10万バーツ未満の家計向け不良債権=国による買い取りを検討
政府は、債務残高が10万バーツ未満の家計向け不良債権(NPL)を買い取る方針を明らかにした。少額債務者の経済的負担を軽減することで、経済の再生を促す狙いがある。
ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相は、現在の景気低迷により、特に低所得層が深刻な影響を受けているとして、小口債務の救済を政策の優先事項に位置づけていることを明らかにした。この構想では、約350万人の債務者、総額1200億バーツの債務が対象になる。
不良債権買い取りの原資は、国家予算を使用するのではなく、金融機関再建開発基金(FIDF)から拠出する。国は、不良債権を簿価の1%で銀行から買い取り、返済しやすい条件に再構成する。
ピチャイ財務相は「銀行側はすでにこれらの債権を損失として処理し、税引前利益から20%の税控除を受けているため、1%での買い取りは現実的。実際に過去には1%未満で取引された事例もある」と語っている。
対象となる債務は、無担保ローンや消費者向けローンで、1年以上返済が滞っているケースが中心になる。不良化している債務者者全体の65%にあたる約350万人を占め、金額にしてNPL全体の約10%にあたる。
ピチャイ氏は、こうした債務を適切に処理できれば、闇金融の利用を減らし、家計債務の削減や個人消費の回復にもつながり、最終的には経済全体の立て直しにも寄与すると述べている。
政府の支出は最小限に抑えられる見通しで、債務者援助措置の「あなたは闘い、私たちは助ける」プログラムに充てられたFIDFの予算のうち、200億〜300億バーツが利用できるとしている。
今後、金融機関との協議を経たうえで、NPLの買い取りを本格化させる。買い取った債権は、既存または新たに設立される整理回収会社(AMC)を通じて管理する。債務者には国の取得原価ベースで返済を求め、政府が利益を得ることはないとしている。
ただし、債務を完済したとしても、すぐにナショナル・クレジット・ビューロ(NCB)の履歴から削除されるわけではない。政府は、履歴の早期抹消や、NCBを経由しない新たな信用アクセスの手段についても検討している。たとえば、政府系特殊金融機関である政府貯蓄銀行(GSB)が1万~2万バーツの小口融資を提供する案があり、バーチャルバンクやNCBを参照しない民間金融業者からの融資も可能性としてある。こうしたローンの金利は、一般のローンよりは高めになるものの、闇金業者による年利100%にものぼる高利貸しよりははるかに低い水準で提供される。
一方で、この債権買い取り策がモラルハザードを招く懸念もあるが、ピチャイ財務相は「利点と欠点を充分に考慮したうえでの決定だ」と説明している。
家計債務の危機が長期化するなか、タクシン元首相の発言が政府の政策に色濃く反映されている。金融機関が保有する不良債権を国が買い取る構想は元首相が提案した。
国家経済社会開発評議会(NESDC)のデータによれば、2024年第3四半期時点でタイの家計債務は16.3兆バーツに達し、GDPの89%を占めている。このうち不良債権は1.2兆バーツで、全体の8.78%に相当する。
政府が家計債務対策として進めている「あなたは闘い、私たちは助ける」は、金融機関から不良債権に分類された個人債務者に、月々の返済額の減額、3年間の金利支払い猶予といった支援を提供している。条件を満たした債務者は、猶予期間中の金利が免除される。このプログラムの対象となる口座は約210万件、該当する債務者は190万人にのぼり、総債務額は8900億バーツに達する。しかし、プログラムの登録が開始された2024年終わり以降、登録者数は想定より少なく、政府は申請期限を2月28日から4月30日まで延長した。
今年3月12日時点で、登録者数は105万人、口座数は130万件となっている。プログラムの財源は、商業銀行によるFIDFへの拠出額の減額分と、金融機関との共同拠出金で構成され、年間の予算規模は780億バーツ。3年間で2000億バーツを超える見込みとなっている。
政府はまた、昨年10月に破産法改正法案を閣議決定している。法人同様に自営業者にも再生の道を開くもので、この新制度では、複数の債権者との間で一括調停が可能となり、破産や資産差し押さえに至る前に再生を図ることができるようになる。
2月の自動車生産台数=11万5487台、13.62%減
