新政権の早期発足を歓迎=経済3団体合同委員会
商業、工業、銀行の経済3団体合同常任委員会は9月4日の月例会見で、ペートンターン新政権の発足を歓迎した。パヨン・シーワニット委員長(タイ銀行協会会長)は政府が速やかに新内閣を発足させたことを好感していると述べた。新政府の早期発足が国民の信頼感を高めると期待しており、金融市場や資本市場にもポジティブな見方が広がっている。
4日の株式市場は続伸し、SET指数は1365.49ポイントでこの日の取引を終えた。パヨン氏は、新政権が多党連立であるものの、与党の結束と安定は企業部門の信頼感を高めると見ている。また新首相が民間との協議の場を設け、耳を傾けると期待している。パヨン氏によれば、経済問題への対処について民間から新政権への提言を準備中。経済成長を支援する短期、中期、長期の措置について提言することにしている。国の競争力の底上げ、労働力の開発、中小企業の効率改善、インフォーマル経済の取り込み、家計債務問題の解決策を網羅したものになるという。短期的には資金アクセスが絶たれて困窮する低所得層を支援するため、経済に資金流動性を追加注入するよう求める。
タイ商業会議所のサナン・アンウボンクン会頭は、新政府の経済政策の発表と経済チームの結成を心待ちにしていると述べた。サナン氏は政府がなすべき緊急課題について、国民の信頼を築くことだと指摘した。デジタルマネー給付も急務の政策だが、洪水問題への対応も重要だとした。迅速な新内閣の発足で企業や消費者にポジティブな感情が生じているが、経済は国内外の複数の課題と不確実性に直面しているため、新政権には経済対策で早急な成果が求められるとした。長期的に国の経済ファンダメンタルズを強化するため、民間は政府と協力する準備ができていると付け加えた。
JSCCIBは今年の経済成長率を2.2~2.7%増と予測した。物品輸出は世界的な需要回復見通しから従来予測の0.8~1.5%増から1.5~2.5%増に上方修正した。一般インフレ率の予測は0.5~1.0%に据え置いた。
世界経済は今後も減速する可能性が高いと見ている。8月の製造業の購買担当者指数(PMI)は米国、欧州、日本、中国で軒並みマイナスとなっている。米国は景気後退を防ぐため、連邦準備制度理事会(FRB)が9月会合で政策金利を引き下げる見通し。海上運賃は依然として通常の3倍の水準で、世界貿易のマイナス要因になっている。エレクトロニクス産業循環が上向いたことが支援要因となって、7月のタイの物品輸出は前年同月比15.2%増を記録したが、広範な産業にわたる回復にはなっていない。
内需は投資の収縮に反映されるように弱々しい状態が続いている。政府が投資予算の執行を急ぎ、経済システムに流入する資金は5月から7月にかけて20%以上増えた。その結果、第2四半期の経済成長率は前四半期から加速したが、前年比での減速傾向は続いているというのがJSCCIBの見方。特に民間投資が6.8%減となったことを警戒している。投資の収縮は消費者と企業の信頼感が悪化し続けていることを反映している。企業の国内売上が減少しているため、今後も投資は低迷する可能性が高い。
最近の洪水状況もタイ経済を圧迫する要因の一つ。8月から9月初旬までの期間に経済的損失は推定60億~80億バーツ、GDPの0.03~0.04%に達している。農業部門が最も大きな被害を受けた。9月から10月にかけて台風が襲来する可能性があり、タイ経済にさらなる影響を及ぼすおそれがある。
ペートンターン首相=11日に国会で所信表明
ペートンターン政府は9月6日にドゥシット宮で国王宣誓式に臨む。11日にはペートンターン首相が国会で所信表明演説する予定で、7日に閣僚懇談会を開いて演説内容について協議する。
ペートンターン政権には、長年の政敵だった民主党が新たに加わる一方、パランプラチャーラット党のプラウィット・ウォンスワン党首派を排除した。下院の議席数は322議席となっている。ペートンターン政府の政策は主に経済問題の解決に焦点を当てる方針で、憲法改正などの政治課題は緊急実施の政策に含めない。
消息筋によれば、所信表明の中身はセーター政府の所信表明の内容をアップデートするもので、5つまたは6つの課題が緊急実施する政策に指定されるもよう。新政府の緊急の政策の一つがデジタルマネー給付。財源の一部として24年度補正予算を使うため、9月末に期末を迎える今年度中に開始しなければならない。総額1220億バーツの補正予算はすでに成立している。
チュラパン・アモンウィワット財務副大臣は4日、デジタルマネー給付政策について、調整する必要があることを認めた上で、実施されることは確実で、すでに登録を済ませた国民は心配しなくてもよいと述べている。
プームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼国防相によれば、新政権が政策を国会に示す前に微調整のための閣僚懇談会が開催される。連立を組む各党とは1年以上一緒に仕事をしてきたため、意見の相違は解決できるとした。所信表明は枠組みとし、具体的な詳細は含まれない。すでに各党とは協議を進めているという。新内閣だが連立の枠組みは大きくは変わらないため、目新しいものはほとんどなく、細部が調整されるだけだと説明した。
プームタム氏は、首相が重要ポイントをすぐさま理解する能力に長け、演説も達者なことから国会対策や国会での質疑応答についてコーチングの必要はないと述べている。新内閣の顔ぶれでは、世襲や政界実力者の親族が多く、「ファミリー内閣」と揶揄されている。プームタム氏は「表紙で本を判断してはいけない」と述べ、閣僚は家族のつながりに関係なく、適材適所で選ばれているとした。
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