ＥＧＡＴが日本2社と提携＝三菱重工と水素混焼＝ＩＨＩとバイオマス混焼
タイ発電公団（ＥＧＡＴ）はエネルギー・トランジションに向け、三菱重工、ＩＨＩと個別に協力プロジェクトを実施する。三菱重工とは天然ガスと一緒に水素を利用する水素混焼発電技術の開発で協力する。ＩＨＩとはメーモ発電所におけるバイオマス燃料の利用技術の開発で協力する。6月4日にそれぞれ覚書を取り交わした。
ＥＧＡＴのナリン・パオワニット副総裁とエネルギー省のプラサート・シンスックプラサート次官はこの日、第6回日タイ・エネルギー政策対話に出席し、日タイのエネルギー分野協力の進捗状況をフォローするとともに、クリーン・エネルギー、再生可能エネルギーのテクノロジーやイノベーションに関する情報を交換した。2件のＭＯＵはこの会合に合わせて署名式が執り行なわれた。署名式にはプラサート次官と日本の資源エネルギー庁の木原晋一長官が立ち会った。
三菱重工とのＭＯＵは、ガスタービン発電で燃料として水素を混焼させる技術に関する調査・検討を進める内容。第1段階として、ＥＧＡＴの発電所での水素混焼パイロット事業に取り組み、25年3月までに初期の実効性調査（ＦＳ）を実施。その後の発展的詳細ＦＳにつなげていく計画。
22年に両社が調印したクリーン燃料発電、クリーン水素、二酸化炭素の回収・有効利用・貯蔵（ＣＣＵＳ）技術に関する調査活動を踏まえ、水素混焼というテーマに絞って取り組んでいく。三菱重工によれば、ＥＧＡＴからの要望で水素の混焼率は20％を目指す。三菱重工はＥＧＡＴの既存発電所における自社製ガスタービンを対象とした水素混焼技術の予備調査を実施し、ＥＧＡＴ側はタイにおける水素の輸送・貯蔵・流通を考慮した水素サプライチェーン・マネジメントの戦略的計画をはじめとする包括的な計画を策定する。
ナリン副総裁は今回の協力について、タイのエネルギー・トランジションにおける重要な一歩になると述べた。エネルギー開発計画とガイドラインに沿って水素利用を促進することで、より環境にやさしい電気を作り、クリーン・エネルギー利用を増やす取り組みを進めていく方針。三菱重工の土師俊幸常務執行役員エナジードメイン長は、ＥＧＡＴの火力発電所におけるクリーン燃料化を支援することでタイのエネルギー・トランジションに貢献していく考えを示した。
ＩＨＩとのＭＯＵは、石炭火力発電のメーモ発電所で木質ペレットのバイオマス燃料を利用するための共同研究を進める内容。石炭にバイオマスを混合燃焼して発電する技術を確立する。木質ペレットの組成や特性を適切に評価した上で、バイオマス燃料の生産プラント開発でも調査を進めていく。
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