2025年8月6日(水)号

多国籍企業31社のCEOを招待=官邸でプームタム首相代行と会談

 8月6日午前10時、首相官邸において、プームタム・ウェチャヤチャイ首相代行(副首相兼内相)が「Prime Minister Meets Investors: Confidence in Thailand’s Future – Prime Minister’s Dialogue with Global Investors(タイの未来に対する信頼-首相とグローバル投資家との対話)」と題する多国籍企業トップとのハイレベル会合を主宰した[=写真]。タイへの投資に対する信頼感の醸成を図ることが狙いで、会合には、ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相、マリット・サギアムポン外相、パオプーム・ローチャナサクン財務副大臣、スチャート・チョムクリン商業副大臣、ナリット・トゥードサティラサック投資委員会(BOI)事務局長をはじめ、半導体・電子機器、EV、データセンター、バイオ・サーキュラー・グリーン(BCG)経済モデルを原動力とする産業分野から、大企業31社の経営幹部が出席した。


 ソニー、サムスン、ユニマイクロン、BYD、ヒュンダイ、グーグル、TikTok、ネスレなどのトップが出席した。
 会合後、プームタム氏は、政府と民間セクターの協力による職業教育人材の育成プロジェクトを発表し、産業界のニーズに合致する人材育成を推進する構想を明らかにした。BOIと職業教育委員会事務局、プリント基板関連の民間企業6社との間で覚書が締結された。1880人の雇用が創出され、今後5年間で3000人超の雇用が見込まれている。
 プームタム氏は、「世界の大企業のトップと会談できたことを嬉しく思う」と述べた。今回の対話は、タイへの投資の継続を促す重要な機会で、米国の関税政策による不確実性、特にタイへの19%の輸入関税といった世界的課題への対応が求められているとしたうえで、「政府がこの機を捉えて、タイ国内のビジネス環境を国際基準に整合させ、経済のリスクを軽減する制度の見直しに取り組む」と表明した。
 プームタム氏は、国の競争力強化のため、規制緩和、人材育成、クリーンエネルギーの整備、各国との貿易交渉の推進を挙げ、世界市場へのアクセス能力を高めることの重要性を強調した。
 現在、タイは24か国と17件の自由貿易協定(FTA)を締結済み。EU、韓国、カナダとの新たなFTA交渉を加速させていることを伝え、これにより、タイ製品の輸出競争力が50か国以上で強化されると説明した。
 ESGの観点からも政府は持続可能な産業基盤構築に注力しており、今年初めにはエネルギー省主導で再生可能エネルギーを証明書付きで供給する「Utility Green Tariff第1フェーズ(UGT1)」が開始されたことを紹介。40社以上が関心を示しており、今年はエネルギー源の出所を明記できる第2フェーズ(UGT2)を開始予定であることを明らかにした。さらに、「Direct Power Purchase Agreement(ダイレクトPPA)」の仕組みも導入され、電力ユーザーが発電事業者から再エネ電力を直接購入できるようになった。国の送電網を通じて2000MWの再エネ電力がデータセンターなどに供給される。初期段階が順調であれば、今後、他の重点産業にも適用が広がると期待される。
 BOIのナリット事務局長は、今回の政府とグローバル企業31社との協議にあたり、半導体、プリント基板(PCB)、EV/バッテリー、デジタル、食品・バイオテクノロジーなどの分野で、過去2年間に5500億バーツ以上の大型投資と5万3000人超の雇用が実現したことを紹介した。
 会合の目的は、米国との関税交渉が一段落したタイミングで、政府の投資誘致と経済構造調整の本気度を示すことにあると説明した。また、単なる製造拠点としての投資だけでなく、研究開発センター、人材育成、地域統括拠点としての活用も呼びかけた。

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