2025年8月5日(火)号

タイと米国が共同声明発出へ=RVC50%に引き上げを提案

 タイと米国は、19%の関税率に合意し、共同声明の発表を予定している。財務省はこの動きを受けて、関連法の改正に着手する。タイは「原産地詐称」対策を強化し、地域原産価値比率(RVC)を50%に引き上げることで米国側の信頼を得る構え。両国は協議を継続し、中国産品の原産地詐称回避に向けた取り組みの強化を進める。
 政府は8月1日の特別閣議で、タイ米交渉について報告を受けた。タイ交渉団は19%関税で合意を成立させており、今後は国会への提案と関連法の改正手続きに入る。タイは米国製品1万品目超の市場を開放する。
 商業省筋によれば、現在、米通商代表部(USTR)がタイとの共同声明を発表するタイミングを調整中で、両国が貿易の促進と障害の除去に本腰を入れて取り組む姿勢を示す内容になる見通し。声明発表後も、今後3~12か月にわたり米国はタイを含む20か国と交渉を続ける。タイが課された19%の関税は36%から17%引き下げられており、年間3000億バーツのコスト削減効果がある。
 チャンタウィット・タンタシット商業副大臣は4日、まもなくUSTRが正式な合意を発表すると述べた。タイは国会での審議を経て正式に協定に署名する。これにより国内法の整備が必要となり、関係者の意見を取り入れて詳細を詰めていく。商業省が米国の措置に対応した法令の見直しを進めているほか、事業者支援の強化や新市場の開拓にも取り組んでいる。
 プロムミン・ルートスリデート主席首相顧問は、今回の関税合意について、タイだけでなく多くの国が直面した問題だったと指摘。タイの対応は明確な成果をもたらし、ライバル国と同等の条件で市場にアクセスできる状況が整ったと評価した。今後は個別品目ごとの関税や輸入枠の設定が必要となり、特にトウモロコシや豚肉といった農産品は、国内生産者に影響を及ぼさないよう慎重に調整する必要がある。
 RVCについて、ラワロン・セーンサニット財務省次官は、今後米国と改めて協議すると述べた。タイが提案するRVC比率は50%で、中国を除く域内原材料の比率を指すもので、既存のFTAで採用する基準である40%を上回る。地域原材料はアセアン加盟国からの調達分を「ローカルコンテンツ」とみなすことができるが、最終的な比率や運用は相手国との交渉に左右される。米国との協定は関税ゼロを含む多くの品目の貿易自由化を定めるFTAに似た形式になるもよう。商業省が最終品目リストを内閣に提出し、関税局が対象品目について0%税率の省令を発布する。
 米国は、原産地詐称のリスクがあるとして、ソーラーパネルなど特定品目のリストをタイに提示しており、タイは、これらの商品が国内で実際に生産・組み立てられたことを証明する必要がある。関税局は、RVCに関する協定について、米国向けの「特別案件」であり、他国とのFTAには世界貿易機関(WTO)の一般原則を適用すると述べている。農産品は、ほぼすべてが国内原材料で賄えるため懸念は少ないが、工業製品やハイテク製品は、輸入依存度が高く、業種によってはRVC基準が重荷となる可能性もある。RVC50%が可能かどうかは業種次第で、商業省は、業界団体からの意見を取り入れたうえで交渉に臨む方針だ。

タイ航空(THAI)=株式取引再開初日を迎える

 タイ航空(THAI)は8月4日、事業更生の成功を経て、タイ証券取引所(SET)における株式の取引再開初日を正式に迎え、記念式典を開催した[=写真]。同社にとって極めて重要な新たな出発点で、持続的かつ安定的な成長へとつなげていく節目となる。


 チャイ・イアムシリCEOは、事業運営の質とサービスの向上に引き続き注力するとともに、最高水準のコーポレートガバナンスの下で経営を進め、企業価値の向上を図ると述べた。ラワロン・セーンサニット会長は、SET上場企業のなかでも、再び高い質を有する企業の一つとして位置付けられることを目指したいと語った。
 初日の株価は1株あたり10.50バーツで取引を開始し、増資時の売出価格(1株4.48バーツ)から134.4%の上昇となった。時価総額は約3000億バーツに達した。

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