米国との関税交渉=合意に至らずも交渉継続中を強調
米国を訪問したピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相は7月4日、米国との関税交渉はまだ合意に達していないと述べた。タイは、米国政府や主要企業との協議により、米国市場維持の可能性を模索しており、既存の関税構造に関する議論も行なっているとした。「我々は、両国の利益となるような方法で問題の解決を目指している」と語った。交渉はすでに終了し、ピチャイ大臣率いる代表団はタイに帰国する。
同氏は、交渉代表団がすでに米国の関係機関に提案を提出しており、その内容に対して米側から応答があったため、これをもとにタイが提案内容の調整を進めていると説明した。新たな提案を持って再び交渉に臨むつもりで、交渉は建設的で、両国の利益、持続可能性、実現可能性を重視した形で進められていると強調した。
ピチャイ氏を団長とする代表団の今回の米国訪問では、関税以外にも、デジタル経済、クリーンエネルギー、半導体、金融、バイオ・サーキュラー・グリーン(BCG)経済に関する協力強化も議題に上ったという。
チュラパン・アモンウィワット財務副大臣は、米国との関税交渉は現在も継続中で、政府はポジティブな結果を期待していると強調した。米国との関税交渉は1回の協議で結論が出るものではないとした。
チュラパン氏は、今回の交渉で合意に達しなかったことを最悪のシナリオと捉えていないことを強調した。トランプ大統領が4月2日に相互関税政策を発表して以来、準備を進めてきたと指摘。タイから米国向けに輸出される品目について、第三国からの積み替え品やタイ原産と虚偽表示された商品に関する問題への対応など、米国側の要請内容は把握していると述べた。
チュラパン氏は、「協議は続いており、良い方向に進んでいる。最良のシナリオは、関税が10%に引き下げられることで、10%の関税すらなかった状態に戻すのは不可能と認めざるを得ない」と語っている。チュラパン氏は、10%の関税が残ることは世界中が認識しているとし、最終的に10%の関税に収まることを期待しているとした。
チュラパン氏は、タイが米国と長年の関係を築いており、交渉においてベトナムよりも優位に立っているとした。タイの輸出はより多様で、米国市場への依存度もベトナムほど高くないことを理由に挙げた。ベトナムは輸出の約30%が米国向けだが、タイは18%にとどまっている。
トランプ関税による影響を緩和するための対策について、チュラパン氏は、政府が最近承認した1150億バーツ規模の景気刺激策の中に100億バーツの予算がついていると説明した。
ペートンターン文化相が初登庁=ソフトパワー政策推進
ペートンターン首相兼文化相[=写真]は7月4日、文化相として初登庁し、文化政策に関する方向性を発表した。タイのソフトパワーを推進するため、映画、食、ムエタイ、ウェルネスの4分野を重点産業として強化する方針を掲げた。また、外国人向けに提供してきた映画製作支援制度「キャッシュリベート」をタイ人映画制作者にも適用する方針を明らかにし、タイの映画産業の競争力強化に意欲を示した。

ペートンターン氏は7月1日より首相としての職務停止処分を受けているが、同日に新たに文化相に任命されており、3日の文化相としての国王宣誓式を無事終えている。
4日の記者会見では、最近一部で拡散した「タイがカンボジアに20点の古代遺物を返還する」との情報について、「過去のニュースをもとにした誤報であり、現在そのような返還手続きは行なっていない」と否定した。虚偽情報を流布する者に対しては法的措置を取ると述べ、誤った報道が損害を与えていると非難した。
ペートンターン氏は、タイ政府が2015年にカンボジアに23点の遺物を返還したことを明らかにした。一方で、2024年に閣議で原則認可された追加の20点については、現在もタイ国内に保管されており、予算の割り当てが未了であることや、国境をめぐる緊張が続いていることから、優先度の高い課題とは位置付けていないとした。返還手続きは、芸術局における予算不足のため保留されており、中央予算の予備費の配分対象にはならない。文化相は、文化省として改めて予算案を策定し、閣議に再提出する必要があるとの見解を示した。
また、国境付近に位置するタームアン遺跡については、タイの主権下にあると強調した。タームアン遺跡群は、1961年制定の古代遺跡保護法に基づく保護対象となっている。ペートンターン氏は、外務省とも連携し、他の係争地域における主権擁護に取り組む姿勢を示した。
ソフトパワー政策についても意欲を示し、クリエイティブ産業を後押しする方針を明確にした。海外の映画製作者を対象としてきたインセンティブを、今後はタイ国内の製作にも拡大する計画を示した。タイ映画が世界に進出し、文化を自然な形で紹介できるようになることを期待していると述べた。
ペートンターン首相兼文化相は、文化省と連携可能な案件については、官民を問わず支援していく用意があると強調し、ソフトパワーと文化振興が経済の刺激や国民の新たな機会創出の重要な手段との認識を改めて示した。自身が以前からソフトパワーを開発戦略として推進してきたことに触れ、首相としての職務停止中であっても最善を尽くす覚悟だと述べた。「文化は一部の権力者のものではなく、真に国民のものでなければならない」とし、文化の民主化とソフトパワーの強化を一体的に推進していく姿勢を示した。現政権の掲げる「国民のための政府」「前進する文化」の理念のもと、文化政策を経済成長と国際的地位向上の柱の一つに位置づけた。
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