政府の景気刺激策=経済成長率0.2%押し上げ
タイ中央銀行は、政府による総額660億バーツの景気刺激策が経済成長率を約0.2%押し上げると試算した。チャヤワディ・チャイアナン対外関係担当総裁補[=写真]は9月30日の月例会見で、「コンラクルン(半分ずつ)」を含む今回のパッケージは、名目GDPを約0.4%引き上げ、実質GDP成長率への寄与度は0.2%程度になるとの見方を示した。

チャヤワディ氏は、この刺激策が消費の拡大に重点を置いており、雇用の創出には大きく結び付かないため、GDPへの影響は限定的になるとした。また支出の一部は輸入品に流れる可能性が高いと述べた。一方で、このパッケージは国民の信頼感を高める効果が期待され、高所得層の消費を刺激すれば、国内消費に対してより大きな後押しとなる可能性があると指摘した。
中銀の報告によれば、8月のタイ経済は前月比で減速した。農業と製造業の生産が鈍化したことが主因で、輸出や貨物輸送サービスの足を引っ張った。一方、観光部門は国内外の旅行者の増加で改善した。季節調整後の外国人観光客数は前月比2.8%増の260万人となり、観光収入も7月の1.1%増から8月は2.7%増に加速した。中国、日本、韓国からの短距離旅行者の夏休み需要に加え、ドイツやロシアからの長距離旅行者に支えられた。
米国向け輸出は8月に前年同月比5.5%増となり、7月の9.7%増から伸びが鈍化した。米国の輸入関税導入後では初の減速。電子製品の輸出も数か月にわたる堅調な伸びの後にやや落ち着きをみせている。輸出は第3四半期も減速が続く見込みだが、収縮に至るかどうかは世界貿易の動向や米関税の影響に左右されると述べた。
また、中央銀行の外貨準備を用いた政府系ファンド設立構想が再浮上していることについて、チャヤワディー氏は「外貨準備の構造は国ごとに異なる。タイは借入金が比較的多く、資本流出に備える強固なバッファーを維持することは不可欠だ」と説明した。ただし、異なる意見を聞く姿勢も示した。
国家経済社会開発評議会(NESDC)のスパウット・サーイチュア議長は、タイの外貨準備は約9兆バーツに達し、活用されずに遊休状態にあると指摘している。同氏によれば、国際通貨基金(IMF)は、タイの国際準備適正比率(その国の外貨準備高が国際収支上の必要水準に対してどの程度十分かを示す指標)を237%としており、基準値である193%を大きく上回っている。
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