2025年7月30日(水)号

上半期の自動車市場=30万2694台、1.7%減

 タイ国トヨタ自動車のスパコン・ラタナワラハ副社長は7月29日、上半期の自動車販売統計を報告した。市場全体の販売台数は30万2694台で、前年同期比1.7%減となった。前年下半期と比較して収縮幅は縮小し、改善の兆しが見え始めている。トヨタは今年の市場規模を60万台と予測しており、トヨタ自身の販売目標は23万1000台、前年比5%増を見込み、市場シェアは38.5%を目指している。
 上半期の乗用車の販売台数は11万7482台で、同1.5%減。商用車は18万5212台で、同1.8%減。商用車のうち1トンピックアップトラックの販売台数は9万4715台で、同12.7%減と大幅に落ち込んだ。
 6月単月の販売台数は5万79台となり、前年同月比で5.1%増を記録した。乗用車は1万9397台で、同9.4%増、商用車は3万682台で、同2.5%増。ただし商用車のうち1トンピックアップは1万5307台で、同8.2%減となった。
 上半期におけるxEV(電動車)の販売台数は合計13万2493台で、市場全体の43.8%を占め、前年同期比で21.8%増を記録した。このうちハイブリッド車(HEV)の販売台数は6万7202台で、前年とほぼ同水準だった。一方、バッテリーEV(BEV)の販売台数は5万6529台で、54.5%増となった。
 6月単月のxEVの販売台数は2万1915台で、市場全体の43.7%を占め、前年同月比で30.6%増を記録した。HEVの販売台数は1万1034台で、同11.6%増となり、BEVは9743台で、同59.9%増となった。
 7月の新車市場は、前年同月比で横ばい、または減少する見通し。経済状況と消費者信頼感指数の回復が鈍いことが要因で、企業と家計部門の信頼感は悪化している。企業は米国と貿易相手国との関税交渉に関する状況の明確化を待っており、タイ・カンボジア間の国境紛争による不確実性も警戒しているため、企業は投資を、消費者は支出を控える可能性がある。
 スパコン氏によると、上半期におけるトヨタの販売台数は11万3889台で、市場シェアは37.6%に達した。特に、1トンピックアップトラック市場(ピュアピックアップ+改造ピックアップ車=PPV)では、販売台数が4万2430台を数え、このセグメントの市場シェアは44.8%に達している。乗用車の販売台数は3万9644台で、市場シェアは33.7%。トヨタのハイブリッド車の販売台数は3万1793台に達しており、xEV市場全体の24%を占めている。
 トヨタは下半期に、乗用車、商用車、xEV市場において、複数の新型車の投入を計画している。

カンボジアが停戦破り攻撃継続=タイ政府は主権防衛と外交措置を強化

 タイ政府は7月29日午前、タイ・カンボジア国境における停戦合意後も、複数の地点で停戦違反が発生していると明らかにした。マリット・サギアムポン外相[=写真]は、カンボジアによる停戦合意違反に対し、抗議したことを明らかにした。抗議は、アセアン議長の立場にあるマレーシアの首相と、タイ・カンボジア国境紛争のオブザーバーである米国と中国に対して行なった。28日に停戦合意が成立したにもかかわらず、カンボジア軍が国境での砲撃を継続した。


