2025年11月10日(月)号

競争力強化基金で産業底上げへ=BOIが2大施策を承認

 投資委員会(BOI)は11月6日、アヌティン首相[=写真]を議長に開いた「BOIのもとでのターゲット産業のための競争力強化政策委員会」の会議で、競争力強化基金を活用してタイ企業の体質強化と人材育成を進めるため、2つの重点施策が承認されたと発表した。テクノロジーの高度化と生産性の向上を通じて、タイ企業がグローバル市場で競争できるようにする。


 ナリット・トゥードサティラサックBOI事務局長は、政府の「クイックビッグウィン」政策の一環として投資を加速させる2つの施策が承認されたと述べた。タイ企業の競争力強化支援策と新産業に対応する高度スキル人材育成策の2つ。
 タイ企業の競争力強化支援策は、タイ資本比率51%以上の法人を対象に、生産効率の改善と技術力の向上を目的とした投資に対し、実際の投資額の30~50%を補助する(1社あたり上限は1億バーツ)。対象分野は、①オートメーションやデジタル技術による生産効率の向上、②研究開発(R&D)、③既存事業のグリーン産業や新産業への転換。対象業種は、農業、食品、バイオテクノロジー、医療、自動車、電子機器、自動化/ロボティクス、防衛産業など。
 一般企業は最低投資額5000万バーツ、SME ONE ID登録済みの中小企業は2000万バーツが条件となる。申請期限は2026年1月までで、BOI証交付後12か月以内に事業を完了する必要がある。
 補助金は事後支給方式のため、BOIはタイ銀行協会(TBA)と連携して「ブリッジローン」制度を整備し、交付までの資金繰りを支援する低利融資のプログラムを設ける予定。
 第2の新産業向け高度スキル人材育成策では、競争力強化基金から大学や訓練機関に助成金を交付し、産業の変化に対応可能な人材を育成する。対象は高等専門学校レベル以上の学生と社会人で、10万人(学生3万人+既存労働者7万人)を育成する。
 研修はブートキャンプ、オンサイト/オンライン講座、企業内実習などを組み合わせ、先端技術・高度知識分野の内容を必須とする。カリキュラムは高等教育・科学・研究・技術革新省の委員会の承認を受ける必要があり、助成は研修費、交通費、宿泊費、指導者報酬などをカバーする。申請期限は2026年1月、訓練は認定後6か月以内に完了することが求められる。
 ナリット事務局長は、この施策を通じて競争力強化基金はタイの産業の底上げを牽引する資金ツールとしての役割を強化すると述べている。企業の技術転換と生産性向上を支援するとともに、新産業に対応できる高度スキル人材を育成することは、これまでにない大規模な国家プロジェクトで、企業が生き残り、競争し、持続的に成長できる環境をつくることで、タイ経済の未来を確かなものにしていくと語った。

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