1~11月の外客数は2960万人=支出低迷で観光業の転換点に
観光・スポーツ省がこのほど発表した1~11月の外国人観光客数は2960万人にとどまり、前年同期を7.25%下回った。特に近距離市場(ショートホール)が落ち込んでおり、今年第48週(11月24~30日)には前週比で11%落ち込んだ。南部10県を襲った未曽有の洪水でマレーシアからの観光客が42.63%減少した。この週の外客数は63万5217人で前週比8.12%減少している。カシコンリサーチセンター(Kリサーチ)は、2026年の外国人観光客数を3410万人(前年比4%増)と予測し、タイの観光業が転換点を迎えていると指摘した。外客数がコロナ前の水準に戻るのはより難しくなっており、このまま何も手を打たなければ、経済への押し上げ効果は弱まっていくと警告した。

1~11月の外国人観光客からの収入は1兆3726億7700万バーツ。国別の外客数はマレーシアが417万8685人で最多となり、中国(410万1745人)、インド(222万1091人)、ロシア(163万2624人)、韓国(140万4666人)が続く。
国際観光市場の競争が激しさを増すなか、2026年の外国人観光客数は3410万人と予測され、前年比4%増と前年の7%減から上向くものの、1人当たり支出はなお低水準にとどまりそう。タイの観光は新たな均衡へ向けて適応する必要があり、MICEや医療・ウェルネスなど、タイの強みを活かして旅行当たり支出額を引き上げることが重要になる。
Kリサーチのケワリン・ワンピチャヤスック副社長は、タイの観光業の動向について、(1)外国人観光客によるタイ国内での観光支出(受け取り)と、タイ人の海外旅行支出との差額が、ほぼ半減する方向にあること、(2)競争力喪失の兆候がより明確になっていること、(3)欧州市場とインド市場は、中国およびアセアン市場を完全に代替するには至っていないこと、(4)主要観光都市から地方都市への観光の分散は、依然として取り組むべき課題が多いことの4点を指摘している。
ワリトン・シリサタヤウォン研究主任は、2026年の外国人観光客市場は中国市場の回復が牽引すると述べた。2026年は3410万人と予測され、2025年の7%減から上向く見通し。ただし、依然として潜在力には届かず、観光収入全体の回復や旅行当たり支出額はコロナ前を下回る水準が続く。外客数が頭打ちとなる局面にあるため、今後は費用の高い新たな観光商品が必要になるとし、世界的アーティストによるコンサートの開催などエンターテインメントイベント、国際会議・展示会(MICE)、世界的スポーツ大会の誘致、国際的テーマパークの投資誘致などを挙げた。さらに、医療・ヘルスツーリズムは滞在期間が長く、消費額の拡大が見込める高付加価値市場として重要だと指摘した。
ワンナウィサー・シーラタナ研究主任は、メディカル&ウェルネス分野について、観光収入の押し上げに寄与し得るが、主力の患者市場の縮小や競争激化、構造的な課題に直面していると述べた。そのため、2026年の外国人患者数と収入の伸び率は、それぞれ0.4%、3.7%にとどまる見通し。観光収入を引き上げるうえで、治療期間が長い専門医療や、予防医療(Preventive Care)、ウェルネスサービスの拡大が鍵となる。世界的トレンドである長寿(Longevity)や、生活習慣病(NCDs)の増加にも対応すべきとした。
Kリサーチは観光業の立て直しに向け、(1)近距離市場、とりわけ比率が半減した中国人観光客の信頼回復、(2)タイの強みを活かした観光商品を通じて旅行当たり支出を引き上げるため、明確なターゲットとエコシステムを整備する、(3)タイ国内旅行の促進、(4)地方都市を地理的表示(GI)など地域固有の魅力で強化することの4点を提案した。
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1-11月の外国人観光客数


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