10月の工業生産は0.08%減=通年予測は0.75%減に下方修正
工業経済事務局(OIE)が11月28日に発表した10月の工業生産指数(MPI)は94.57ポイントとなり、前年同月比0.08%収縮した。これにより、1〜10月平均は96.55ポイントとなり、前年同期比0.80%減となった。スパキット・ブンシリ事務局長[=写真]は、今年通年のMPIの見通しを0.75%減へと下方修正し、製造業のGDPは0.5%成長を見込んでいることを明らかにした。2026年は政府の景気刺激策、主要貿易相手国との取引の拡大、金利引き下げなどを背景に、MPIと製造業のGDPは1.0〜2.0%成長に上向くと予測している。

10月の平均設備稼働率は58.25%。米国からの複数品目の輸入関税撤廃がタイの工業製品と農産加工品に影響を及ぼしたほか、洪水に対する懸念の高まり、国境貿易の縮小、外国人観光客数の減少などを受け、10月の工業部門の信頼感が低下した。
一方で、10月の製造業を下支えした要因もある。国内でのEVの販売増に伴う自動車生産の拡大、16か月連続で増加した工業製品輸出、政府の景気対策である「コンラクルン・プラス」と燃油価格引き下げなどが挙げられる。これらの施策は、家計と企業の双方の負担軽減に寄与している。
しかし、11月のタイの工業経済全体の警戒システムは「注意喚起」のシグナルを示した。国内要因では、民間投資が前月から大幅に減少したことや製造業の受注に対する信頼感が低下したことから、引き続き警戒が必要とされる。一方、海外要因は前月より警戒度が低下した。中国とオーストラリア向け輸出が改善したほか、インドが輸入を加速し、アセアン各国の製造業が拡大基調を維持したことが背景にある。
スパキット事務局長は、1〜10月のMPIが0.80%減となったことを踏まえ、今年の見通しを0.75%減、工業部門のGDP成長率を0.5%増に見直したと述べた。2026年は回復すると期待しているが、米国の経済政策や輸入関税措置の不確実性には警戒が必要で、今後の影響を注意深く見極める必要があるとした。また、家計債務や個人消費が依然として回復しておらず、購買力と家計支出が鈍化している点を懸念材料に挙げた。観光部門の減速傾向も続いており、気候変動がもたらす洪水被害が多くの地域で生産活動に影響を及ぼし、事業所、機械設備、労働力、物流、さらにはサプライチェーン全体に波及していると説明した。
10月のMPIを押し上げた主要産業には自動車、電子部品・プリント基板、パーム油などがある。自動車の生産指数は9.11%増。1800cc以下のハイブリッド車、ピックアップトラック、EVの生産が中心となった。国内市場と輸出の拡大に加え、EV3.0措置が今年末で終了することから、需要に対応するためEVの生産が加速した。
電子部品・プリント基板関連は12.38%増となり、主にPCBAが伸びた。世界の電子機器市場は引き続き拡大している。
パーム油は36.46%増。パーム原油、精製パーム油の生産が伸びた。パーム椰子の市場出荷量が増えた。前年の旱魃被害とは異なり、天候が生産に適した状態となったほか、前年同月にメンテナンスで休止していた一部メーカーが通常操業に戻ったことも寄与した。
一方で、エアコンは21.04%減となった。国内の購買力が弱く、各地で豪雨や洪水が発生したことに加え、海外からの安価な輸入品との競争もあった。
電動機・発電機・変圧器は38.65%減。変圧器と電動機の減少が中心で、電力会社からの発注を待つため、生産が一時的に抑制された。
石油精製品は2.41%減。軽油、重油、ガソリンの減少が目立った。一部の製油所が大規模メンテナンスのため生産を休止したことが理由。
その他のニュース
[経済ニュース]
中銀の月例経済金融報告=10月の景気は前月比で拡大
モーターエキスポが開幕=四輪42、二輪16ブランド
商業省「Thaiセレクト」=新たに202店を認定
[社会ニュース]
難民認定の活動家=控訴審がベトナム送還を支持
ミス・ユニバース大会=JKN創業者らに不正容疑
架空口座一斉取締=9日間で300人以上を逮捕
喫煙者70万人が糖尿病=半数が未自覚と判明
[閣議決定]
2025年11月25日
[為替・株式市況]
11月24~28日
[商品市場]
バンコク首都圏の燃油小売価格
天然ゴム・ハジャイ中央市場)
[金融市場]
外為相場
[中銀データ]


コメント