 プームタム・ウェーチャヤチャイ首相代行(副首相兼内相)29日午後1時20分、マリット外相、ナッタポン・ナークパニット国防副大臣、プロムミン・ルートスリデート主席首相秘書官と共に、タイ・カンボジア国境の最新状況への対応について声明を発した。プームタム氏は、タイ政府が国境の衝突を早期に終結させるために誠意を持って努力してきたと強調。両国が合意に至った停戦協定は、国民の利益と国家主権、国民と兵士の生命と財産を重視したもので、マレーシアのプトラジャヤでの協議結果を厳格に遵守していると述べた。
 両国は、7月29日午前0時をもってすべての敵対行為を停止することになっていたが、カンボジア側がこの合意を破って攻撃を継続したため、タイ側も自衛権の行使で反撃したとしている。外相は抗議文の内容について詳細は明かさなかったが、既存の枠組みのもとで、カンボジアに対して抗議したと述べた。タイは国連安全保障理事会にも訴え、主権侵害に対しては国際法の枠内で自制をもって対応していることを強調した。
 陸軍は29日、カンボジアが停戦合意発効後に意図的に発砲したとして、カンボジアを非難した。陸軍によると、停戦が発効した7月29日午前0時以降、チョンアンマー、チョンボック、タークワーイ寺院遺跡周辺、プーマクア、サムテーで砲撃を続けた。ウィンタイ・スワリー報道官は、停戦合意を意図的に破り、相互信頼の枠組みを損なう行為と糾弾した。タイ側は自衛権の行使として対抗措置を講じた。また、タイ側は国際規範に従って越境を防ぎ主権を守ったと主張している。ウィンタイ少将は、タイが停戦発効と同時に砲撃を停止し、合意を遵守したことを強調した。
 第2軍管区所属のスラナリ特別部隊からの報告では、29日未明に戦闘が発生した。報告によると、停戦発効直後にカンボジア軍がプーマクア地域で挑発行為を行ない、タイ軍が応戦、銃撃戦は朝まで続いたという。同様の衝突は、シーサケート県カンタララック郡のサムテーでも発生し、午前5時30分まで銃撃が続いたと報告されている。スリン県では、パノムドンラック郡のタークワーイ寺院遺跡付近で午前3時と5時に爆発音を確認している。午前6時29分に撮影された軍の映像には、銃声が記録されており、攻撃の存在を裏付けるものとなっている。
 タイ・カンボジア国境情勢特別対策本部によると、タイ軍は29日朝の時点で、プーマクア、チョンアンマー、タームアントム、タークワイ、チョンボック、プラウィハーン(プレアヴィヒア)など国境沿いの11か所の主要地点を確保した。
 この紛争によって、18万8000人以上の住民が避難、民間人15人が死亡、重傷者12人、中等傷13人、軽傷13人が報告されている。タイ側は、カンボジアが古代遺跡を防御に利用していることを非難し、ユネスコの指針に違反すると主張した。第2軍管区は、シーサケート県のサムテー地域での衝突後、投降してきたカンボジア兵18人を拘束し、負傷兵には人道的原則に従い医療支援を行なったと発表している。
 ウィンタイ少将によると、今回の衝突はカンボジアが重火器などでタイ領内に砲撃を行なったことに起因し、タイ側はカンボジア軍の陣地の掃討作戦を実施した。プームタム首相代行は、停戦合意が破られた原因について、カンボジア側の情報伝達の不備もしくは規律の欠如を指摘した。無条件停戦は、和平プロセスの継続を目的に合意されたもので、今後の協議は地域国境委員会(RBC)と一般国境委員会(GBC)の二国間枠組みのもとで行なわれると述べた。
 タイ政府は、停戦合意後も続く国境地帯での緊張を受け、国防態勢の維持と主権防衛の徹底を改めて確認した。閣議では国軍に対し、主権と領土の一体性を最大限に守るよう改めて指示した。停戦合意が実質的に順守されるまで、軍は国境沿い7県での駐留と防衛態勢を継続する。
 29日午前に行なわれた閣議では、次の4項目を正式に決定した。
 1.国軍は国の主権と領土の一体性を全力で防衛する。
 2.タイ大使の召還とカンボジア大使の送還という外交措置をすでに実施済みで、その方針を維持する。
 3.内務省と関係機関に対し、国境地域で影響を受けた住民の保護と帰還支援を早急に行なうよう命じる。帰還については、本日午後にタイ・カンボジア国境情勢特別対策本部が現地調査の結果を報告した後に進められる。
 4.タイ・カンボジア国境情勢特別対策本部は今後も継続的に情勢を監視し、有事の際には速やかに国民に情報を提供できるよう備える。
 一方、カンボジア側によるサイバー戦と情報戦(IO)について、国家安全保障当局の報告によれば、従来はコールセンター詐欺に従事していたグループが、現在はタイ国内での世論分断を目的としたプロパガンダ工作へと任務を変更しているという。

避難民は18万8000人

 内務省は、カンボジア国境沿いの7県において18万8000人の避難者が確認されていることを明らかにした。当局は避難民に対し、安全確認が正式に発出されるまで避難所に留まるよう呼びかけている。
 ウンシット・サムパンタラット内務省次官によると、カンボジアと接する7県には770か所の避難所が設けられており、18万8734人が避難しているという。内訳は、シーサケート県が8万2021人(435か所)、スリン県が5万5898人(130か所)、ブリラム県が2万4480人(112か所)、ウボンラチャタニ県が2万1838人(68か所)、サケーオ県が2652人(13か所)、トラート県が1621人(8か所)、チャンタブリ県が224人(4か所)。
 ウンシット次官によると、プームタム・ウェーチャヤチャイ首相代行は、各県知事と郡長に対し、正式な安全確認が出るまで指定された避難所に留まるよう避難者に伝えることを命じた。避難者に対しては、十分な食料、飲料水、日用品の供給が行なわれるよう指示している。被災地域には一般市民からの支援物資を受け入れるための寄付センターも設置されている。

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