黒字となる見通し。

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