高頻度取引と空売り、SETが新たな規制措置を導入
タイ証券取引所(SET)理事会は2月19日、株式市場安定化のための新たな措置を承認した。アサデート・コンシリ所長によれば、この措置は投資家の信頼感の向上を目的としており、2024年に導入された規制を見直し、市場環境の変化に対応しながら適切な市場監督を行なうことを狙いとしている。空売りや高頻度取引(HFT)の規制を強化し、一部の既存規制を緩和する措置が含まれている。
SET広報は「投資家が安心して取引できる市場環境を整えることが目的。市場関係者と協力しながら、持続可能な市場の発展を促進したい」とコメントした。新たな措置は、市場関係者からの意見を聴取した後、証券取引等監視委員会(SEC)に提出され、最終承認を得る予定。適用開始は、第2四半期末を目標としている。
空売りに関する新たなルールでは、空売り可能な銘柄は「SET100」に限定される。従来は、SET100に加え、市場での流動性の高い一部銘柄も対象だったが、今後はSET100指定銘柄のみが空売りの対象となる。また、空売りの取引ルールに関しても、アップティック・ルール(空売りをするときは、直前の取引価格より高値でしか売ることができない)が適用される条件を明確にした。通常時は、空売り注文を市場価格で行なえる「ゼロ・プラスティック(Zero-Plus Tick)ルール」が維持されるが、特定の基準、例えば前日終値比で一定割合以上の下落が生じた場合は、翌営業日からアップティック・ルールが適用され、空売り取引に制限が加えられる。
高頻度取引に関しても規制が強化される。HFT登録の投資家は今後、取引対象がSET100指定銘柄に限定される。ただし、市場の流動性を維持するため、マーケットメイカーや一部の証券は例外として引き続き取引が可能になる。
一方で、2024年に導入された一部の規制は緩和する。発注した注文を一定時間保持することを義務付ける「最小注文保持時間(Minimum Resting Time)」のルールは撤廃される。市場における流動性の確保が規制撤廃の理由と説明した。また、銘柄ごとに設定される価格変動制限「Dynamic Price Band(ダイナミック価格帯制限)」のフェーズ2の導入は延期されることが決定した。
アサデート所長は、SETがこれらの措置を通じて市場の透明性を高め、投資家の信頼の向上につなげると述べた。新たな規制や緩和策のバランスを取りながら、市場の安定性を確保し、長期的な成長を促進する。新たな措置は適用後、2026年に再評価が行なわれる予定。
この措置が発表された翌20日のタイ株式市場は反落し、株価の下落を止めることはできなかったが、証券アナリストは株価の変動を抑制する効果が期待できると分析している。
クルンシー・キャピタル証券は中小型株の変動幅を抑制し、投資環境に一定のプラス効果をもたらすと分析した。SETに上場するSET100に含まれない銘柄の売買は、取引所全体の売買代金の約20%を占めている。中長期の成長余地がある企業では、短期的に過度な株価変動が減少することで投資家の信頼の回復につながる可能性があると分析した。今回の措置により、空売りの対象外となった銘柄でのショートカバー(空売りの買い戻し)を促進する効果も期待できる。
タイ・ラオス首脳会談=コールセンター詐欺対策を強化
ペートンターン首相は2月20日、タイを公式訪問したラオスのソンサイ・シーパンドーン首相[=写真左]と会談した。会談では、両国間の安全保障協力の強化が主要議題として取り上げられ、特にコールセンター詐欺や麻薬密輸への共同対策について協議した。

近年、タイ・ラオス国境地帯を拠点とする犯罪組織が急増していることから、情報共有を進め、法執行機関の連携を強化することで一致した。ラオス側は、コールセンター詐欺の取り締まりを強化し、麻薬密輸ルートの監視を強化する方針を示した。
大気汚染問題についても、解決に向けた協議を行なった。特に乾季には、タイ北部とラオスでは森林火災や農業廃棄物の焼却による大気汚染が深刻化している。両首脳は環境政策での連携の強化と、地域全体でのクリーンエネルギーの推進方針を確認した。
経済協力では、貿易・投資をさらに活性化させ、2027年までに二国間貿易額を110億㌦に増やす目標を設定した。ラオスは、タイにとってアセアン域内の重要な貿易パートナーで、特にエネルギー分野では密接な関係を築いている。タイはラオスからの水力発電による電力供給を受けており、今後の再生可能エネルギー分野での協力拡大についても議論した。
ペートンターン首相は、タイ政府がラオスのインフラ整備にも積極的に支援する考えを示し、国境地域の物流網整備や経済特区の開発を推進することで合意した。
今回の首脳会談は、タイとラオスの外交関係樹立75周年を記念する節目の機会となった。両国は歴史的・文化的に深い関係を築いている。
ペートンターン首相は、「ラオスとの協力関係をより強固なものとし、経済、安全保障、環境分野での連携を一層深めていきたい」と述べ、今回の会談の意義を強調した。ソンサイ首相も、「ラオスとタイは共に発展する隣国であり、協力をさらに推進することが不可欠だ」と述べ、今後の協力強化に意欲を示した。
その他のニュース
[経済ニュース]
タイ航空=新たな取締役会を選出へ
エネ省の電気代引き下げ案=内閣法制委が却下
ナリニー通商代表=湾岸協力会議とFTA交渉
ピンク線の盲腸線=6月末から無料運行開始
ピパット労相=ILOアジア太平洋総局長と会談
タイ・ラオス首脳会談=コールセンター詐欺対策を強化
タイ・ブータンFTA交渉妥結=4月のBIMSTEC首脳会議で調印
外国人観光客数=2月半ばまでに500万人突破
首相がEU-ABC、EABCと会談=経済協力の促進を強調
マレーシア首相、ブルネイ国王=タクシン元首相と20日に会合
[社会ニュース]
カードXのブランド・アンバサダー=女子ゴルフの「プロ・チーン」起用
タニヤに日本の屋台村=「THANIYA JAPAN DAYS」開催
気象局が暑季入り宣言へ=「今年の夏は過ごしやすく」
[閣議決定]
25年2月18日
[特集]
「法の支配」フェア=公正で透明な社会へ
[先週の為替・株式市況]
25年2月17~2月21日
[商品市場]
バンコク首都圏の燃油小売価格
天然ゴム・ハジャイ中央市場
[金融市場]
外為相場
コメント