BOIがスタートアップ支援=VCファンドと共同で資金提供
投資委員会(BOI)事務局は8月1日、スタートアップ支援措置の実施を発表した。ナリット・トゥードサティラサック事務局長によれば、タイ経済をテクノロジーとイノベーションを通じて変革するため、競争力強化基金のもとにマッチング・ファンドを立ち上げる。タイのスタートアップが成長し、世界レベルで競争できるよう、民間ファンド(ベンチャーキャピタル/VC)と協力して、ターゲット産業でポテンシャルの高いスタートアップに対し、1社あたり5000万バーツを超えない範囲で資金支援する。
ナリット事務局長によれば、ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相を議長に開いた競争力強化基金理事会の最近の会合で、「ポテンシャルの高いスタートアップを振興するための措置」を承認した。ターゲット産業での競争力を高めることが狙いで、投資委員会布告第2/2024号が7月15日に施行されている。
ターゲット産業で事業を手掛けるタイのスタートアップを振興するため、プレシリーズAからシリーズA段階での事業拡張のための資金調達を支援する。BOIが民間のVCファンドと協力して、マッチング・ファンドの形でスタートアップに2000万~5000万バーツの資金を提供する。イノベーションを創出するポテンシャルがあるスタートアップを支援することで、グローバル市場で事業を拡張し、ユニコーン企業への成長を促す。国の競争力を高め、テクノロジーとイノベーションが駆動する経済へと移行させる。
支援対象のスタートアップは、タイの法律に基づいて設立された法人で、タイ人が総株式数の51%以上を保有することが条件。創業者(ファウンダー)のグループが60%以上の株式を保有し、デジタルやエレクトロニクスなど先端技術を利用するターゲット産業であることも条件で、自動車、農業、食品、医療、バイオテクノロジー、ロボットなどの分野で、明確なビジネスプランを提示する必要がある。また海外での資金調達計画、海外進出の計画、製品・サービスの海外への輸出計画も合わせて提示しなければならない。
このほかVCファンドから1500万バーツ以上の資本注入を受けていることも条件。VCファンドは、国家イノベーション機構(NIA)に登録していなければならず、さらに当該ファンドが支援対象とするスタートアップへの追加投資の意向を表明していることも条件になる。
BOIは1社あたり2000万~5000万バーツの支援を検討するが、VCファンドが支援する金額を超えない。支援するスタートアップに対し、BOIはVCファンドによる資金支援後に、まず支援額の50%を提供する。残り50%は当該スタートアップが個々に定められた経営指標を達成したときに支払われる。資金支援に加え、外国人専門家の雇用やビザ、労働許可書の取得にも便宜を図る。またBOIの通常の投資奨励措置に沿って税制優遇を受けることもできる。
支援対象のスタートアップを審査するため、BOI事務局はNIAやデジタル経済振興機構、テクノロジー/イノベーション起業家育成基金、タイ証券取引所(SET)、国家高等教育・科学・研究・技術革新政策委員会事務局など、その他のスタートアップ支援の業務経験のある機関の協力を得て作業部会を設置する。
ナリット事務局長は、資金源と人材がスタートアップの成長にとって重要な要素であるため、両側面をサポートする措置を設けることにしたと説明している。競争力強化基金を通じてVCファンドと協力し、ポテンシャルのあるタイのスタートアップの技術開発資金を共同で供与することで、タイのスタートアップがグローバル市場に進出し、ユニコーン企業に成長する機会を高める。同事務局長は、タイを地域のイノベーション・ハブにするための重要な一歩になると語った。
カードローン最低返済額=中銀が緩和を検討
タイ中央銀行の広報担当、チャヤワディ・チャイアナン総裁補[=写真]が7月31日の月例経済金融報告会見で語ったところによれば、中銀はピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相が求めているクレジットカードの月々の最低分割払い額を残高の5%に引き下げる措置の検討を急ぐ。8月中に結論を出す予定だという。新型コロナのパンデミック期にカード債務の月々の返済額は10%から5%に引き下げられていたが、今年初めからは8%に改められ、来年からは10%に戻すことになっている。2400万件あるカード口座のうち、返済が90日以上滞って不良化しているケースは110万口座に達しており、セーター政府は予てより5%に戻すよう求めていた。
チャヤワディ氏は、対策を講じる前に状況を把握する必要があると述べ、中銀が商業銀行とノンバンクを含むカード事業者と協議を進めていることを明らかにした。多くの副作用があるため、慎重に検討する必要があると説明している。
セーター政府は、中銀が定める住宅ローン規制のLTVルールについても緩和措置を復活させるよう求めているが、チャヤワディ氏の発言からは中銀が応じる可能性は低い。LTVルールの適用が現在の状況に適切かどうかは常に検討しているとした上で、価格が100万~300万バーツの住宅ローンの借り手が多くの問題を抱えていることを指摘。借り手の信用力の低下が住宅ローンを得られない最大の理由であり、LTVルールの緩和は住宅ローンへのアクセス改善に対する答えにはならないと指摘した。チャヤワディ氏はまた、中銀がこの件について扉を閉じているわけではないが、副作用が生じないようにする必要があると述べた。生活費の上昇や債務返済のための支出増により住宅を購入できない人が増えているが、LTVルールを緩和または撤廃する必要はないとした。
金融政策がターゲットとするインフレ枠組の調整や、信用情報機関(NCB)による債務返済履歴の保管期間を8年から5年に短縮する政府側提案については今後の検討課題だと述べている。
一方、ピチャイ副首相兼財務相は、タマサート大学経済学部創設75周年式典での講演で、家計債務がタイ経済が抱える最大の問題で、特に自動車ローンとカードローンは急ぎ解決する必要があると述べた。
ピチャイ氏によると、家計の不良債権が1.5兆バーツに達し、4月時点と比べても3.2%増加している。企業債務の不良債権は3900億バーツで、4月時点から2.8%増えている。また公的債務は11.6兆バーツで、GDPの64.3%に達している。
家計向けの不良債権で懸念されるのが自動車ローンで、不良債権は約2500億バーツに上る。ピチャイ氏は、現時点では詳細を明らかにできないが、政府が債務者援助策やセールバックされる車に対する対策を検討中だと語った。
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