2025年10月16日(木)号

国内観光活性化策を閣議提出へ=年末までに1110億バーツ還流

 財務省は、経済刺激に向けた国内観光活性化パッケージを閣議に提出する。10月15日に首相を議長に開いた経済政策委員会の会合で審議した。1兆1500億バーツの国内観光収入目標を掲げ、景気を刺激する方針で、「コンラクルン(半分ずつ)プラス」スキームと並行して10月29日から年末にかけて実施する。パッケージ案は21日の閣議で承認を目指す。
 エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相[=写真]によると、観光活性化は3つの措置で構成する。
 1つめは地方都市でのセミナー促進を通じた観光活性化で、政府機関や国営企業、地方自治体が観光指定県または政府指定の観光地域で職員向けセミナーを開催するよう促す。60億バーツの予算のうち、60%を来年1月までに執行するよう求める。商議所は企業が企業が従業員の国内旅行にかかる費用を損金として税控除対象にできる制度を提案しており、財務省が現在その実現可能性を検討中。


 2つめは「タイ・トラベル・タイ」スキームで、10月29日~12月31日の間に地方都市を旅行した納税者がツアーパッケージやホテル宿泊にかかった実費の等倍または1.5倍を所得税控除できるようにする。控除上限は検討中だ。
 3つめはホテル業界の支援策で、エネルギー効率改善や施設改装などに投資を行なうホテルを対象に税制優遇措置を導入する。改修費を2倍まで損金算入可能とする内容で、対象期間は2026年3月まで。エアコンの設置、ソーラーパネル導入、排水処理システム整備など、エネルギー効率と環境持続性を高める改修を支援する内容となっている。経済活性化とともに、持続可能な建築慣行の促進も視野に入れる。財務省は、各措置における控除額などの詳細を早急に詰める方針だ。
 娯楽施設の物品税を10%から5%に引き下げる案も検討されており、内務省、物品税局と連携し、未登録の事業者を制度下に組み込み、税制上の恩恵を受けられるようにする。
 一方、440億バーツの予算が割り当てられた「コンラクルン・プラス」スキームは、第4四半期のGDPを少なくとも1%押し上げる効果を見込む。個人の自己負担分と合わせて総額880億バーツが経済に還流する。補助金は1人当たり2000~2400バーツに増額され、スキームは10月29日~12月31日まで実施される。 政府はまた、1340万人の政府福祉カード保有者にそれぞれ1700バーツを追加支給することを承認した。別途230億バーツの予算で賄い、これらを合わせて年末までに約1110億バーツが経済に還流する見通し。政府は今年のGDPを0.3~0.4%押し上げる効果を期待している。
 エークニティ財務相は、タイ経済が新しい環境に対応するには、経済・財政政策の再構築が急務だと指摘した。中所得国の罠、債務危機、急速なデジタル化への対応など構造的課題に触れ、「高い債務比率と増加する家計債務が経済を不安定化させており、財政再建のための政策パッケージが早急に必要だ」と述べた。
 エークニティ財務相は「今後5年間で大きな進展を遂げられなければ、経済的停滞が続き、将来の繁栄の機会を失うおそれがある。長期停滞は国民の不満を高め、社会不安を悪化させかねない」と述べた。

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