米関税にアセアン結束対応=タイ・マレーシア閣僚会談
ピチャイ・ナリプッタパン商業大臣は4月17日、マレーシアのザフル・テングク・アブドゥル・アジズ投資・通商・産業大臣[=写真右]と会談した。マレーシアは今年のアセアン議長国で、同大臣はアセアン経済閣僚会議の議長を務めている。会談では、米トランプ政権による関税政策への対応が主な議題となった。

これに先立つ4月10日には、アセアン経済閣僚会議が、米国との緊密かつ包括的な経済関係を維持・発展させていくため、協力を強化する意向を盛り込んだ共同声明を採択しており、今回の会談ではその具体化に向けた意見交換が行なわれた。アセアンは、米国に対する貿易対抗措置の導入を見送り、貿易収支のバランス改善に向けて建設的な交渉を進める方針で一致している。
米国との貿易や投資をはじめとする経済関係、サプライチェーンの長期的な安定化に向け、アセアンが一体となって交渉に臨むことが重要との認識を共有しており、この日の会談でピチャイ大臣は、対米交渉に向けたアセアンとしての立場を明確にするため、早期に経済閣僚による緊急会議を開催することを提案した。5月には、第25回アセアン経済共同体評議会と第46回アセアン・サミットがクアラルンプールで開かれる予定で、ここでの合意が期待されている。
会談ではこのほか、海外から流入する廉価で粗悪な商品の対策についても意見を交わした。ピチャイ大臣によると、タイではこれまでに2万4626件の摘発を実施し、15億バーツの付加価値税収増につながっている。オンライン通販を通じた商品の輸入額は、月額で36億4500万バーツ減少しているという。
アセアンは6億6000万人の人口を抱える世界有数の潜在市場であり、加盟各国のGDPを合計すると3兆6000億㌦に達する。ピチャイ大臣は、タイがその一員として加盟各国をつなぐ役割を果たしていく意向を示した。
マレーシアはタイにとって第4位の貿易相手国で、アセアン域内では最大の相手国にあたる。昨年の両国の貿易額は前年比3.88%増の260億5584万㌦で、タイ側は13億8543万㌦の貿易赤字となった。タイからの主な輸出品は、自動車・同部品、精製油、プリント基板、コンピュータ・同部品、ゴム、化学製品、鉄鋼製品など。2024年1~2月の実績は41億2610万㌦(5.28%増)で、輸出額は20億1181万㌦、輸入額は21億1429万㌦となっている。
一方、米国とアセアンの昨年の貿易額は4768億㌦で、アセアンからの輸出額は3523億㌦(13.3%増)、米国からの輸入額は1246億㌦(16.6%増)。米国への主な輸出品はゴム製品、靴、アパレル、電子製品、重機などで、米国からの主な輸入品は重機・電機、アパレル、農産品、自動車・同部品・エンジンなどとなっている。
その他のニュース
[経済ニュース]
トランプ関税で成長率下方修正へ=景気後退の懸念強まる
第1四半期の貨物道路輸送=価格指数が2.7%上昇
バンコク銀行=第1四半期純利益19.9%増
「ネスカフェ」販売再開=小売店による注文受付開始
中国オンライン広告市場に商機=タイ製品の販路拡大を後押し
SECがMetaと提携=知財保護の啓発活動
MFEC社=ITソリューション販促
NBTC=デジタルTVに緊急警報
[社会ニュース]
地方政治家の御曹司=故意接触事故が非難の的に
地震で倒壊したビル=施工会社幹部を逮捕
現王朝243周年=祝賀イベントを開催へ
爆薬入りバッグ置き去り=スウェーデン人の男を逮捕
ユネスコの「世界の記憶」=タイの3点が新たに選定
タイ・ユニオン・グループ=ミャンマーにツナ缶寄贈
[トピックス]
トランプ政権とタイのクリーンエネルギー業界の今後
[トピックス]
アセアンにおけるテック・ガバナンスの課題と展望
[論調]
トランプ関税への対応
[BOI認可事業]
3月24日認可65事業
コメント