トヨタがサービス人材を育成=教育・研修体制を強化
タイ国トヨタ自動車は1月26日、報道関係者を招き、「Toyota Trusted Services Open House II」を開催し、トヨタ教育・研修センターとトヨタ自動車技術学校を公開した[=写真]。全国のトヨタ販売店において提供されるサービスの信頼性を高め、顧客が安心して高度なサービスを受けられる体制を整えていることを示すことが狙いだ。トヨタは、人材育成を基礎教育レベルから専門人材の高度育成に至るまで一貫して重視しており、教育機関としてのカレッジ制度を通じた育成から、実務に精通した専門スタッフの養成まで、あらゆるサービス分野を網羅できる人材の育成に取り組んできた。その一環として、トヨタ教育・研修センターとトヨタ自動車技術学校を開設している。

トヨタ教育・研修センターは、1996年に設立され、チャチュンサオ県スウィンタウォン通りにある。タイ国トヨタが運営する人材育成施設で、トヨタ販売店事業の持続的な成長を支えることを目的に、サービス分野の人材を体系的に育成・管理している。人材育成戦略としては、「3R」を柱に据え、計画的な人材強化を進めている。
トヨタ自動車技術学校(Toyota Automotive Technological College:TATC)は、1998年に設立され、チャチュンサオ県ムアン郡スウィンタウォン通りに所在する。教育省の認可を受けた職業教育機関で、即戦力となるプロフェッショナルな自動車整備士の育成を目的としている。実習重視のカリキュラムを採用し、最新設備を備えた教育環境のもと、専門分野に精通した教員が指導に当たる。奨学金制度や卒業後の就職機会も用意され、自動車産業を支える人材供給拠点としての役割を担っている。
トヨタ教育・研修センターとトヨタ自動車技術学校は、設立以来、教育・研修システムの継続的な改善と高度化を進め、人材育成に取り組んでいる。
トヨタは「Customer First」の理念を重視し、「質の高い人材こそが、顧客に幸せを届ける鍵」という考えのもと、強固な学習エコシステムの構築に取り組んでいる。世界水準のサービス品質を提供すると同時に、タイ社会とともに成長していくことを目指し、3R戦略に基づく体系的な人材マネジメントの基盤を整えている。
◆人材マネジメント戦略
1.人材の採用(Recruitment):強固な人材供給の源流づくり
トヨタは、熟練技術者を育成・供給するため、主に2つのルートを通じて人材育成に力を入れている。
第1に政府機関との連携で、1990年から継続しているトヨタ・テクニカル・エデュケーション・プログラム(T-TEP)を通じ、職業教育委員会事務局との長期的な官民連携を推進している。最新技術の移転と実践的な訓練を重視し、一般的な自動車技術に加え、車体・塗装技術分野まで幅広く対応している。
また、トヨタの世界各地のサービス拠点で技術者教育に用いられているeラーニングプラットフォーム「Toyota Team-GP」を学習の中核に据え、高い教育水準を確保している。全国の販売店でのインターンシップの機会を保証し、若者の就業機会創出につなげている。
第2にトヨタ自動車技術学校は、職業教育機関として、職業課程(ポーウォーチョー)から高等職業課程(ポーウォーソー)までを開設し、機械技術、自動車サービス技術、車体・塗装技術、電気自動車技術の各分野で専門教育を行なっている。
年間200人以上の卒業生を輩出しており、1998年の設立以降、累計4000人以上の質の高い人材をトヨタ販売店や労働市場に送り出してきた。実際の作業現場を想定した実践的な教育環境が特長で、販売店での就業に加え、日本の技術研修生制度(JTIP)」を通じた日本での就労機会も用意されている。
さらに、キングモンクット工科大学トンブリ校(KMUTT)やラチャモンコン工業大学バンコク校などと連携し、工学系学士課程への進学ルートも整備している。
2.再教育・研修(Re-Training):国際基準を実践力へ
人材の能力開発は、トヨタ教育・研修センターにおいて継続的に行なわれている。各種研修プログラムと講師陣は、日本のトヨタ本社から認証を受けた国際基準に基づいており、毎年、サービス関連人材の30%、およそ7000人が研修を受講している。
これにより、全国のトヨタ販売店におけるサービス人材の知識と技能を底上げし、全国共通のサービス水準を維持している。研修内容は、一般的な自動車技術から車体修理、カスタマーリレーション、部品担当、塗装修理、コールセンター、サービス部門管理、車体・塗装サービス部門管理まで幅広く網羅する。
これらの研修は、内燃機関車(ICE)、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(BEV)などの最新車両技術に加え、将来の自動車技術にも対応できる体制を整えている。さらに、年2回の定期的な評価・フォローアップを実施し、人材の品質維持を徹底しているほか、「Fix It Right-AI」といったツールを活用し、販売店と顧客をリアルタイムで支援する体制を強化している。
3.人材の定着(Retention):内なる幸福から外への価値創出へ
トヨタは「社員の幸福こそが、顧客への最高の幸福につながる」との考えのもと、組織へのエンゲージメントの向上を重視している。その一環として、販売店の従業員を対象としたエンゲージメント調査を毎年実施し、社員の声を反映させながら、販売店と連携して職場の幸福度向上に向けた取り組みを進めている。
また、職業への誇りとモチベーションの醸成にも力を入れ、サービス品質を維持・向上させるため、販売店スタッフの主体的な取り組みを促している。象徴的な取り組みが、「トヨタ販売店技能コンテスト」だ。1976年に初開催され、40年以上にわたり継続して実施されてきた。毎年、全国のトヨタ販売店から1200人以上が参加し、「Toyota Trusted Service」の理念のもと、顧客対応から車体・塗装サービスまで、幅広い分野を対象に①サービス部門管理者②上級技術者③塗装修理技術者④部品担当⑤初級技術者⑥車体修理技術者⑦カスタマーリレーション担当⑧コールセンター担当⑨車体・塗装サービス部門管理者の全9部門で競技が行なわれている。
トヨタは、ニーズに即した技能人材の育成から、急速に進化する自動車技術に対応したサービス標準の維持、さらには社員一人ひとりの幸福と誇りの醸成に至るまで、包括的な人材戦略を通じて、この使命を今後も継続していく姿勢を明確にしている。
全国すべてのサービス拠点において良質なサービスを提供し、顧客に最大の満足と笑顔を届けるとともに、タイ人労働者の技能水準を国際基準へと引き上げ、企業・経済・社会が持続的に成長していくことを目指している。
スパコン・ラタナワラハ副社長は、「タイ国トヨタ自動車は、高品質なトヨタ車を生産・販売する企業であるだけではなく、人材の育成と能力開発にも継続的に取り組んでいる。サービス部門の人材の30%、およそ7000人が毎年ローテーションでトヨタ教育・研修センターにおいて研修を受けている。これにより、全国のトヨタ販売店のサービススタッフの知識と技能を引き上げ、均一で高いサービス水準を確保している」と述べた。
1998年に設立されたトヨタ自動車技術学校が、これまでに4000人以上の質の高い人材をトヨタ販売店と労働市場に送り出してきたことを示したうえで、世界的に認められている高品質な自動車づくりの一翼を担うとともに、熟練技術者として、現在に至るまでタイの顧客を継続的に支えているとした。
これらの取り組みは、「タイ国トヨタにとっての誇りであるだけでなく、タイ経済の成長を支え、タイの自動車産業を持続的に発展させてきたという点で、タイ国民全体の誇り。生産面のみならず、人材育成の分野においても国際的に評価される産業として、タイの自動車産業を押し上げてきた成果と考えている」と語った。
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