2024年11月6日(水)号

サステナビリティ・リンク国債=200億~300億B募集

 財務省公的債務管理事務局は今年度に総額1300億バーツのサステナビリティ・リンク債を発行する。パチャラ・アナンタシン事務局長[=写真]が11月4日の記者会見で明らかにしたところによれば、保険会社や共同組合などの関心が高いことから、機関投資家を対象とした期間15年のサステナビリティ債「SLB406A」を11月中に200億~300億バーツ規模で募集する。バンコク銀行、クルンタイ銀行、アユタヤ銀行、スタンダードチャータード銀行(タイ)が引き受け、11月19日より募集を開始する。起債日は25日。


 同債のキー・パフォーマンス指標(KPIs)は温室効果ガス排出量の削減とゼロエミッション車(乗用車とピックアップ・トラック)の新規登録台数の2つ。2030年までに温室効果ガス排出量を二酸化炭素換算で38万8000㌧削減する目標と、2030年までにゼロエミッション車の新規登録台数を少なくとも年間44万台に増やすという2つのパフォーマンス指標(SPTs)にリンクする。これら目標を達成できない場合、同債の金利は指標ごとに2.5ベーシスポイント上昇するペナルティが課される。2つの目標が達成されない場合、金利は合計で5ベーシスポイント上昇する。例えば利率が2%だった場合、2つの目標をいずれも達成できない場合には金利が2.05%に上昇する。逆に目標が達成されれば、金利は指標ごとに2.5ベーシスポイント引き下げられる。
 一方、ヂラユ・フアンサップ政府報道官によれば、財務省が11月5日の閣議に報告した8月末時点の公的債務残高は11.7兆バーツで、GDPの64.0%となっている。政府の公的債務管理枠組みでは、4つの基準を設けている。第1に公的債務残高の対GDP比は70%を超えてはならない。第2に予想される歳入に対する政府の債務負担は35%を超えてはならない(3月末時点で19.0%)。第3に公的債務に対する外貨建て債務の割合は10%を超えてはならない(8月末時点の割合は1.23%)。第4に外貨建て債務は物品・サービス輸出からの収入の5%を超えてはならない(8月末時点の割合は0.05%)。
 公的債務管理事務局はタイと同じ信用格付を持つ国と比較して公的債務は懸念される水準にはないことを強調している。25年度に公的債務残高は増大するが、GDPの66〜67%にとどまる。同事務局はGDP成長率が期待を上回る場合、残高のGDP比は予測よりも低くなる可能性があるとしている。

10月のインフレ率は0.83%=前月の0.61%から加速

 商業省が11月6日に発表した10月の一般消費者物価指数上昇率(インフレ率)は0.83%となり、前月の0.61%から加速した。主に食品物価の上昇によるもので、特に野菜・果物の物価が上昇した。軽油と電気代は政府のエネルギー支出に対する援助措置により前年の数値が低くなっているローベース効果から上昇した。一方でガソホールの物価は世界市場のエネルギー価格の軟化に沿って下落した。プーンポン・ナイヤナパコン商業政策戦略事務局長によれば、その他商品・サービスはインフレに大きな影響を及ぼしていない。
 食品・飲料の物価は10月に前年同月比で1.95%上昇した。ネギ、キャベツ、パクチー、白菜、ナス、トウガラシ、カリフラワーなどの生鮮野菜の物価が上昇した。ランブータン、バナナ、マンゴー、スイカなどの果物も値上がりした。鶏肉、鶏卵、バナメイ・エビ、豚肉、米のほかインスタントコーヒーなどの非アルコール飲料、砂糖、ココナツミルクなどの調味料も値上がりした。一方で、ローストチキン、ライム、植物油、紫タマネギ、ニンニク、サバ、デリバリー食品の物価は下落した。
 非食品物価は0.04%上昇した。軽油、ガソリン、電気代が上昇した。このほかにも家賃、航空運賃、個人ケア(理美容)、コピー代なども値上がりした。ガソホール、シャンプー、ボディソープ、スキンケア商品、洗濯洗剤、バスルーム洗剤、柔軟剤、衣服の物価は下がった。
 一般消費者物価から生鮮食品とエネルギーを取り除いた基本消費者物価指数上昇率(コアインフレ率)は0.77%で、前月から変わらず。
 消費者物価指数は前月比で0.06%下落した。食品・飲料物価が0.11%下落したほか、非食品・飲料物価も0.03%下落した。
 1~10月平均のインフレ率は0.26%。
 プーンポン事務局長は11月も一般インフレ率の上昇傾向が続くと予想した。軽油の小売価格は政府が1㍑あたり33バーツ未満に抑制しているが、前年同月は30バーツ未満に抑制していたため、前年比で上昇する。電気代もローベース効果からの上昇が続く。観光関連の商品やサービスの価格も上昇しており、特に航空運賃は観光ハイ・シーズンを迎えて値上がりしている。一方で、物価の上昇を抑制する要因もある。世界市場の原油価格は前年11月平均で1バレルあたり80㌦を超えていたが、今は70バレル台で推移している。これによりガソホールの価格は下落している。洪水の影響が払拭され、生鮮野菜の市場出荷量が増えることも野菜の物価の上昇を抑制する。また近代的小売の値引きキャンペーンなどの販促活動が続いている。
 商業省は今年通年のインフレ率を0.2~0.8%と見積もっている。
 一方、商業省の消費者信頼感指数は52.9ポイントとなり、前月の51.6ポイントから上昇した。指数の中間値超えは2か月連続となった。現在の指数は43.1ポイントから44.8ポイントに、3か月先の指数は57.2ポイントから58.3ポイントに上昇した。

 生産者物価は0.8%減

 10月の生産者物価指数は1.4%減。前月比は変わらずだった。1~10月の平均は1.9%増。
 工業製品の生産者物価は2.3%下落した。鉱業製品の生産者物価は14.4%減。農水産物の生産者物価は10.5%上昇した。
 生産者物価を生産工程別に見ると、最終製品の物価は1.0%上昇した。半製品の物価は6.5%減。原材料は0.6%減だった。

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24年10月の生産者物価指数

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