カンボジア国境の緊張=観光業直撃で外客数1割減も
タイ観光公団(TAT)は、カンボジア国境情勢が観光に及ぼす影響が顕在化し始めているとして、強い懸念を表明した。タパニー・キアットパイブーン総裁[=写真]によれば、年末年始のハイシーズンを控え、紛争地域周辺でホテルの予約取り消しが相次いでいる。11月末に発生した南部の大洪水も、こうした状況に追い打ちをかけているという。国境沿いの戦闘は一部の県や郡に限定されているものの、国内外メディアによる継続的な報道や各国政府が発出する渡航勧告が心理的な影響を与え、広範囲で観光客の信頼感に影響を及ぼしている。

12月の外国人観光客数は、国境情勢の影響で前年比7~11%減の約320万人にとどまる見通しだ。緊張状態が長期化すれば、影響は予測を上回る可能性もある。現地からの報告によると、国境に近い観光地、特にトラート県では宿泊予約のキャンセル率が平均42%に達している。島嶼部ではチャーン島が約35%、クード島が30%、マーク島が44%のキャンセル率となっており、トラート市街地の宿泊施設では60%にまで跳ね上がっている。
カンボジアと接する東北地方の国境沿いでも、一部の観光スポットが通常通り開放できず、イベントの中止や延期が相次いだことで、観光収入は大幅に減少した。国境付近のホテルでは政府関係者や軍、メディア関係者の宿泊はみられるものの、いずれも公務に伴うもので支出額は限定的で、一般の観光客による収益を補うには至っていない。
一方、南部の洪水もタイ観光全体にさらなる打撃を与えている。特にソンクラー県ハジャイ郡の被害は深刻で、TATは経済・観光エリアの復旧に少なくとも1か月を要すると予測している。タパニー総裁は「南部洪水の影響を如実に受けているのは、同地域の主要市場であるマレーシア人観光客だ。12月のマレーシア人観光客数は55%減の約20万5000人、観光収入は54%減の44億4400万バーツに落ち込むと予測している。また、もう一つの重要市場である中国からの観光客も、約34%減少する見通し」と述べた。
さらに総裁は、「最優先課題は、国境情勢のリスク管理と並行して、観光市場の信頼回復を急ぐことだ」と強調した。そのうえでTATは、影響が出ている地域と主要観光地を明確に区別して情報発信を行なっており、「バンコク、チェンマイ、プーケット、パタヤといった主要都市は、依然として通常通り旅行やイベントが可能なことを強調したい」と付け加えた。
2025年通年の外国人観光客数は前年比8%減の3280万人、外国人による観光収入は5%減の1兆5200億バーツとなる見込み。一方、国内観光は延べ2億660万人で3%増、観光収入も4%増の1兆1600億バーツと予測した。これにより、観光産業全体の総収入は約2兆6800億バーツとなり、前年比で約2~3%減少する見通しとなっている。
TATは、今年大きく落ち込んだ中国市場の回復を図るため、2026年の中国人観光客数を670万人まで回復させる目標を掲げる。中国の旅行会社や海南省海口市の観光当局との提携を進める。海口市観光・文化・ラジオ・テレビ・スポーツ局と中国大手オンライン旅行会社の同程旅行(Tongcheng Travel)と、それぞれ意向書(LOI)を締結した。
タパニー総裁によると、今年の中国人来訪者数は感情の悪化を背景に450万~460万人にとどまる見通しで、2024年の約670万人から大幅に減少する。ミャンマーの詐欺拠点に連れ去られた中国人俳優の誘拐事件に加え、第3、第4四半期に発生した自然災害の影響を受けた。
観光・スポーツ省の統計では、今年1~11月の中国人来訪者数は410万人で、前年同期比33.8%減となった。TATはこれまで、「トラステッド・タイランド」キャンペーンの展開や、タイと中国を結ぶ新たなチャーター便の誘致など、観光客の信頼回復に向けた複数の施策を進めてきた。
タパニー総裁は、航空座席供給能力の回復を前提に、2026年は中国人観光客数を少なくとも40%増やし、2024年に記録した670万人規模に戻すことを目指すと述べた。購買力の高い中国人旅行者は引き続き海外を旅行しており、TATの課題は、この層を呼び込み、タイを「コストパフォーマンスの高い目的地」として再認識してもらうことだとしている。
海口市とのLOI[=写真]は、双方の観光商品に対する認知度向上、双方向の観光促進、観光商品の共同開発、展示会や見本市、ロードショーでの協力、オピニオンリーダーの交流促進など、戦略的な協力関係の構築を目的としている。また、同程旅行との提携は、観光分野における知識、マーケティング、コミュニケーションの交流を促進し、タイと中国をより密接につなぐ観光ルートの開発につながるという。
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