タイ工業連盟(FTI)自動車部会が3月25日に発表した2月の自動車生産台数は11万5487台にとどまり、前年同月を13.62%下回った。国内市場向け生産が21.26%減となったほか、輸出向け生産も9.48%減となった。特にピックアップ・トラックの国内市場向け生産は42.10%減を記録している。1~2月の生産台数は22万2590台で、前年同期比19.29%減。自動車各社の幹部は、今年の生産台数が良くて前年並みにとどまるとみている。
2月の乗用車の生産台数は3万8563台にとどまり、前年同月を23.55%下回った。内訳はエンジン車が1万6379台(44.64%減)、バッテリーEVが2242台(192.69%増)、プラグイン・ハイブリッド車が2227台(311.65%増)、ハイブリッド車が1万7715台(9.37%減)。
1~2月の乗用車の生産台数は7万4277台で、前年同期を27.85%下回った。内訳はエンジン車が3万2349台(48.02%減)、バッテリーEVが3907台(174.95%増)、プラグイン・ハイブリッド車が4392台(366.24%増)、ハイブリッド車が3万3629台(12.31%減)。
2月のトラックの生産台数は7万6924台で、前年同月比7.60%減。うち1トン・ピックアップ・トラックは7万6017台で、5.28%減となった。
1~2月のトラックの生産台数は14万8313台で、前年同期比14.19%減。1トン・ピックアップの生産台数は14万6621台で、同12.22%減だった。
2月の輸出向け生産台数は7万8535台で、前年同月比9.48%減だった。乗用車が1万3511台(47.01%減)、1トン・ピックアップ・トラックが6万5024台(6.14%増)。
2月の国内市場向けの生産台数は3万6952台で、同21.26%減となった。特に1トン・ピックアップ・トラックの国内市場向け生産は1万993台(42.10%減)にとどまった。
一方、2月の国内販売台数は4万9313台で、前年同月比6.68%減となった。前月比でも1.20%減少した。特にピックアップ車向けローンで金融機関による審査厳格化が響いている。FTI自動車部会のスラポン・パイシットパタナポン広報担当は、26日に始まるバンコク・インターナショナル・モーターショーでのピックアップ車の予約と金融機関の融資状況を注視したいと述べている。また、パオプーム・ローチャナサクン財務副大臣がピックアップ車のローンをタイ信用保証公社(TCG)が保証するスキーム「ロットクラバ・ピー、ミークランカム(俺のピックアップは財務省の保証付き)」の導入を明言していることに期待を寄せている。早ければ、モーターショー開催期間中の4月1日から開始される。ピックアップ車は国内生産の主力車種で、部品の90~95%が国内で調達されているため、自動車産業全体への波及効果が大きい。
1~2月の販売台数は9万7395台で、前年同期比9.53%減。
2月の輸出台数は8万1323台で、前年同月比8.34%減となったが、前月比では30.49%増を記録した。1~2月の輸出台数は14万3644台で、前年同期比18.12%減にとどまった。
国内の新車販売が低迷するなか、自動車メーカー各社はコスト削減や大規模なプロモーションキャンペーンで販売促進を図っている。26日に開幕する「バンコク・インターナショナル・モーターショー」では、各社がキャンペーンを通じて予約の増加を目論む。

あるメーカーの幹部によれば、今年に入ってからも販売不振は続いており、各ブランドは新たな販促策に賭けている。中には、7~8年の長期分割払いを金利ゼロで提供するブランドもあり、広報費やマーケティング予算を削減し、販促予算に集中投下しているケースもある。過去25年間で、これほど大規模なキャンペーンは見たことがないという。
今年1〜2月の国内新車販売は前年比2桁減となっており、年間の販売見通しも56万台を下回る可能性がある。販売不振の主因は自動車ローンの審査が厳しくなっていることにあるが、一部ブランド間の過度な価格競争も、消費者が購入を様子見する要因になっている。ただし、収縮幅は縮小傾向にあり、業界関係者の中には、国内市場が最悪期を脱したとの見方もあり、今後は徐々に持ち直していくと期待する声もある。
第45回バンコク・インターナショナル・モーターショーは、3月26日から4月6日までの12日間にわたり開催され、国内外の自動車メーカー41社が出展する。各社はこのイベントを販売回復の起爆剤と位置づけ、大型キャンペーンを通じて市場の活性化を狙っている。
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