2024年7月24日(水)号

電力料金を年内凍結=軽油価格抑制は10月末まで継続

 セーター政府は7月23日に開いた閣議で、電力料金の年内凍結と軽油小売価格抑制措置の10月末までの延長を決定した。ピーラパン・サーリラットウィパーク副首相兼エネルギー相[=写真]が明らかにしたもので、電力料金は1ユニット(㌔㍗時)あたり4.18バーツに据え置き、軽油小売価格は1㍑あたり33バーツ未満に抑制する。軽油価格抑制は石油基金による補助金で実現させるが、基金がすでに1000億バーツを超える負債を抱えていることから、物品税減税の可能性について財務省と協議する考えも示した。


 エネルギー価格、特に軽油価格の抑制は、現政権発足と同時に実施した緊急政策で、当初は1㍑あたり30バーツ未満に抑制していた。軽油の物品税を1㍑あたり5バーツ引き下げた。その後、ガソリン価格も抑制するため、物品税を引き下げる時限措置が採られた。電力料金は昨年9~12月期の価格を1ユニットあたり4.18バーツに抑え、今年1~4月期、5~8月期も同水準に据え置いている。
 軽油とガソリンに対する時限減税はすでに終了し、現在は軽油のみ価格抑制策が実施されている。今年5月7日には軽油価格を1㍑あたり33バーツ未満にする政策を決定。7月末まで実施するとしていた。現在の小売価格は1㍑あたり32.94バーツ(PTT、首都圏)。
 政府は石油基金のメカニズムを活用して軽油小売価格を抑制する方針だが、基金の収支は悪化しており、補助金を垂れ流し続けることは難しくなっている。このため基金による軽油補助金の上限は1㍑あたり2バーツとする考え。また基金の借入金は元本の返済を先送りし、10月末までは金利のみを支払うことで補助金の原資を確保する。基金の収支尻は7月14日時点で1118億5500万バーツの赤字。石油会計が642億5200万バーツ、液化石油ガス会計が476億300万バーツの赤字となっている。
 ピーラパン大臣によると、現在、基金の持ち出しは増えていない。過去1か月間に原油相場が下落したため、基金は軽油に補助金を出しておらず、逆に基金拠出金を徴収できている。ただし世界の原油相場は不安定で、相場が騰勢に転じれば、基金による補助金が必要になってくる。同大臣は5月に価格抑制措置が閣議決定された際、基金の資金だけでは対応できなくなる事態に備え、24年度中央予算の緊急予備費より65億バーツを基金に配分する非公式な取り決めがあったことを明らかにしている。それでも対応できなくなる事態が生じた場合には、財務省が軽油の物品税を引き下げることになっていた。
 一方、電力料金は9月以降も5~8月期と同水準に据え置くとともに、月間の電力消費量が300ユニットに満たない一般家庭に対し、国が1ユニットあたり0.1905バーツを補助する措置の継続実施を決めた。タイ発電公団(EGAT)とPTT社が過去の電力料金抑制措置で拠出した負担金の返済を先送りすることで、電気代の値上がりを回避する。
 この日の閣議では、電力料金を1ユニットあたり3バーツ台まで引き下げるための方策についても議論した。消息筋によれば、ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相はタイとカンボジアの領海主張重複エリアの天然ガスを採掘できるよう、カンボジアとの交渉を加速させる必要があると発言した。このエリアには発電燃料として20年は使えるだけの天然ガスが埋蔵していると推定されている。

EEC事務局が官民5者と提携=クリーン電力供給を調査研究

 東部特別開発区政策委員会事務局(EEC事務局)は、東部経済回廊(EEC)エリアの事業者への新たな電力ネットワークシステムを通じて、発電事業者によるクリーン・エネルギー供給を支援する。7月18日に地方電力公団(PEA)、民間発電事業者協会、タイ再生可能エネルギー協会、民衆のためのクリーン・エネルギー財団、タイ工業連盟(FTI)の再生可能エネルギー部会、電力部会と覚書を取り交わした。
 チュラ・スックマノップEEC事務局長[=写真中央]によれば、クリーンエネルギーからの電力をEEC地域に供給するための新たなグリッド・ネットワーク建設に関係する規制、コスト、建設地域、許可申請ルールなどの関連法制について調査研究する。


 セーター政府は直接電力購入契約(ダイレクトPPA)を試験的に実施する方針を打ち出している。タイでは再生可能エネルギー電力のピアツーピア取引は許可されていないが、国家エネルギー政策委員会は、外資、特にデータセンターやクラウドサービス事業者を誘致するため、ダイレクトPPAのパイロット・プロジェクトの実施を認めた。
 エネルギー事業監督委員会によれば、電力会社が第三者アクセスコード(TPAコード)のもとで国のグリッドを使用する場合、電力取引にホイーリング料金が課される。再生可能電力を供給するため国の送電線を使用することに対する費用。民間発電事業者協会の会長を務めるハラルド・リンク氏(Bグリムパワー社CEO)は、TPAコードは電力市場における取引自由化を促進するのに不可欠だと指摘している。またダイレクトPPAは、クリーンエネルギーを必要とする企業に欠かせないばかりか、2050年までのカーボンニュートラル達成という政府目標を支援すると語った。
 民衆のためのクリーン・エネルギー財団のスウィット・トラニンパニット理事長は、再エネ促進をスピードアップしないと外国企業の投資が近隣諸国に流れてしまうと指摘している。

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