米国の為替政策報告書=タイを監視リストに追加
米財務省は1月29日、半期に一度公表する為替政策報告書で、タイを為替政策の監視リストに追加した。報告書は2024年後半から2025年前半を対象としており、米国の主要貿易相手国で為替操作国と認定された国はなかったが、米財務省はタイの為替慣行やマクロ経済政策について、より厳格な監視が必要だと指摘した。
今回の監視リストには、タイのほか、中国、日本、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの計10か国・地域が掲載された。タイを除く9か国・地域は、2025年6月に公表された前回報告書でも監視対象となっていた。
報告書は、「近年、タイがマクロ経済のファンダメンタルズに沿った為替の調整を妨げるため、資本規制やマクロプルーデンス政策を積極的に用いる兆候は見られない」としたうえで、「2025年10月28日に米財務省との共同声明で、タイ中央銀行が四半期遅れで少なくとも半年に一度、為替介入に関する情報を公表すると約束した」と言及した。
また米財務省は、今回の報告書では各国の経済に対する分析を一段と強化したとしている。検証対象は、米国に対して大幅な貿易黒字を抱える国や、競争上の優位性を得る目的で外国為替市場に積極的に介入している国としている。
タイ中央銀行のチャヤワディ・チャイアナン法人広報担当総裁補[=写真]は、監視リストへの追加がバーツ相場に直接影響することはないとの見方を示した。通貨当局はドルに対するバーツの変動を一方向ではなく双方向で管理しており、為替操作を目的とした政策は取っていないと説明した。今回の指定は、主に米国に対する貿易黒字と経常収支黒字に基づくものだと述べた。タイの経常収支黒字は約177億㌦で、GDPの約3%に相当する。

チャヤワディ氏は、「米財務省と報告や協議を行なっており、米国の基準に照らしても、タイが為替操作国に指定される可能性は低い」と強調した。
米財務省は、監視リストに掲載した理由として、タイの世界的な経常収支黒字の水準や、米国との二国間貿易黒字の拡大を挙げている。
ある財務省関係者は、中銀による為替介入を抑制する圧力が強まり、政策運営が難しくなる可能性があると指摘した。今後、タイは米国の要請に沿って月次ベースでの透明性報告を求められる可能性があり、その結果、バーツは他国通貨に比べて上昇しやすくなるおそれがある。輸出業者に対しては、為替変動リスクへの注意を呼びかけた。特に、AI関連需要の拡大で輸出が伸びている電子部品やコンピュータ、すでに関税措置の影響が出始めている加工食品や果物缶詰などの分野は、より厳しい監視対象になる可能性があるとした。また、監視リストへの掲載は、将来的に米国製品の市場開放を迫るための貿易交渉の手段として使われる可能性もあると付け加えた。
タイ荷主評議会(TNSC)のタナコーン・カセートスワン会長は、今回の米国の決定がタイの輸出に直ちに深刻な影響を及ぼす可能性は低いとの認識を示した。監視リストにはタイだけでなく、複数の国が含まれている。今回の措置は構造的な脅威というより、政策面での警鐘と受け止めるべきで、市場心理や為替動向への影響が主になるとした。輸出業者は為替リスク管理を一段と強化すべきだと述べた。
タナコーン会長は、「タイの為替政策は市場メカニズムに基づいており、不公正な貿易優位を生み出すことを目的としていない。米国に正確な情報を伝え、関係機関と連携し、分野別に輸出業者への影響を監視・評価していく」と述べた。また、輸出業者が国際市場で競争力を維持できるよう、為替リスク管理戦略に関する助言も行なうとしている。
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