カーボンクレジット取引=SECがトークン化推進
証券取引等監視委員会(SEC)は、トークン化されたカーボンクレジットや再生可能エネルギー証書(REC)、カーボン排出枠の取引を、国内のデジタル資産取引所やブローカーを通じて可能にする規制緩和を検討している。このほど開いた定例会合で規則案を承認した。タイをカーボンクレジット取引のハブにすることが目的。トークンは、ブロックチェーン上で移転・保存・記録されるため、今後のカーボン市場のインフラを支える技術として注目されている。
SECはこの取り組みについて、今後、意見公募を実施する予定。声明では「ブロックチェーン技術はカーボンクレジット市場の発展とグリーン経済の推進に貢献できる」としている。規則案は、トークン化されたカーボンクレジットの取引を、タイ国内のデジタル資産エコシステム内で認める内容。タイ政府が掲げるカーボンニュートラルとネットゼロ目標の達成を支援するほか、持続可能な金融分野のリーダー的地位の強化にもつながる。
昨年8月、SECはユーティリティトークンに関する規制を改定し、「消費用途限定トークン(ユーティリティトークン・グループ1)」については規制対象外としたが、それに伴いカーボンクレジットなど気候変動関連トークンの提供も制限されていた。今回の見直しはその対応策の一環となる。SECは、トークン化されたカーボンクレジットの取引を金融のエコシステムに組み込むための大きな一歩と説明している。
新たな規則案では、デジタル資産取引所やブローカーが取り扱うカーボンクレジット、再生可能エネルギー証書などのトークンについて、①トークンの選定および除外の基準とシステムを有する、②トークンに関する情報を明確かつ十分に開示する体制を有する、という2つの条件を定めている。
カーボンクレジットは、温室効果ガス(GHG)の排出削減や吸収促進の成果を定量化し、市場で売買できる仕組み。排出量が基準を下回った企業や、森林保全などでGHGの吸収量を増やした企業が、その差分を「クレジット」として発行し、他の企業の排出量相殺(オフセット)に活用できる。
タイ温室効果ガス管理機構によると、タイのカーボンクレジット市場は現在、大きな変化の過程にある。政府は気候変動対策関連法を整備するとともに、タイをカーボン取引のハブにする政策を進めている。
再生可能エネルギー証書は、太陽光や風力などの再エネ由来の電力使用を証明する手段で、オランダの国際認証基準を用いた制度が設けられている。タイ発電公団(EGAT)が唯一の認証機関として機能している。
米国の36%関税で対応策協議=「輸入拡大で貿易不均衡是正」
ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相[=写真中央]は4月3日、米国による36%への輸入関税引き上げに関する影響を緩和するため、関係機関と協議した。会議には、パオプーム・ローチャナサクン財務副大臣、国家経済社会開発評議会(NESDC)事務局、タイ中央銀行、投資委員会(BOI)事務局などの政府機関と民間部門の代表が出席した。

ピチャイ財務相は会議後、米国の関税措置について「世界各国に対して米国との貿易黒字を縮小するよう求めるシグナル」との見解を示した。対応策を取られなければ、タイの経済成長率は1%押し下げられる可能性があると述べ、政府と民間が連携して迅速に対応する必要があると強調した。
タイは対米貿易黒字が世界で11番目に大きく、不均衡を是正する取り組みが求められている。米国からの輸入拡大の方針としては、トウモロコシやツナなど加工・再輸出に活用できる原材料の輸入増を検討している。輸出面では、原産地証明書の発行を厳格化する方針が示された。過去にはハードディスクドライブやソーラーパネルなど、一部の商品でタイ製と証明できず関税を引き上げられた事例がある。
ピチャイ財務相は、非関税障壁の見直しにも言及した。これまで国内産業保護を目的に設けていた高関税の中には、再考が必要なものもあると述べた。例として、米国製ハーレーダビッドソンの二輪車への60〜80%の高関税を挙げた。現状、同製品はタイに輸出されておらず、高関税を維持する理由は薄れているという。
関連機関にはすでに対応策の検討を指示しており、今後2~3週間以内に交渉に臨むための準備が整う見込み。「対策は、米国との貿易収支のバランスを取ることにある。輸出を抑えるのではなく、輸入を増やすことでギャップを縮小させる」と述べた。また、「この機会を危機ではなくチャンスと捉え、米国や他の国々とより良いパートナーシップの構築を目指していく」とも語った。
タイ中央銀行のチャヤワディ・チャイアナン広報担当総裁補は、米国が発表したタイに対する37%の関税について、予想していた以上に高い水準との見解を示した。米国の発表後、世界の金融市場ではリスク資産の価格が下落。新興国の株式や通貨に売り圧力がかかる一方で、安全な資産である金の価格が上昇した。
4月3日の取引終了時点でバーツは対ドルで0.28%下落し、1ドル=34.26バーツまで値を下げている。また、タイ国債の利回りは全体的に約0.05%下落し、10年債の利回りは年1.89%となった。タイの信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)もわずかに上昇した。ただし、こうした資産価格の変化は、他のアジア諸国も同様の動きを示していると説明した。
チャヤワディ氏によると、中銀は現在、この措置が経済に与える影響を多角的に評価中で、さまざまな経路を通じて実体経済に波及する可能性について分析を進めている。金融市場の変動が企業活動や経済の安定性に与える影響を最小限に抑えるため、今後も市場の動きを注視し、必要に応じて対応する準備を整えていると述べた。
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