2024年12月18日(水)号

SET株価指数1400割れ=CPグループの流通株大幅安

 12月17日のタイ株式市場は急落し、SET平均株価指数は1400ポイントを割り込んだ。指数は前日比で25ポイント近く下落した。米国債利回りの上昇を受けたアジア域内の株安に連動したものだが、タイ株式市場に固有の売り材料もあった。特に不動産プロジェクトへの投資を発表したCPグループの流通事業の株価が急落した。
 この日のSET指数終値は1395.57ポイント。前日比24.15ポイント、率にして1.70%下落した。売買代金は551億6320万バーツ。
 この日の株式市場ではエネルギー株が売られた。来年にはエネルギー需要が鈍化する見通しにあり、製油マージンの低下見通しを嫌って製油株が売られた。また銀行株も利ざやが縮小する可能性を観測した投資家が売り進めた。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げで、タイの金利も低下する見通しにあるためで、商業銀行の業績への影響を懸念した。社会保険基金から病院に支給される被保険者の治療費予算が削られる傾向にあることも病院株に対する売り材料となった。
 このほかCPグループの流通事業のSET上場企業、CPエクストラ(CPAXT)がミックスユースの大型複合商業施設プロジェクトへの投資計画を発表したことを受け、負債の増加を嫌って同社の株価は急落した。同社は総合スーパーの「ロータス」とキャッシュ&キャリー店の「マクロ」をチェーン展開している。
 CPAXTは「The Happitat at the Forestias」と呼ぶ大型不動産開発プロジェクトへの投資を発表しており、子会社としてエクストラ・グロース・プラス社を設立している。登録資本金は84億バーツで、CPAXTが95%を出資し、残り5%はMQDCタウン・コーポレーションが出資する。
 証券アナリストによれば、出資金の大半は銀行融資で賄うようで、有利子負債の膨張が懸念されている。ある証券アナリストは、短期的にキャッシュフローを生み出すことを期待できないプロジェクトのためにレバレッジ(借入)を増やすよりも、フリーキャッシュフローを使って既存の債務負担を減らすことを優先すべきだと指摘している。CPAXTの有利子負債は1000億バーツを超えている。
 「フォレスティアス」はCPグループ創業家を大株主とするマグノリア・クオリティ・デベロップメント・グループ(MQDC)が着手した大型プロジェクト。バンナートラート通り7㌔㍍地点の約398ライの土地に商業施設と住宅を建設する。すぐ近くには大型ショッピングセンターのメガバンナーがあるほか、バンナー交差点ではザ・モール・グループもミックスユースの「バンコク・モール」を建設中。セントラル・グループの「セントラル・バンナー」もバンナートラート通り3㌔㍍地点にあり、商圏が重なることから、住宅プロジェクトは別にしても、商業施設の集客力に疑問符がついている。
 17日の株式市場ではCPAXTと同社を34.9%保有するCPオール社(CAPALL)の株価が2日連続で下落した。CPAXTの株価は16日に18.71%、17日に5.31%下落し、17日終値は26.75バーツまで下げた。CPALLも16日に5.60%、17日に4.66%下落し、56.25バーツで大引けている。

台湾のコムペック=PCB工場が開所

 世界第5位の電子回路基板(PCB)メーカーである台湾の華通電脳(コムペック)の工場が稼働を開始した。急速に拡大する世界のプリント基板需要に応える重要な生産拠点としてタイを活用する計画で、工場の開発に100億バーツ以上を投資した。


 サムットプラカン県のアジア(スワンナプーム)工業団地で12月16日に新工場の開所式を開いた[=写真]。タイ現地法人のコムペック(タイランド)が経営する。開所式に出席した投資委員会(BOI)のナリット・トゥードサティラサック事務局長によれば、あらゆる種類の電子機器の重要なコンポーネントであるPCB生産でのタイへの投資は過去2年間、継続的に流入している。特に中国、台湾、香港、日本の大企業がBOIに投資申請しており、PCB工場の建設ラッシュが生じている。多くは今年終わりから来年にかけて生産を開始する。
 コムペックは23年12月にBOIの投資奨励認可を受けた。投資額は第1フェーズだけで104億1700万バーツ。112ライの土地に大規模な工場を建設し、わずか1年で建屋の建設と機械の据え付けを完了した。今年12月以降、タイでの生産を開始する予定。
 新工場の主力製品は1枚の基板上に最大34層の電子回路を作成できる多層プリント基板。これにより複雑で安定したシステムを構築することが可能になる。多層プリント基板は主に通信システムや人工衛星、EV、データセンター、スマートフォン、医療機器、パワーサプライなどの高性能で多数の電子部品を使用する電子機器に使用される。第1フェーズでは約600人のタイ人従業員がすでに雇用され、来年には1500人以上に増やす計画。
 ナリット事務局長は、PCBの世界的なメーカーであるコムペックが台湾と中国以外に工場を開設するのはタイが初めてであることを強調。タイが東南アジア地域の重要なPCB生産拠点になる可能性を示すものだと述べている。同事務局長は、インフラ、堅固なサプライチェーン、政府の支援措置、高度な技術を使用する生産工程に対応できる人材がそろうことをタイの強みに挙げている。コムペックの新工場は生産ラインに最新の自動化システムを取り入れており、タイの人材が新たな生産技術のスキルを身につけることを支援するとしている。同事務局長は、PCB生産への投資の波が、雇用、輸出、タイの原材料生産者のビジネスチャンスという直接的なメリット以外にも、エレクトロニクス産業のサプライチェーンが強化され、EV、データセンター、デジタル、スマート家電などの他のハイテク産業への投資を呼び込むことにつながると述べている。
 BOIによれば、過去2年間(23年から24年11月)に多くの世界クラスのPCBメーカーがタイでの生産拠点開発に投資している。投資申請は107件で、投資予定額は1730億バーツを数える。大半が中国、台湾、香港、日本からで、コンペックのほかZDT、ユニマイクロン、WUS、ゴールドサーキット、チンプーン、デルタ・エレクトロニクス、メクテック、KCEエレクトロニクスなどの主要メーカーによる投資により、タイは東南アジアでナンバー1、世界でもトップ5に入るPCB生産国になる見通し。

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