OECD新課税ルールに対応=BOIが「税額控除制度」を導入へ
投資委員会(BOI)は、既存の税制優遇措置である法人所得税の減免措置を引き続き実施すると明言したうえで、新たに「税額控除(Qualified Refundable Tax Credit:QRTC)」制度を導入し、経済協力開発機構(OECD)のグローバル最低税率制度に対応する方針を示している。
ナリット・トゥードサティラサック事務局長[=写真]は11月13日、財務省とBOIが税制優遇措置を廃止するとの報道を「そのような事実はない」と否定、「現行の免税・減税措置は既存と新規の投資家に対して従来どおり適用される」と述べた。BOIと財務省がOECDの定めるグローバル・ミニマム・タックス(Global Minimum Tax)への対応策として、新たな優遇手段となる「税額控除」を設け、大企業の追加課税(Top-up Tax)による影響を緩和する考えを示した。

同事務局長によると、税額控除は既存の免税措置を廃止するものではなく、補完的な新しい選択肢として設けられる。OECDの基準により追加課税の対象となる多国籍企業が一定の条件下で研究開発や人材育成などの投資額を控除対象にできるようにする仕組み。一方、最低課税ルールの対象外となる企業については、従来のBOIの優遇措置をそのまま利用できる。
OECDはグローバル最低税率を年商7億5000万ユーロ以上の多国籍企業に適用し、実効税率(Effective Tax Rate:ETR)が15%未満の場合、所在国または親会社の所在国で追加課税を行なうと定めている。タイ政府はすでに2024年に関連法令(追加課税緊急勅令)を公布しており、2025会計年度から施行する。
このためBOIは、所管する「競争力強化法」の改正を提案し、OECDが承認する投資奨励手段として税額控除を新たに導入する。有効な投資誘致のツールを確保し、国内生産基盤を維持しながら、競争力の向上につながる新規投資を促進し、経済の持続的成長を目指す。
税額控除は、研究開発、高度人材育成、品質基準の向上、生産効率改善など、国の競争力を高めるための支出を控除対象とするもので、財務省の定めるところに従い各種税の支払いに充当できる。追加課税による負担を緩和し、企業の流動性を即座に高めるとともに、競争力強化のための投資を継続的に後押しする狙いがある。
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