中銀は利下げ効果に期待=新たな信用保証制度を導入へ
タイ中央銀行は、経済を下支えするため、金融緩和政策を進めるなかで、銀行部門に対し融資の拡大を求めている。ウィタイ・ラタナコーン総裁[=写真]は、12月17日に政策金利を引き下げた金融政策の波及効果が早期に現れることを期待している。緩和的な金融環境のもとで、銀行の貸出の伸びが上向き、低迷する国内経済の成長を支えることを期待している。総裁は、さらなる利下げの余地はあると語っている。

中銀の金融政策委員会(MPC)は17日に政策金利を0.25%幅引き下げて年1.25%とすることを全会一致で決定した。今年に入ってからの利下げ幅は1%となった。中銀は経済の勢いを支えるだけでなく、脆弱な借り手の金融負担を軽減し、特に中小企業(SME)を中心とする層の銀行融資へのアクセス改善を目指している。中小企業向けの融資は、経済状況に沿った需要の弱さに加え、信用リスクの上昇を背景に13四半期連続で縮小している。
ウィタイ総裁は19日、金融政策の余地は限られているものの、経済と脆弱な層、特に中小企業を支援するため、さらなる利下げの余地はあると述べた。また、中銀が財務省と協力し、総額1000億バーツ規模の新たな信用保証制度を導入すると明らかにした。中小企業と大企業の双方を対象とし、信用枠は中小企業で最大1億バーツ、大企業で1億5000万バーツとする。
信用保証制度は「リインベント・タイランド」構想に沿った有望産業に重点を置き、観光、医療・ウェルネス、農業・農産加工、自動車・同部品、スマート・エレクトロニクス、小売、物流などが対象。財務省が金融機関との間で覚書(MOU)を締結する予定だ。
政策金利の引き下げを受け、カシコン銀行(Kバンク)は最優遇当座貸越金利(MOR)を0.25%幅引き下げ、年6.44%とすると発表した。最優遇貸出金利(MLR)と最優遇小口貸出金利(MRR)もそれぞれ0.1%幅引き下げ、年6.62%、年6.68%とする。12月22日から適用する。
クルンタイ銀行(KTB)も、MORを0.25%幅引き下げて年6.37%とし、MLRとMRRをそれぞれ0.1%幅引き下げて年6.40%、年6.945%とすると発表した。新たな金利は22日から適用される。
一方、サイアム商業銀行(SCB)のクリット・チャンタノトークCEOは、信用保証制度を含む政府の経済対策を支援する用意があると述べた。2026年に向け、貸出のプラス成長目標を掲げ、経済が減速するなかでも中小企業向け貸出残高を維持し、金融支援を継続する方針を示した。
バンコク銀行(BBL)のチャートシリ・ソーポンパニット頭取は、同行が2026年の事業計画を最終調整しており、貸出残高は引き続きプラス成長を維持すると述べた。新たな中小企業向け信用保証制度を含む政府の経済対策に協力する用意があり、自行独自の金融支援プログラムと併せて対応するとした。
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