政府が官製AMC設立を検討=家計債務削減で新たな取り組み
タイ政府は、家計債務の削減を目的として、新たな不良債権整理回収会社(AMC)の設立を検討している。国が銀行から家計向け不良債権を買い取り、整理回収にあたるとした構想で、タクシン元首相が言及した。まだ構想段階で詳細は不明だが、財務相は銀行業界と協議する考えを示している。
信用情報機関のナショナル・クレジットビューロー(NCB)のデータによると、昨年末時点で個人向けの不良債権(NPL)は959万口座に達し、総額は1.2兆バーツに上る。政府は、経済成長を圧迫する可能性があるこの問題に対処するため、官製AMCを通じて債務整理を進める計画だ。
官製AMCの設立は、1997年のアジア通貨危機後に設立されたTAMCの例がある。当時、銀行の不良債権比率は52.3%に達しており、銀行システム全体の危機的状況を緩和するために設立された。1997年のケースでは、政府が民間銀行の企業向け不良債権を買い取り、TAMCが整理回収にあたることで金融システムの安定化を図った。今回のAMC設立は、主に個人向け債務に焦点を当てている点が異なる。
カシコン・リサーチセンター(Kリサーチ)の分析によると、今回のAMC設立は、個人債務が対象となるため、管理コストが高くなるという課題がある。特に、信用情報機関に登録されていない非銀行系ノンバンクの債務(リース会社や貯蓄信用組合の貸付など)は、政府の監督下にないため、包括的な債務整理が困難になる可能性がある。
さらに、AMCを通じた債務整理が「モラルハザード」を引き起こす可能性も懸念される。AMCが銀行から債権を低価格で買い取る場合、借り手は「どうせ救済される」と考え、支払いを意図的に遅らせるリスクがある。その結果、金融機関が新規の融資をますます慎重に行なうようになり、市場全体の流動性が低下する恐れがある。
今回のAMC設立が成功するかどうかは、どのようなビジネスモデルを採用し、資金調達をどのように行なうかにかかっている。政府は、銀行やノンバンクと協力して債務の圧縮を進める方針だが、AMCが恒常的な機関となるのか、それとも一定期間で運用を終了するのかを含め、多くがまだ明確になっていない。
AMC設立の背景には、タイ経済の回復が不透明で、民間消費の回復が遅れていることが影響している。消費者の購買力は低下し、多くの世帯が債務返済に苦しんでいる状況だ。政府は、今後の経済状況を見極めながら、AMCの具体的な運用方法を決定するものと予想され、今後数か月に詳細が明らかになる見込みだ。
国家ソフトパワー戦略委員会=首相を議長に初会合
ペートンターン首相は3月19日、首相官邸で今年最初の国家ソフトパワー戦略委員会の会議を開き、官民の関係機関と協議した。首相は、すべての関係者に、タイのソフトパワーの推進を積極的に支援するよう呼びかけた。首相は、各県ごとに異なる独自のデザインやカラフルな伝統柄を施したパンツをソンクラン期間中に着用し、文化的アイデンティティのPRに活用するというアイデアを披露した。首相自身も各地の伝統的なパンツ約50着を選び、その中からスーツと合わせるのに適したデザインのものを着用する予定だという。
この日の会議は国家ソフトパワー戦略委員会の初会合であることを踏まえ、関係機関が協力してタイのソフトパワーを国際社会に広める取り組みを進めるよう求めた。観光業を通じて、外国人のタイ文化に対する理解を深め、タイの魅力をさらに高めていきたいと語った。会議後、首相と委員会のメンバーは、象柄のパンツや各県の伝統柄のパンツを着用し、記念撮影した[=写真]。

ソラウォン・ティアントーン観光・スポーツ相は今年のソンクラン祭が全国規模で盛大に開催されるとを発表した。バンコクの王宮前広場では、4月11~15日にかけて祝賀イベントが開催され、特に4月12日には、ソフトパワー委員会が主導するカーニバルやパレードが実施される。このイベントには、文化省、観光・スポーツ省、タイ観光公団(TAT)、商業省ほかが協力する。
また、ソンクラン期間中には、全国各地で地元の文化や伝統を紹介するマーケットが開かれる。TATは「ソンクラン全国マップ」を制作し、主な開催地としてチェンマイ、コンケン、ソンクラー、ナコンシタマラート、サムットプラカンなどをリストアップした。
チュラパン・アモンウィワット財務副大臣は、芸術活動の促進策として、タイを国際的なアートハブとするための税制優遇措置を提案した。個人が購入する芸術作品の購入額を年間10万バーツまで所得税控除の対象とするほか、アーティストの創作活動にかかる経費の控除率を30%から60%に引き上げる。関税局は「アートフリートレードゾーン」を設立し、美術品の輸出入に対する関税免除措置を検討する。タイをアジアのアートハブに育成し、国際的な芸術市場での競争力を高める。
首相政策顧問のスラポン・スープウォンリー博士は、若者向けの「Dream of Thailand」ストリートアートコンテストの実施を発表した。3月29~30日にかけて全国33県46大学で開催され、優勝チームには50万バーツの賞金と総理大臣賞のトロフィーが授与される。優秀なチームには、日本でのアート研修プログラムへの参加機会も提供する。
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