トランプ関税で首相が声明発表=ピチャイ副首相が訪米へ
ペートンターン首相は4月6日、米国の貿易政策に対するタイの公式な立場について声明を発表した[=写真]。タイは米国からの関税引き上げ措置に直面しており、タイからの輸出品には36%の関税が課される。他国も同様の状況にあり、各国が対抗措置や交渉に向けた準備を進めているが、いまだ具体的な成果には至っていないと指摘。タイにおいては、電子機器、加工食品、農産品など主要輸出品への影響が大きく、経済への深刻な影響が懸念されると述べた。

こうした状況を受け、政府はすでに2025年1月6日に関係省庁と民間部門との連携による対策チームを設置し、公式・非公式のルートを通じて米国側との意見交換と提案を継続してきた。首相は、ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相が訪米し、米国政府、民間企業、関係団体と広範な意見交換を行なう予定でいることを明らかにした。複数のメディアが報じたところでは、ピチャイ副首相の米国訪問は17日からを予定している。首相は、タイは単なる輸出国ではなく、米国にとって信頼に足る経済的パートナーと強調した。
タイ政府は交渉の軸を3つに定めている。第1に、一部の米国製品に対する輸入関税を引き下げる。ワインや大型バイクなどの奢侈品が対象とされ、他国とのバランスを取る必要があるため、あくまで最終手段と位置づけている。
第2に、米国からの輸入を増やす方向で調整が進められており、飼料用トウモロコシや肉類、粉ミルク、エネルギー、航空機といった製品が対象となっている。タイ航空はすでにボーイング45機の契約を結んでおり、2027年からの引き渡しが予定されている。
第3に、米国の通商および安全保障上の利益を考慮し、知的財産の保護や中国依存の是正に協力する姿勢を示す。とくに、中国がタイを経由して米国市場に輸出する仕組みを見直すことを交渉の一環として検討する。
ペートンターン首相は、こうした提案が米国との建設的な交渉につながり、両国は、引き続き友好的かつ協力的な経済パートナーであり続けることができるとの期待を表明した。また、タイ政府は、必要に応じてさらなる協議に応じる用意があるとし、すべての政策提案は国民と国の利益を最優先に考慮していると強調した。
さらに、政府が影響を受ける中小企業や大企業を対象に、短期・長期の支援策を講じる準備を進めていることや、新たな輸出市場の開拓を加速させる方針も明らかにした。中東、欧州、インドを含む地域への市場拡大と自由貿易協定(FTA)の早期締結に向けた交渉を強化していく考え。短期的な支援策として30億バーツ規模の基金を設置し、影響を受ける企業への資金支援、利子補填、新規市場の開拓支援を行なう計画を打ち出した。
首相声明は、トランプ関税に対するタイ政府の対応が他のアセアン諸国より遅れているという批判を受けたもの。首相は8日に関係閣僚や関連機関との最終協議を行ない、国の利益を最優先とした対応方針を確定させると述べた。
今回の交渉は、米通商代表部(USTR)との対話を正式なルートとし、事務レベルでの協議を開始し、解決されない項目については大臣レベルでの協議へと進める構え。ピチャイ副首相の訪米では、米国政府との交渉に加え、産業団体や農業団体との意見交換も予定している。
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