2024年10月2日(水)号

タイ・ビバレッジが中期経営戦略=来年の投資予算180億バーツ

 タイ・ビバレッジ社は10月1日の記者会見で、消費者へのサービス提供の効率向上、アセアン展開、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を柱とする向こう6年間の中期経営戦略「Sustainable Growth to PASSION 2030」を発表した。来年の投資予算は例年の倍以上の180億バーツを予定している。


 ターパナ・シリワタナパクディCEOは事業の成長を加速させるための「REACH Competitively」、「DIGITAL for Growth」と呼ぶ2つの戦略を強調した。
 デジタルプラットフォームを介した消費者へのサービス提供は、変化する消費行動に対応し、顧客のニーズと好みに迅速に応えるものでなければならない。30秒以上かかるようならば、顧客は別のオペレーターに逃げてしまうと述べた。今では消費者に選択肢が数多くあるため、単に印象的なサービスを提供するだけではなく、競争力を持ってターゲット顧客にアクセスすることが重要だと指摘した。消費者は手頃な価格だけでなく満足のいくサービスも求めている。
 事業の成長にはDXも重要。今日の消費者はスマートフォンを生活の一部として利用しており、DXを進めなければ競争上不利になるとした。
 来年の投資予算は180億バーツ。非アルコール飲料事業に95億バーツを投資する。うち80億バーツはマレーシアでの酪農事業の「アグリ・バレー・ファーム」に投じる。
 ビール事業ではカンボジアのビール工場に30億バーツを投資する。年産能力は5000万㍑を予定している。25年に完成予定。カンボジアは急成長を遂げており、アセアンで4番目に大きなビール市場になっている。シェアトップのベトナム市場も回復に向けた明るい兆しを見せている。シンガポール法人で、ビール事業の持ち株会社のビアコー社はシンガポール証券取引所への上場計画を進める。年内に計画をまとめ、来年第2四半期または第3四半期にIPOを実施する。
 国内市場では「チャーン」で市場シェア首位への返り咲きを狙う。コールドブリュー、フェーダーブロイなどのプレミアム商品のポートフォリオを拡充するほか、販路の拡大にも注力する。タイのビール市場は年間約20億㍑、2000億バーツ。来年はコロナ前水準に戻すと見ている。
 このほかリカー事業に25億バーツ、外食事業に10億バーツ、持続可能性推進のための関連事業に20億バーツを投資する。
 酒類事業への投資は、生産効率の向上を図るための既存製造設備の改修が中心。「プラヤー・ラム」、「ルアンカーオ・サイアム・サファイア」、シングルモルト・ウィスキーの「プラカン」などのブランドの海外展開を図る。国内市場ではマスマーケットへの浸透を図るため、2つの新商品を導入する予定。ブレンド酒で95%、焼酎で90%のシェアを目指す。
 TCCグループの一員であるタイ・ビバレッジは、保有するグループの不動産事業のTCCアセット社株とグループ所有のフレーザー&ニーブ(F&N)株を交換したことで、F&Nの保有率が上昇した。これを受け、F&Nがシンガポールで販売している健康飲料「F&Nニュートリウェル」ブランドをタイ市場にも投入する準備を進めている。
 外食事業は「KFC」や「オイシ」などの主力ブランドを中心に25年は69店を新規オープンさせるほか、TCCグループの大型複合商業施設の「ワン・バンコク」に16店を出店するプロジェクトに着手している。外食店舗は25年までに1200店を目指している。タイ・ビバレッジの外食事業の売上高は約170億バーツで、マイナー・フード・グループ、MKレストラン・グループに次いで国内3位につけている。

今年の国内旅行収入=1兆バーツ目標割れ見込み

 今年のタイ人の国内旅行は延べ2億人、観光収入は9650億バーツにとどまる見通しだ。タイ観光公団(TAT)がこのほど明らかにしたもので、観光収入は目標の1兆バーツを下回る。今年1~7月は前年同期比8.8%増の延べ1億6000万人、観光収入は12.4%増の5810億バーツとなっている。
 ソムルディ・チットチョン副総裁によれば、第4四半期は掻き入れ時で、年間収入の35%を生むことから、1兆バーツの目標達成の可能性はまだ残っている。ただし各地の洪水状況や消費者の購買力の低下もあり、旅行を控えたり、旅行中の出費を抑える動きが懸念材料になっている。同副総裁は「第4四半期は雨も収まり、微小粒子状物質PM2.5の問題も比較的穏やかで行楽客が増える」と希望的観測を示した。
 外国人観光客を含む1~7月の観光収入は1兆4000億バーツ、全国のホテルの平均客室稼働率は73%で前年同期と比べて4%上昇している。
 観光客の動員数では中部地方が最多の延べ6810万人、観光収入は2950億バーツで、前年同期比でそれぞれ8.2%、9.6%増えた。特にチョンブリ県の国内旅行客による観光収入はバンコクを上回った。一方、プーケット、パンガー、クラビー、サムイ島などを擁する南部地方は動員数3310万人と中部の半分にとどまったものの、観光収入は5660億バーツと中部の倍近くを記録している。
 タイ観光連盟(FETTA)は観光・スポーツ省とTATに、単発で開催していたいくつかの人気イベントを定期開催することで観光客を呼び込むよう提唱した。FETTA加盟団体であるタイ旅行代理店協会(ATTA)のシティワット・チーワラタナポン会長は「地方都市観光の振興が重要」と指摘、FETTAを通じて現地の観光業とタイアップしたウタパオ、コンケン、ウドンタニ、チェンライ、クラビー、ハジャイ、スラタニなど地方空港利用者への優遇特典を提案した。また海外から地方空港への直行便就航を含む地方都市へのアクセス改善を重点的に進めるよう進言した。

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