不良債権が増加傾向=タイ中銀の商業銀行業績報告
タイ中央銀行は5月21日に発表した今年第1四半期の商業銀行の業績報告で、不良債権が企業向けと個人向けの双方で増えていることを明らかにした。不良債権の残高は5000億バーツを超え、特に「脆弱な層」と呼ばれる月収1.5万~2万バーツの個人向け融資の焦げ付きが目立っている。またクレジットカードの月々の分割払い最低額を債務残高の5%から8%に引き上げたことで、債務返済が滞るケースが増えており、カードローンの不良化の一因となっていることも明らかになった。中小事業者の業績は悪化しており、今後も不良債権は増加する兆しがある。
タイ中銀の金融機関監督グループを統括するスワニー・ジェサダーサック総裁補によれば、第1四半期に商銀の貸出は前年同期比で0.7%増加し、前の四半期のマイナス成長から拡大に転じている。多くが大企業向けの融資増によるもので、特に成長が続く食品、石油、化学向けの融資が伸びている。ただし年間売上高が5億バーツ未満の企業向けの貸出残高は5.10%減と収縮を続けている。
期末時点の商銀の不良債権残高は5020億バーツで、23年末時点の4920億バーツから増加した。貸出残高に占める比率は昨年末時点の2.66%から2.74%に上昇した。不良債権の増加は企業業績の悪化が一因。大企業向け融資の不良債権比率は1.09%から1.14%に、中小企業向けは6.72%から6.86%へと上昇した。また消費者向け貸付の不良債権も増加している。自動車ローンの不良債権率は2.14%、カードローンは4.13%、住宅ローンは3.49%、個人ローンは2.54%で、いずれも前年末から上昇した。
また要注意債権(ステージ2またはSM)の残高は1兆1200億バーツで、貸出残高に占める割合は昨年末時点の5.88%から6.13%に上昇した。所得がまだ回復していない月収1.5万~2万バーツの層や300万バーツ未満の住宅の購入層で特に増えている。
カードローンの不良債権の増加は月々の最低支払額が引き上げられたことにある。これはカードローンの債務を増やす要因ではないが、不良化するローンを増やしている。中銀は来年初めからは最低支払額を元の10%に戻すことにしているため、カードローンの債務者の債務返済能力を注意深く監視していくことにしている。
中銀は今年4月より、慢性的な借金を抱えている債務者の救済措置を開始しており、商銀とノンバンク合わせて37社が参加している。対象となる債務の口座数は180万件以上、負債額は約750億バーツ。
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