2025年9月24日(水)号

8月の輸出は14か月連続プラス=米相互関税発効で伸び率は鈍化

プーンポン・ナイヤナパーコン商業政策戦略事務局長が9月24日に明らかにした今年8月の物品輸出額は277億4320万㌦となり、前年同月比で5.8%増加した。米国の相互関税が発効したものの、プラス成長は14か月連続となった。石油関連、金、武器を除いた輸出も5.4%増となった。ただし、8月初旬から相互関税措置が発動された影響で、輸出の伸びは鈍化した。米国では需要の弱さから在庫水準が上昇傾向にあるが、電子・電気製品分野は堅調に伸びている。一方、米、天然ゴム、タピオカなど農産品は価格競争による圧力を受けている。


 1~8月の累計輸出額は2231億7580万㌦で、前年同期比13.3%増加した。石油関連、金、武器を除いても13.3%増となった。
 8月の輸入額は297億760万㌦で、15.8%増となった。その結果、貿易収支は19億6440万㌦の赤字となった。1~8月の輸入額は2248億8030万㌦で、前年同期比11.3%増。貿易収支は17億450万㌦の赤字。
 農産物・アグロインダストリーの輸出額は8月に前年同月比10.7%減少し、4か月ぶりのマイナスとなった。農産物が13.6%減少し、4か月ぶりのマイナス、アグロインダストリーは7.2%減少し、2か月連続のマイナスとなった。
 主要品目のなかには増加したものもある。小麦製品やその他加工食品は26.1%増と20か月連続の増加となった。鶏肉調製品は1.3%増で、18か月連続の増加。動植物油脂は16.6%増と前月の減少から再び増加に転じた。生鮮・冷蔵・冷凍エビは7.0%増で、4か月連続で増加した。
 一方で、生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥果物は16.9%減で、4か月ぶりの減少となった。天然ゴムは27.9%減で、4か月連続で収縮した。中国、マレーシア、米国、インド、スペイン向けで減少した一方、日本、ベトナム、パキスタン、ルーマニア、オランダ向けでは増加した。米は30.1%減で10か月連続の減少。米国、南アフリカ、セネガル、イラク、モザンビーク向けで減少したが、カメルーン、中国、マレーシア、香港、カナダ向けでは増加した。
 水産缶詰・加工品は10.3%減で3か月連続の減少、ペットフードは5.6%減で23か月ぶりにマイナスに転じた。砂糖は14.2%減で3か月ぶりのマイナスとなった。カンボジア、台湾、日本、シンガポール、UAE向けで減少したが、フィリピン、韓国、ラオス、ベトナム、マレーシア向けは増加した。
 1~8月の農産物・アグロインダストリーの輸出は前年比1.6%増となった。
 工業製品の輸出額は8月に前年同月比11.2%増となり、17か月連続で拡大した。コンピュータ・同部品は44.1%増で、17か月連続で増加した。米国、中国、シンガポール、マレーシア、日本向けが伸びた。機械・同部品は10.2%増で4か月連続の拡大。英国、日本、シンガポール、インド、ベトナム向けが伸びた。電気回路基板は37.0%増で、8か月連続の増加となった。香港、中国、台湾、マレーシア、フィリピン向けが伸びた。宝飾品は24.4%増で、プラス成長は10か月連続。インド、香港、英国、スイス、オランダ向けが好調だった。電話機・同部品は15.3%増で、3か月連続の拡大となった。米国、メキシコ、シンガポール、UAE、インド向けが増加した。
 一方で、石油関連製品は15.3%減となり、5か月連続のマイナスとなった。ゴム製品は3.1%減と14か月ぶりのマイナスに転じた。米国、韓国、マレーシア、インドネシア、ドイツ向けで減少したが、中国、日本、インド、オーストラリア、ベトナム向けは増加した。エアコン・同部品は14.0%減と14か月ぶりのマイナス。米国、オーストラリア、ベトナム、インド、台湾向けで減少したが、UAE、日本、シンガポール、フランス、韓国向けは増加した。ラジオ・テレビ受像機・同部品は24.4%減で3か月連続のマイナス。米国、日本、インド、ドイツ、マレーシア向けで減少したが、インドネシア、ブラジル、香港、ベトナム、南アフリカ向けで増加した。半導体部品(トランジスタ、ダイオード)は36.9%減で、18か月連続のマイナスとなった。米国、香港、韓国、チェコ、メキシコ向けで減少したが、日本、中国、台湾、シンガポール、インド向けは増加した。
 1~8月の工業製品輸出は前年比17.5%増となった。
 8月の輸出を仕向け地別にみると、米国の関税措置発効前に輸入が前倒しされていた反動で伸び率は鈍化したものの、主力市場への輸出は引き続き拡大している。米国、中国、アセアン市場に加え、南アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、英国といった有望市場でも伸びがみられた。
 主力市場向けは4.1%増。うち米国向けは12.8%増、中国向けは5.9%増、アセアン(5)向けは1.7%増、CLMV向けは0.6%増と拡大が続いた一方、日本向けは5.3%減、EU(27)向けは1.6%減となった。有望市場向けは4.9%増。うち南アジア向けは17.5%増、オセアニア向けは3.0%増、アフリカ向けは4.2%増、ラテンアメリカ向けは13.3%増、ロシア・CIS向けは7.4%増、英国向けは20.2%増と拡大した一方、中東向けは11.6%減となった。その他市場向けは113.4%の大幅増となった。
 プーンポン事務局長によれば、今年の残り期間についても輸出は拡大基調を続ける見通し。米国の相互関税措置に対する懸念は和らぎつつある。米国が複数の国や地域と交渉を妥結し、当初発表よりも低い関税率で合意に至ったことが大きい。タイに適用される関税率も域内の他国と同程度の水準に抑えられている。
 とはいえ、前倒し輸入の反動や需要の弱さから、原材料などの在庫積み増しは今後勢いが鈍化する見込み。さらに、国境貿易の停滞、インドによるコメ輸出の加速策、米国経済の減速、急激なバーツ高といった要因が、引き続きタイの輸出業者にとって重荷となるとした。

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